{ "394000221_0": "「よく来てくれたわね。\\n こんな状況だけど、歓迎するわ――と言いたいところだけど」", "394000221_1": "「む……?\\n どうした、了子くん」", "394000221_2": "「ついさっき、RN式の起動を確認したわ。\\n 絶対に使うなと言ったのをもう忘れたのかしら?」", "394000221_3": "「だが、戦えるのは俺しかいない。\\n ならば限界を超えてでも動くしかあるまい?」", "394000221_4": "「だから戦える人間を連れてこいと言ったのよッ!\\n 装者が援護に来てるんだからあなたは大人しくしてなさいッ!」", "394000221_5": "「す、すごい剣幕だね……」", "394000221_6": "「相変わらずと言っていいのか、\\n なんというか……」", "394000221_7": "「で、シンフォギア装者と……、\\n そっちも責任者が出てきた、って認識でいいわね?」", "394000221_8": "「ああ、S.O.N.G.司令の風鳴弦十郎だ。\\n 早速だが状況を共有してくれ」", "394000221_9": "「――この世界を襲っている危機。\\n その始まりは隕石の落下事件だったわ」", "394000221_10": "「港湾部へ落下した隕石による混乱が収まらぬまま、\\n 現れたのがあなたたちも戦った敵性存在」", "394000221_11": "「隕石を契機に現れたこと、そして特徴的な外見から、\\n 私たちは宇宙生命体と呼称しているわ」", "394000221_12": "「宇宙生命体……ッ!", "394000221_13": " 本当に宇宙人が来たんですね」", "394000221_14": "「UFOに乗ってきた月の人……、\\n ではないんですよね?」", "394000221_15": "「残念だけど、今回は本物よ。\\n ブリル協会は関係なし」", "394000221_16": "「こっちは地球を護るのに手一杯だってのに、\\n 他の星に手を出す余裕があるとは、羨ましいね」", "394000221_17": "「宇宙を自由に移動できるなら、\\n 地球よりすごい技術がありそう……」", "394000221_18": "「そこまで心配する必要はないわ」", "394000221_19": "「詳細を話すつもりはないけれど、真に特別な存在を除けば、\\n 宇宙人だからといって、恐れることはない」", "394000221_20": "「けれど忌々しいことに、厄介な敵ではあるわ。\\n あなたたちが戦ったのは宇宙生命体の子機でしかないの」", "394000221_21": "「敵は本体で戦わず、\\n 大量の子機をばらまいて被害を拡大してる」", "394000221_22": "「この世界は戦える人間が多くないわ。\\n 子機への対応がやっとの有様よ」", "394000221_23": "「小型機ですら、かなりの戦力だった。\\n 本体の対処には苦慮しそうだな……」", "394000221_24": "「最初はRN式に子機の対応をさせて、\\n その間に本体を叩く予定だったんだけどね」", "394000221_25": "「想像以上の数に戦いが長期化してな。\\n RN式に頼りすぎた結果、不覚をとった」", "394000221_26": "「俺も長期戦を考え、\\n 生身で戦うべきだったか……」", "394000221_27": "「それだけ被弾して生きてるのはRN式があったからよ。\\n 簡単に生身で戦おうとするんじゃないの」", "394000221_28": "「大体、二課を出た時はそこまでボロボロじゃなかったでしょう?\\n デュプリケイターを使う前にも勝手に戦ったわね?」", "394000221_29": "「市民を護るために、\\n 俺が身体を張るのは当然だ」", "394000221_30": "「……この調子よ。これじゃ犠牲が出るのも遠くないと思ってね。", "394000221_31": " あなたたちに救援を求めることにしたの」", "394000221_32": "「……なるほどな、妥当な判断だ。\\n 頼ってもらえたことを嬉しく思う」", "394000221_33": "「S.O.N.G.司令のあなたに確認するけど、\\n そっちの世界に宇宙人は?」", "394000221_34": "「隕石については同じような事件が起きた。\\n しかし敵性存在は現れず、問題なく収束している」", "394000221_35": "「天羽奏の世界の風鳴弦十郎も、同じことを言っていた……。\\n 宇宙生命体が現れたのはこの世界だけと見るべきね……」", "394000221_36": "「奏の世界の俺にも、\\n コンタクトをとったのか?」", "394000221_37": "「ええ、さっきまでこの世界にいたわ。\\n デュプリケイターのテストも兼ねてね」", "394000221_38": "「新型デュプリケイターは、各世界の対超常組織の内、\\n 信頼できる組織のトップに預けているようだ」", "394000221_39": "「量産性を活かして各世界に配備しているわけか……」", "394000221_40": "「ま、あたしの世界のダンナは戦えないからね。\\n いくつか気になる点だけ伝えて、早々に戻っていったよ」", "394000221_41": "「じゃあもう少し早く着いていたら、\\n 師匠が3人並ぶところだったんですね」", "394000221_42": "「それは見てみたかったような……。\\n ちょっと怖いような……」", "394000221_43": "「馬鹿を言わないで。\\n こんなのが何人いたって暑苦しいだけよ」", "394000221_44": "「2人いるだけでもわかりにくいったら。\\n こうまで『同じ』とは思わなかったわ」", "394000221_45": "「でもちょっと印象は違いますよッ!」", "394000221_46": "「師匠は司令って感じですけど、こっちの世界の師匠は戦う人、\\n 剛の者、ってイメージがありますッ!」", "394000221_47": "「嬉しいことを言ってくれる。\\n 俺は剛の風鳴弦十郎、か」", "394000221_48": "「ならば俺は柔の風鳴弦十郎とでも名乗ればいいか?\\n それもまた戦士の本懐というところだな」", "394000221_49": "「いいですねッ! 師匠は強いだけじゃなくて、\\n 柔よく剛を制してますからッ!」", "394000221_50": "「余計にややこしいからやめなさい」", "394000221_51": "「こちら英雄部隊ッ!\\n 二課本部ッ! 聞こえているんですかッ!?」", "394000221_52": "「約束の増援はまだなんですかッ!\\n この英雄を量産型の相手で使い潰すなど正気じゃないッ!」", "394000221_53": "「ウェル博士ッ!?」", "394000221_54": "「宇宙生命体の本体は、隕石の落下した港湾部を動いていないわ。\\n あなたたちの到着まで時間を稼がせておいたのよ」", "394000221_55": "「それにしても、あいつに正気を疑われるのは不愉快ね。\\n もう少し放っておこうかしら」", "394000221_56": "「聞こえていますよッ!\\n いくら補給しながら戦える僕でも限界はあるんですッ!」", "394000221_57": "「その余裕のある口ぶりは戦闘要員が来たんでしょうッ!?\\n この頭脳を活かすべき時ですッ! さっさと交代しなさいッ!」", "394000221_58": "「だそうよ、悪いけど頼めるかしら」", "394000221_59": "「もちろんですッ!\\n わたしたちはそのために来たんですからッ!」", "394000221_60": "「……あなたたちの世界に、これ以上の借りは作りたくないわ。", "394000221_61": " 必ず無事に帰ってくること。いいわね?」", "394000221_62": "「……はい、わかりました」", "394000221_63": "「やれやれ、素直じゃない言い方だな」", "394000221_64": "「これが彼女なりの激励だ。\\n 悪いが応えてやってくれ」", "394000221_65": "「つまらないことを言ってないで指揮に入りなさい。\\n 怪我人だからといって休ませる気はないわよ」", "394000221_66": "「もちろんだとも。\\n 総員、装者のサポートに入るぞッ!」", "394000221_67": "「…………」", "394000221_68": "「師匠?\\n どうしたんですか?」", "394000221_69": "「ああ、すまない。俺からも許可する。\\n この世界の二課の協力のもと、宇宙人の迎撃を行ってくれ」", "394000221_70": "「……自分が取りこぼした未来が、可能性がそこにある。\\n 並行世界というものを知り、わかっていたつもりだったのだがな」", "394000221_71": "「実際にこの世界の了子くんを目にすると、\\n こうも胸がざわつく」", "394000221_72": "「弦十郎さん……」", "394000221_73": "「いや……すまない、気にするな。こんな苦しみを、\\n お前たちは幾度となく乗り越えてきたのだろう?」", "394000221_74": "「ならば俺も負けるわけにはいかん。\\n これに関しては2人を先達と呼ぶべきだな」", "394000221_75": "「乗り越えたなんて、胸を張る自信はないですよ。\\n わたしだって、今でもやっぱり……」", "394000221_76": "「ん?\\n どうした、出撃前にしんみりしちまって」", "394000221_77": "「……いいえッ!\\n 奏さんは頼りになるなって思ってたんですッ!」", "394000221_78": "「あたしも頼りにしてるよ。", "394000221_79": " さあ、気合い入れていくよッ!」", "394000221_80": "「はいッ!」", "394000221_81": "「……相変わらず、いい子たちね。\\n 本当に、腹が立つぐらい」", "394000221_82": "「ああ、俺にはもったいない仲間だ。", "394000221_83": " ――こちらも、彼女たちの献身に応えなくてはなッ!」" }