{ "399000231_0": "「あれが家族が……、\\n 村の皆が捕まっている、空飛ぶ城だ」", "399000231_1": "「驚いた……\\n 本当にプレラーティのチフォージュ・シャトーじゃないッ!」", "399000231_2": "「どこぞの局長サマは確かに封印されていると言っていたが……\\n ……本物のようにも、感じるな……」", "399000231_3": "「偽物……だといいんだけど。\\n 壊しちゃったらプレラーティに申し訳がないもの」", "399000231_4": "「それで?\\n 誰があの城の王様を気取ってるのかしら?」", "399000231_5": "「……数週間前に、村に1人の老人が訪れたんだ。\\n 彼は自分のことを、新世界の王だと名乗っていた」", "399000231_6": "「あら、本当に自称王様だったのね」", "399000231_7": "「そいつは、人を試すようなことを言って……\\n 自分の基準に満たないと判断するや、ノイズを……」", "399000231_8": "「ノイズを使って、村人を何人も……何人もッ!\\n 従わなければ全員がこうなると言われて……」", "399000231_9": "「初っ端からとんでもない圧政じゃない。\\n なんて酷い王様よ」", "399000231_10": "「けど、誰もが、圧倒的な力に抗えるわけじゃない。\\n 言いなりになるのも仕方のないことかもね……」", "399000231_11": "「……助けに来てくれた人もいたんだ。\\n 女性と少女、君たちと同じような力を使っていたよ」", "399000231_12": "「それは……おそらくサンジェルマンとプレラーティね。\\n やっぱりここまで来てたんだわ」", "399000231_13": "「……そいつらはどうなった?」", "399000231_14": "「最初は……カエルを抱いた少女が来て、\\n あいつと戦いを始めたんだ」", "399000231_15": "「でも、途中で俺たちがノイズに囲まれて……。\\n あの子は俺たちを護るために……抵抗をやめてしまった」", "399000231_16": "「村の人たちを盾にしたってわけッ!?", "399000231_17": " なんてサイテーな王様なの」", "399000231_18": "「その後に空飛ぶ城が現れて、俺たちも連れて行かれた。\\n ……『仕事』を命じられるまで出ることすらできなかったんだ」", "399000231_19": "「偽物にせよ本物にせよ……プレラーティが囚われたことで、\\n チフォージュ・シャトーの知識が利用されたと考えるべき、か……」", "399000231_20": "「サンジェルマンは……\\n もう1人の女はどうした?」", "399000231_21": "「どうやったのかは知らないが、城まで乗り込んで来たんだ。\\n 彼女も俺たちを護りながらあいつと戦ってくれた。でも……」", "399000231_22": "「あいつは容赦なく村の皆をノイズに襲わせた。\\n 皆が消えそうになった時、彼女が助けてくれたんだ」", "399000231_23": "「まるで魔法のような力を使って……」", "399000231_24": "「……なるほどな」", "399000231_25": "「さっきのノイズは、アルカ・ノイズに近い分解能力を有していた。\\n 錬金術の再構築で、分解される人質を護ったのか……?」", "399000231_26": "「錬金術……再構築……?\\n 詳しいことはわからないが……」", "399000231_27": "「俺が城から出される直前も、何人もがノイズに襲われていた。\\n 彼女は、それを不思議な術で治してくれてるんだ……」", "399000231_28": "「だが、相当な負担がかかるようで、\\n 彼女もまた、あいつに……ッ!」", "399000231_29": "「つまりは今、この瞬間も……サンジェルマンは\\n 分解された人が消えないよう、再構築し続けてるのッ!?」", "399000231_30": "「プレラーティもその補助をしているとみるべきか。", "399000231_31": " ……なるほど、動けない理由としては十全だ」", "399000231_32": "「……ま、それでも幹部なら、\\n あっさり捕まってんじゃないわよ、とは思うけどねッ!」", "399000231_33": "「まったく……\\n あーしを置いていくからこんな体たらくになるのよッ!」", "399000231_34": "「しかし……ノイズの能力は炭素転換だったはずだ。\\n あのノイズはどうして分解を……」", "399000231_35": "「やはり、アルカ・ノイズと見るべきなのか?」", "399000231_36": "「んー。まあ、パンピーから見たら大差ないでしょうけどね。\\n どっちも身体が消えちゃうわけだし」", "399000231_37": "「でも、ただのノイズでも、アルカ・ノイズでもない気がするわ。\\n 突然数が増えたこともあるし……何か裏があるみたいね」", "399000231_38": "「件の男が、\\n ソロモンの杖を悪用しているだけではないようだな」", "399000231_39": "「状況はわかったが……\\n 情報は足りていない、か」", "399000231_40": "「わかったことを本部にも共有しておきたいところね。\\n どうにか連絡を……」", "399000231_41": "「す、すまない、ちょっといいか?\\n 気がついたらこの電話を持っていたんだが……」", "399000231_42": "「……」", "399000231_43": "「あら、ナイスタイミング。\\n 普段は鬱陶しいけど、さすが局長ね」", "399000231_44": "「さっそく情報の共有を――」", "399000231_45": "「――ッ!?\\n 避けろッ!!」", "399000231_46": "「う、うわあッ!?」", "399000231_47": "「どうやら本当に錬金術師協会は、\\n 人類の守護などという無駄なことを続けているようだな」", "399000231_48": "「相も変わらず、詮なきことを……」", "399000231_49": "「――ッ!\\n いつの間にッ!?」", "399000231_50": "「殺気を感じるまで、オレも出現に気づけなかった……。\\n 油断するなッ!」", "399000231_51": "「言われるまでもないわッ!\\n 危険なオトコのにおいがプンプンしてるものッ!」", "399000231_52": "「お前は……\\n 何者だッ!?」", "399000231_53": "「不躾に我が名を問うか。", "399000231_54": " 増長した魔術師……いいや、錬金術師風情が」", "399000231_55": "「――ッ! その杖は、まさかッ!\\n ソロモンの杖ッ!?」", "399000231_56": "「ソロモンの杖を持つ者……、\\n お前が元凶かッ!」", "399000231_57": "「持つ者、とは不見識だな、錬金術師。\\n これは元より、我が所有物である」", "399000231_58": "「なんだと……?」", "399000231_59": "「……愚かな民へ知恵を授けるのも我が務めか。", "399000231_60": " ならば教えてやろう」", "399000231_61": "「我が名はソロモン。\\n 知恵の王、人を導くもの、ソロモン王である」" }