{ "398000111_0": "『幽霊屋敷』への誘い", "398000111_1": "「ハァハァ……ッ!」", "398000111_2": "「――ッ!」", "398000111_3": "「くッ――!」", "398000111_4": "(今度は包丁が飛んできやがったッ!)", "398000111_5": "(勝手に家具が揺れて食器が割れたり、包丁が飛んできたり\\n なんなんだこの家はッ!)", "398000111_6": "「早くなんとかしないとッ!\\n あたし1人じゃ手に余る……ッ!」", "398000111_7": "「よッ、定期報告に来たぞ」", "398000111_8": "「奏……ッ!」", "398000111_9": "「どうした?\\n 何かあったのか?」", "398000111_10": "「実は……」", "398000111_11": "「クリスが帰ってこない……ッ!?」", "398000111_12": "「うん……。並行世界の定期報告任務から戻ってきたかと思ったら、\\n 向こうで仕事を手伝ってくるとトンボ返りしたっきり……」", "398000111_13": "「向こうの世界の状況や、こちらの任務状況など諸々を鑑みて\\n 承諾したんだが、帰還予定日を過ぎても戻る気配がないんだ」", "398000111_14": "「もしかしたら、\\n 想定外の事件に巻き込まれている可能性がある」", "398000111_15": "「そいつは心配だな。\\n ちなみに、どの並行世界へ行ってるんだ?」", "398000111_16": "「了子くんたちの――\\n いや、『装者がいない並行世界』と言った方が通じるか?」", "398000111_17": "「……なるほど、フィーネのいる並行世界か」", "398000111_18": "「奏はこの前の宇宙人騒動で行ったところだよね。\\n これから、わたしが様子を見に行ってくるつもり」", "398000111_19": "「ん……行くのは翼1人だけなのか?」", "398000111_20": "「それは、えっと……」", "398000111_21": "「ああ、翼1人だけだ。心苦しいが他の装者たちは\\n 他の任務やギアのメンテナンスで出動が難しくてな……」", "398000111_22": "「だったら、あたしも協力するよッ!」", "398000111_23": "「すぐに帰って、\\n あたしの世界のダンナに聞いてくるッ!」", "398000111_24": "「奏、それは――」", "398000111_25": "「何か問題があるのか?」", "398000111_26": "「問題というか……\\n 前もそう言って、奏に協力してもらったばかりだから」", "398000111_27": "「これ以上、奏にも奏の世界の人たちにも\\n 迷惑はかけられないよ」", "398000111_28": "「迷惑なんかじゃないさ。\\n この世界のやつだって、あたしにとって大切な仲間だ」", "398000111_29": "「翼だって、\\n 逆の立場ならどうする?」", "398000111_30": "「奏……」", "398000111_31": "「それに前も言ったじゃないか。\\n あたしの世界には錬金術師たちがいる」", "398000111_32": "「あいつらがいれば、あたしがいなくても\\n しばらくの間ならどうとでもなるさ」", "398000111_33": "「だから、翼はクリスのことだけ心配していればいい」", "398000111_34": "「……わかった。\\n ありがとう、奏ッ!」", "398000111_35": "「ああッ!」", "398000111_36": "「と、いうわけで、あたしの世界の許可が取れたら\\n 参加していいよな?」", "398000111_37": "「フ……ああ。\\n 今回もよろしく頼む」", "398000111_38": "「そちらの世界の二課に確認が取れたら\\n 翼と共にすぐ並行世界に向かってもらいたい」", "398000111_39": "「了解。それじゃあ一旦帰るよ。\\n すぐ戻って来る」", "398000111_40": "「……頼もしい仲間がいて助かったな」", "398000111_41": "「はい……ッ!」", "398000111_42": "(ありがとう、奏……)", "398000111_43": "「待たせたね。\\n 無事に許可が取れたよッ!」", "398000111_44": "「よし、ではさっそく向かってもらう。\\n 並行世界に着いたら、まず二課に話を聞きに行ってくれ」", "398000111_45": "「了解ッ!」", "398000111_46": "「2人とも、クリスくんを頼む」", "398000111_47": "「ああ、任せてくれッ!」", "398000111_48": "「はいッ!\\n 雪音と共に必ず戻りますッ!」" }