{ "398000321_0": "「2人とも大丈夫かッ!?」", "398000321_1": "「ああ、こっちはなんともない。\\n 任せちゃって、悪いな」", "398000321_2": "「気にするな。", "398000321_3": " それに雪音、そのギアは……ッ!」", "398000321_4": "「あたしも変身したらこうなってた。この力、なんだってんだ……?\\n 悪いモノじゃないように感じるけど……」", "398000321_5": "「わたしたちも判断しかねる。", "398000321_6": " だがひとまず、2人が無事で何よりだ」", "398000321_7": "「すごい……。\\n 本当にあのオバケをやっつけられるんだ」", "398000321_8": "「オバケとは……。\\n ノイズのことか?」 ", "398000321_9": "「うん……ママがオバケって呼んでたから、\\n わたしも、そう呼ぶようになったんだ」", "398000321_10": "「そういうことなら、ノイズは――\\n オバケはあたしたちに任せとけッ!」", "398000321_11": "「……でも、今は上手くいってるだけで、\\n これからどうなるかわからないし……」", "398000321_12": "「大丈夫、おまえは何が出たって、\\n 安心してあたしたちの後ろにいればいい」", "398000321_13": "「なんてったって、あたしたちはあのオバケをやっつける\\n プロフェッショナルだからなッ!」", "398000321_14": "「なッ、2人ともッ!」", "398000321_15": "「えッ……\\n ま、まあ、プロといえばプロ……なのか?」", "398000321_16": "「確かに、そう言えなくもない……」", "398000321_17": "「……本当……?」", "398000321_18": "「ああッ! あたしたちがいれば大丈夫だッ!\\n 大船どころか豪華客船に乗った気分でいていいぞッ!」", "398000321_19": "「…………」", "398000321_20": "「……だからさ、困ってることがあったら教えてくれないか?」", "398000321_21": "「……あのオバケ、\\n 気がついたら、わたしの周りに出るようになったんだ」", "398000321_22": "「それに、\\n いつオバケが出てくるか……わたし、わかるの」", "398000321_23": "「出てくるのがわかるようになったのは、最近。\\n ……ママが死んじゃってからだけど」", "398000321_24": "「……ありがとな、思い出すのもキツいだろ。\\n 無理のない範疇で話してもらえるか……?」", "398000321_25": "「ん……」", "398000321_26": "「……わたしは、その……小さい頃から不思議な力があって。\\n それでママ、わたしの力を研究してくれてた」", "398000321_27": "「ママは元々、オバケや、\\n 不思議な道具の研究者をしてたんだ」", "398000321_28": "「不思議な道具には、壊れちゃっても無限に再生するものとか、\\n 天気を操れるようなものとかもあるんだって」", "398000321_29": "(それって……)", "398000321_30": "(ああ、おそらく資料にあったように、\\n この子の母親は聖遺物の研究者。そして……)", "398000321_31": "「でも、ママはお仕事中の事故で死んじゃった」", "398000321_32": "「――ッ!」", "398000321_33": "(あれ……?\\n だけど、こいつの母親から依頼がきたんじゃなかったか……?)", "398000321_34": "(バタついてたから、\\n おっさんたちがあたしに対して、ミスって伝達したのか?)", "398000321_35": "「わたしの力が強くなったのは、それから……」", "398000321_36": "「ママがいなくなってからは、ママがくれたおまもりを持って\\n 親戚のお家にお邪魔させてもらってたの」", "398000321_37": "「でも、わたしの周りでオバケが出るようになっちゃったから\\n わたしはここで1人で過ごすことになっちゃった……」", "398000321_38": "「仕方ないよね。\\n みんな、オバケは……ノイズは怖いもの」", "398000321_39": "「それは……」", "398000321_40": "「わたしが住み出してから、ここは『ノイズを呼ぶ幽霊』の\\n お屋敷だって、町で認識されてるみたい」 ", "398000321_41": "「……実際、変な力も使えるし、\\n 友達だっていない」", "398000321_42": "「あなたたちの、そのヘンテコな鎧だってそう。\\n 最初に変身したときは、そんな形じゃなかったのに……」", "398000321_43": "「……ごめんなさい。\\n きっと、わたしのせい」", "398000321_44": "「それは……", "398000321_45": " まだ、そうと決まったわけじゃない」", "398000321_46": "「……」", "398000321_47": "「だとしても、\\n 疑うのには十分……でしょ?」", "398000321_48": "「わたしは、災いを呼ぶ幽霊。\\n そう扱われるのに、ふさわしい……」", "398000321_49": "「幽霊には、人間の世界に居場所なんてない……。\\n だから、わたしの居場所だってないんだよ」", "398000321_50": "「……おまえは幽霊なんかじゃない。\\n あたしたちとだって普通に喋ってるじゃないか」", "398000321_51": "「…………」", "398000321_52": "「オバケを倒してくれるなら、この屋敷は\\n 好きに使ってくれていいよ。……ちょっとお水飲んでくる」", "398000321_53": "「あ、おいッ!」", "398000321_54": "「……すぐそこの部屋だから。\\n ドアを開けておけば見えるよ」", "398000321_55": "「…………」", "398000321_56": "「あの子をこのままにはしておけないな……」", "398000321_57": "「あたしも……いや、きっと3人とも同じ気持ちだ。\\n そうだろ?」", "398000321_58": "「ああ。\\n あいつを、あんなに悲しい顔させたままでいられるか」", "398000321_59": "「あいつの不思議な力の原因を見つけて、\\n 自分を幽霊だなんて、2度と言わせないようにしてやる」" }