{ "392000711_0": "エジソンという男", "392000711_1": "「はあ、はあ……ッ!」", "392000711_2": "「ムッ!?\\n き、貴様はあのときの……ッ!?」", "392000711_3": "「ようやく見つけたデスよッ!」", "392000711_4": "「見た感じ……あなたが、\\n 不死身のサイボーグおじさんデスね?」", "392000711_5": "「……ッ!?", "392000711_6": " ……そうか、貴様は並行世界の……」", "392000711_7": "「ああ、並行世界のアタシと会ったことがあるデスね。\\n アタシはまた別の暁切歌デースッ!」", "392000711_8": "「セレナ先生たちに頼まれて、\\n 毒のサンプルをお届けにきたデスよッ!」", "392000711_9": "「こ、これは……\\n スズメバチの毒針ッ!?」", "392000711_10": "「よかった、副隊長と\\n 無事に合流できたんですねッ!」", "392000711_11": "「あ、ありがとうございますッ!\\n これでヒメジマ班長を助けられる……ッ!」", "392000711_12": "「う、うぅ……\\n 少し……ほ……ほっとしたっスね……」", "392000711_13": "「……間一髪で命拾いしたな。\\n まったく、悪運の強い女だ」", "392000711_14": "「な、なぁに言ってる、っス、かぁ……\\n 命拾いしたのはアンタも同じ――ゲホゲホッ!」", "392000711_15": "「フン……黙っていろ。", "392000711_16": " おい小娘、毒針をよこせ。抗毒素の生成を始める」", "392000711_17": "「はいデスッ!」", "392000711_18": "「さてと、無事にミッションも完了したデスし、\\n アタシはセレナたちの援護に戻るデスよッ!」", "392000711_19": "「隊長と副隊長は、\\n 無事なんですかッ!?」", "392000711_20": "「無事デスッ! けど、ハチとトンボの大群に襲われて\\n 今エラいことになってるデス」", "392000711_21": "「え、えええッ!?」", "392000711_22": "「なんせベラボウな数デスからね。", "392000711_23": " みんなの昆虫博士であるこのアタシが戻って――」", "392000711_24": "「……待て。\\n 奴らと戦うのなら、これを持っていけ」", "392000711_25": "「……??\\n なんデスか、これ?」", "392000711_26": "「……待っている間、暇だったのでな。作ってみた。\\n そいつをギアに組み込んでみろ」", "392000711_27": "「えーと……こうデスか?」", "392000711_28": "「ッ!?\\n アタシのギアが……ッ!?」", "392000711_29": "「何か、聖遺物を使ったデスかッ!?」", "392000711_30": "「聖遺物ではない、科学技術だ。", "392000711_31": " 聖遺物同士による反発を抑え込むのを待っている暇はなかろう?」", "392000711_32": "「それは、奴らに対抗するための特効装備……\\n いわば、『インセクトギア』ッ!」", "392000711_33": "「インセクトギア……ッ!?」", "392000711_34": "「そのギアには、スズメバチをも殺す\\n ミツバチの因子が組み込んである」", "392000711_35": "「おそらく、スズメバチが暴走したときに\\n ここの者たちが研究していたのだろう、データは豊潤だった」", "392000711_36": "「もっとも、ここの研究員たちは\\n ギアの存在などは知らなかっただろうがな」", "392000711_37": "「そ、それを元に、この短時間で\\n 完成させてしまったデスか……ッ!?」", "392000711_38": "「……私を誰だと思っている。\\n 不可能を可能にする、天下の発明王ッ!」", "392000711_39": "「トーマス・エジソンがこの私の名だッ!」", "392000711_40": "「……」", "392000711_41": "「ま、またカッコいいこと言っちゃって……ケホッ!\\n 不死身のサイボーグおじさんがお似合いっスよ」", "392000711_42": "「そ、その呼び方はやめろッ!」", "392000711_43": "「……なんだか不思議デス。\\n 報告書で知った話と、印象が全然違うデスよ」", "392000711_44": "「元は悪の科学者で、全身サイボーグ?\\n もっと怖い人だと思ってたデスよ」", "392000711_45": "「…………」", "392000711_46": "「人道を逸れたことへの謝罪はすまい。……テスラを超えたい。\\n あれは、紛うことなく私の……悲願だったのだから」", "392000711_47": "「だが、それでも……\\n あのクソ生意気な若造や、そこの女に言われるまでもない……ッ」", "392000711_48": "「私は、見失ったわけではない。\\n 科学への純粋な志は――愛は。あのときも、今も……」", "392000711_49": "「要するに、今は改心して\\n APPLEの仲間になったってことで……ゲホゴホガホッ!?」", "392000711_50": "「な、仲間になった覚えなどないッ!", "392000711_51": " 貴様はもう黙っていろッ!」", "392000711_52": "「……フフフッ! このインセクトギア、\\n ありがたく使わせてもらうデスよッ!」", "392000711_53": "「……ッ」", "392000711_54": "「この私の技術が組み込んであるのだ。\\n 負けることは許さんぞッ!」", "392000711_55": "「合点デスッ!」" }