{
"396000111_0": "シンフォギア爆烈伝 〜拳〜",
"396000111_1": "「……であれば、あの部分を工夫して……\\n うーん、それだと面白みに欠けるような……」",
"396000111_2": "「むむむ……\\n どうするべきだろう……」",
"396000111_3": "「……どうしたのかしら、エルフナインちゃん」",
"396000111_4": "「さっきからずっと……というか、\\n このところずっとあんな調子だな……」",
"396000111_5": "「なんだか一生懸命に考えてるから、\\n 邪魔しないほうがいいのかなって思ってたけど……」",
"396000111_6": "「早一週間だものね……」",
"396000111_7": "「あ……おい、止めなくて大丈夫か?\\n あいつの進行方向に、壁が……」",
"396000111_8": "「……あいたッ!?」",
"396000111_9": "「だ、大丈夫かッ!?",
"396000111_10": " ……額が少し赤くなっている、すぐに冷やしたほうがいい」",
"396000111_11": "「だ、大丈夫です……ッ!」",
"396000111_12": "「心配してくださってありがとうございます。",
"396000111_13": " でも、平気ですから、どうかお気になさらずッ!」",
"396000111_14": "「それじゃあ、ボクはお先に失礼しますッ!\\n 皆さんも、遅くまで頑張りすぎないでくださいねッ!」",
"396000111_15": "「……やっぱり、妙よね。\\n もしかして、仕事で徹夜が続いているとか……?」",
"396000111_16": "「ここしばらくのスケジュールを考えても、\\n そんなことはないと思うのですが……」",
"396000111_17": "「じゃあ、\\n 夜も眠れないくらい悩んでいるとか?」",
"396000111_18": "「でも、悩んでる人の顔には見えなかったデス」",
"396000111_19": "「深刻なことじゃないけど、\\n 何か隠し事がある……とか?」",
"396000111_20": "「隠し事ッ!?\\n あのエルフナインがッ!?」",
"396000111_21": "「隠し事だとしても、エルフナインちゃんだもん。\\n 絶対に悪いことじゃないし……だとしたら、それはつまりッ!」",
"396000111_22": "「秘密でサプライズの準備をしてるんじゃないかなッ!」",
"396000111_23": "「おおッ!? 言われてみれば、\\n 確かにそれが1番しっくりくるデスッ!」",
"396000111_24": "「この時期にサプライズとなると……」",
"396000111_25": "「数日後に控えるエイプリルフールくらいしか\\n 思いつかないわね」",
"396000111_26": "「あのバカがつくほど真面目なあいつがか?」",
"396000111_27": "「あまり想像がつかないが……」",
"396000111_28": "「いや……逆にバカがつくほどの真面目だからこそ、\\n あり得るのかも……」",
"396000111_29": "「確かに、至極真面目に『どう嘘をつくか』を\\n 研究している可能性はありそうね」",
"396000111_30": "「うーん……。\\n なら、あまり追求しないほうが良さそう、かな……?」",
"396000111_31": "「確かに……わたしたちのための謀なのであれば、\\n 言及するのは野暮というものだろう」",
"396000111_32": "「なら、わたしもどんな嘘をつくか考えないとッ!」",
"396000111_33": "「絶対にみんなを騙しちゃうからねーッ!」",
"396000111_34": "「アタシも負けないデスッ!」",
"396000111_35": "「ハッ。\\n そんな宣言してるやつらには絶対騙されないけどな」",
"396000111_36": "「フフ。とはいえ、雪音は素直だからな。\\n 騙されないか心配だ」",
"396000111_37": "「……わたしはあなたのほうが心配よ」",
"396000111_38": "「――ッ!?」",
"396000111_39": "「エイプリルフール当日に、\\n エルフナインちゃんからの呼び出し……ッ!」",
"396000111_40": "「エヘヘ、これはやっぱり、\\n そういうことだよね……ッ!」",
"396000111_41": "「まさか、俺にまでお呼びがかかるとはな……」",
"396000111_42": "「みんなを部屋に呼び出して、\\n 何をするんデスかねッ!?」",
"396000111_43": "「ここ数日、自室にこもっていたようだからな。\\n 相当気合いが入っているとみた」",
"396000111_44": "「正面から全員を呼び出して騙そうなんて\\n いい度胸してるじゃないか」",
"396000111_45": "「あたしは絶対に騙されないからなッ!」",
"396000111_46": "「でもクリス……\\n 響たちの嘘にすっかり騙されてたような……」",
"396000111_47": "「響と、調ちゃん、それに切歌ちゃんで\\n アイドルデビューするって話」",
"396000111_48": "「あ、あれはその……\\n 寝ぼけてただけだッ!」",
"396000111_49": "「な……ッ!?\\n あれは嘘だったのかッ!?」",
"396000111_50": "「あれ?\\n ちゃんとネタバラシはしたと思うんですけど……」",
"396000111_51": "「案の定ね……」",
"396000111_52": "「『であれば、わたしができる指導は……』なんて\\n 呟いていたから、騙されているとは思っていたけれど」",
"396000111_53": "「そ、それはそうだろうッ!? 業界で生きていくためにも、\\n 先達として示せるものはあるはずだと……ッ!」",
"396000111_54": "「エイプリルフール、大成功。",
"396000111_55": " ……でも、なんだかすみません」",
"396000111_56": "「いつか本当にアイドルすることになったら、\\n その教えを乞いにいくデスよッ!」",
"396000111_57": "「けど、未来には通用しなかったね。\\n 今年こそは未来も騙せると思ったんだけどなー」",
"396000111_58": "「フフ。\\n 響の嘘はわかりやすいもん」",
"396000111_59": "「さて……お前たちの騙し騙されの愉快な結果を聞いているうちに、\\n エルフナインくんの部屋に到着したわけだが……」",
"396000111_60": "「呼び出しがあったんですから、\\n 堂々と入りましょうッ!」",
"396000111_61": "「と、いうことで……\\n お邪魔しちゃうよ〜、エルフナインちゃんッ!」",
"396000111_62": "「皆さん、お待ちしていましたッ!」",
"396000111_63": "「これは……\\n いかにも怪しげな椅子が2つ……」",
"396000111_64": "「頭部の電極に、拘束用と思しきベルト……\\n 控えめな表現をしたとして、ま、禍々しい……ッ!?」",
"396000111_65": "「それで、エルフナインちゃん。\\n いったいこれはなんのドッキ――」",
"396000111_66": "「むぐッ!?」",
"396000111_67": "「響。\\n 知らないふり、でしょ?」",
"396000111_68": "「ご、ごめんごめん。\\n そうだった、つい……」",
"396000111_69": "「どうかしましたか?」",
"396000111_70": "「気にすんな。\\n バカがバカやっただけだ」",
"396000111_71": "「それよりも……\\n なんだよ、これは?」",
"396000111_72": "「良くぞ聞いてくれました、クリスさんッ!」",
"396000111_73": "「けれど……今日だけは、説明するよりも、\\n 体験してもらうのが先ですッ!」",
"396000111_74": "「体験……」",
"396000111_75": "「こ、この椅子を……デスか」",
"396000111_76": "「はいッ!",
"396000111_77": " ですので、どなたかに座っていただきたいのですが……」",
"396000111_78": "「期待に瞳をきらめかせている……ッ! けれど、\\n あの椅子に座るのは、その……なんと言うか……」",
"396000111_79": "「ああ、勇気がいるな……」",
"396000111_80": "「あれ……希望者はいませんか?",
"396000111_81": " じゃあ……」",
"396000111_82": "「ボクとばっちり目があった響さん、ぜひッ!」",
"396000111_83": "「えッ、う、うんッ!?",
"396000111_84": " だ……大丈夫だよね、この椅子ッ!?」",
"396000111_85": "「ボクももう1つの椅子に座りますから、\\n 安心してください」",
"396000111_86": "「わ、わかった……ッ!\\n じゃあ、(心の準備をして)座るね……ッ!」",
"396000111_87": "(ひ、ひぃぃい……ッ!\\n ドッキリだとわかってても、この椅子はちょっと怖い……ッ!)",
"396000111_88": "「よいしょ……っと。\\n これでいいのかな?」",
"396000111_89": "「はい、バッチリですッ!\\n それでは、起動しますねッ!」",
"396000111_90": "「起動ーッ!?」",
"396000111_91": "「皆さん、\\n あちらのモニターに注目してくださいッ!」",
"396000111_92": "「こ……これはッ!?」",
"396000111_93": "「え……えええッ!?\\n わたしの身体が……なんか、カクカクにッ!?」",
"396000111_94": "「安心してください、響さんッ!」",
"396000111_95": "「この装置は怪しいものではありませんッ!」",
"396000111_96": "「エ、エルフナインまでもが、\\n 不必要に角ばっている……ッ!?」",
"396000111_97": "「どう考えても怪しいだろッ!?\\n ……でも、なんだ? なんか見覚えがあるっつーか……」",
"396000111_98": "「これ、レトロゲーのプレイ動画とかで見たことのある\\n カクカクデスよッ!」",
"396000111_99": "「確か……、\\n そう、『ポリゴン』ッ!!」",
"396000111_100": "「お呼ばれしたから、\\n 私たちも覗きにきたけれど……」",
"396000111_101": "「知識としては知ってるけど、\\n 最近は滅多にお目にかかれないローポリがッ!?」",
"396000111_102": "「なんと言うべきか……\\n 感慨深いな……ッ!!」",
"396000111_103": "「司令がそう言うと、\\n 本当にリアルタイムで見てきたように聞こえますね」",
"396000111_104": "「ハハ、上の兄貴たちなら或いは……だな。",
"396000111_105": " ローポリは俺よりもずっと『ポリゴン先輩』さ」",
"396000111_106": "「細かいことや難しいことは置いておくとして、\\n 今日はこの装置で、皆さんに戦ってもらいますッ!」",
"396000111_107": "「いきなりバイオレンスッ!?」",
"396000111_108": "「たとえば……響さん。\\n 頭の中で『→→P』の動きを想像してもらえますか?」",
"396000111_109": "「なんて?」",
"396000111_110": "「まさか……\\n 格ゲーのコマンド入力デスッ!?」",
"396000111_111": "「それで言うと『←→→P+K』とかも\\n 出せちゃいそうだよね」",
"396000111_112": "「エルフナインちゃんも切歌ちゃんも、\\n 藤尭さんまで何言ってるか全然わからないんですけどッ!?」",
"396000111_113": "「う、うーん、と……?\\n でも、やってやれないことはない、はずッ!!」",
"396000111_114": "(さすが、って言っていいのかな……)",
"396000111_115": "「こう、カカッと……",
"396000111_116": " えい……ッ! ていッ! ……こうかッ!?」",
"396000111_117": "「……ッ!!",
"396000111_118": " わかったかもッ! そりゃッ!」",
"396000111_119": "「なんか出たッ!\\n なるほど、こうだねッ!?」",
"396000111_120": "「なんだ今の」",
"396000111_121": "「技……ですね」",
"396000111_122": "「技……。\\n ええ、まあ、そうとしか言いようがない感じよね」",
"396000111_123": "「さすがです、響さんッ!!」",
"396000111_124": "「ボクも、ぶっつけ本番ですが……\\n 皆さんと一緒に、戦えるようにッ!」",
"396000111_125": "「ええっと……\\n ボクのコマンドは……『PPPK』ッ!!」",
"396000111_126": "「角ばったエルフナインが、\\n 怒涛の四連撃をッ!?」",
"396000111_127": "「よし、成功ですッ!」",
"396000111_128": "「脳波を読み取り、反映されるように作った甲斐がありました。\\n 響さんたちなら、慣れたら現実以上に戦えるはずですッ!」",
"396000111_129": "「それに、普段戦場に出ない皆さんにも\\n 楽しんでいただけるように作ってありますのでッ!」",
"396000111_130": "「えッ……\\n それって……」",
"396000111_131": "「俺たちも、\\n 皆と同格に渡り合えるかもってことッ!?」",
"396000111_132": "「はいッ! 隠しコンボも用意してありますから、\\n 存分に楽しんでいただければ……ッ!」",
"396000111_133": "「エルフナインちゃんッ!」",
"396000111_134": "「わたしも、カクカクボディの動かし方が\\n わかってきたよッ!」",
"396000111_135": "「だから……\\n 遊ぼうッ!! エルフナインちゃんッ!!」",
"396000111_136": "「――ッ!\\n はいッ!」",
"396000111_137": "「では……\\n 覚悟してください、響さんッ!」",
"396000111_138": "「エルフナインちゃんとのガチンコ勝負……\\n 負けないよッ!!」",
"396000111_139": "「ふむ……エルフナインくんの張り切りを見るに、\\n これは全員分のデータがあると思ってよさそうだな」",
"396000111_140": "「なら、万に一つくらいは、\\n 俺でも司令に勝てる可能性が……ッ!?」",
"396000111_141": "「万に一つとは消極的だな。\\n 一戦と言わず、手合わせ願おうか」",
"396000111_142": "「司令、\\n それは私にも挑戦権利があると思っても?」",
"396000111_143": "「ハッハッ!\\n ああ、なんなら2人まとめてかかってこいッ!」",
"396000111_144": "「毎日頑張っている皆さんの息抜きに、\\n 少しでも楽しんでもらえるよう作った……」",
"396000111_145": "「没入型格闘ゲーム……名付けて、\\n 『シンフォギア爆烈伝』ッ!」",
"396000111_146": "「皆さんにも喜んでもらえているみたいで、\\n 本当によかったです……ッ!」",
"396000111_147": "「それにしても、すごい技術ですね……。\\n さすが、としか」",
"396000111_148": "「ちなみに……\\n 緒川さんは参戦なされるのですか?」",
"396000111_149": "「おや……フフ、そうですね。\\n お望みとあれば、お相手しましょうか?」",
"396000111_150": "「元々のスペックがおかしいやつらは、\\n これで戦う必要ってあるのか……?」",
"396000111_151": "「それは言いっこなしといったところね」",
"396000111_152": "「さあ、皆さんッ!!\\n 戦って日頃のストレスを発散してくださいッ!」",
"396000111_153": "「はいデスッ!\\n 今日はみんなで遊び尽くすデスよッ!」",
"396000111_154": "「切ちゃん、\\n 負けてもムキになっちゃダメだよ?」",
"396000111_155": "「フッフッフ。\\n それはアタシのセリフデースッ!」",
"396000111_156": "「それにしても皆のキャラクターが\\n ローポリなのには、何かこだわりがあるのかしら?」",
"396000111_157": "「ゲームらしいゲームを目指したんですッ!\\n ボクも含め、全員が同じ目線で遊べたら、素敵だなって」",
"396000111_158": "「うんうんッ!\\n ゲームにも、身体を動かすのとは別の楽しさがあるよねッ!」",
"396000111_159": "「はいッ!\\n 今日は……胸をお借りしますッ!」",
"396000111_160": "「どんとこいッ!\\n よぉしッ、それなら早速全力でッ!」",
"396000111_161": "「まずは……\\n 正面突破だあぁぁ――ッ!!」",
"396000111_162": "「ここでならボクもッ、\\n 負けませんッ!」",
"396000111_163": "「フフ。エイプリルフールに何かとんでもない嘘を\\n 仕掛けているんじゃないかって思っていましたけど」",
"396000111_164": "「どうやら、違ったみたいですね」",
"396000111_165": "「ええ。嘘というよりは……\\n 本気で準備してくれたサプライズだったわね」",
"396000111_166": "「エルフナインのことだから、午前中にしか嘘をつけないとか\\n こだわりそうだと思っていたけれど」",
"396000111_167": "「これはこれで、\\n ド真っ当な『4月バカ』だな」",
"396000111_168": "「ほんと、気持ちがいい4月バカだね」",
"396000111_169": "「エルフナインッ!! そこデースッ!\\n パンチッ! キックッ! 響さんをやっつけるデースッ!」",
"396000111_170": "「いいぞ、その調子だッ!\\n 立花のゲージは、あとわずかだぞッ!」",
"396000111_171": "「くぅぅ……ッ!\\n みんなエルフナインちゃんの応援ばっかりーッ!」",
"396000111_172": "「だって、エルフナインが響さんに勝つところ\\n 見てみたいですから」",
"396000111_173": "「こんなに応援してもらったら\\n 負けられませんッ!」",
"396000111_174": "「ボクの全力、皆さんにお見せしますッ!\\n はああああ――ッ!」",
"396000111_175": "「うわーんッ!\\n 全然勝てなかったーッ!」",
"396000111_176": "「ガードもせずに突っ込むからだ。\\n まっさか、1番弱いとはなぁ?」",
"396000111_177": "「練習して、絶対リベンジするからッ!」",
"396000111_178": "「それにしても強かった、\\n 藤尭さん……」",
"396000111_179": "「俺でも皆に勝てるなんて、\\n 素晴らしすぎるゲームだった……ッ!」",
"396000111_180": "「没入型とはいえ、ゲーム的な部分に\\n 皆さん苦戦していましたね」",
"396000111_181": "「けどそれが面白くて、\\n ハマっちゃいそうですね」",
"396000111_182": "「あの2人は……\\n 何戦目だ?」",
"396000111_183": "「調ッ!\\n やっぱり、もう1回デスッ!」",
"396000111_184": "「今日はもう終わりだよ、切ちゃん」",
"396000111_185": "「わたしの勝ち越しで。\\n ……フフ」",
"396000111_186": "「納得いかないデースッ!",
"396000111_187": " 次は絶対に負けないデスよッ!」",
"396000111_188": "「あの2人にはルールを決めないと\\n 入り浸っちゃいそうね」",
"396000111_189": "「…………。\\n よかったのか?」",
"396000111_190": "「えッ?\\n 何がでしょうか?」",
"396000111_191": "「……野暮なことを訊いているのは承知の上だが……」",
"396000111_192": "「エイプリルフールに皆を驚かしたいと\\n 頑張っていただろう?」",
"396000111_193": "「だが、反応を見るに、エイプリルフールとは特に関係ないと\\n 思われているような……いいのか?」",
"396000111_194": "「……確かに、最初はそのつもりでした。\\n 驚いてほしい、『そんなまさか』と思ってほしい――」",
"396000111_195": "「嘘をつくのは、どうしても気が引けてしまったので……\\n ボクにできる精一杯のことを、皆さんに味わってほしい」",
"396000111_196": "「そう思っていましたが……でも、いいんです。\\n だって――」",
"396000111_197": "「ボクの1番の目的は、\\n 皆さんに笑ってもらうことでしたからッ!」"
}