{
"392000221_0": "「この研究所、だいぶ古いですね。\\n 人が離れてからどれぐらい経ってるんだろう……」",
"392000221_1": "(けど、なんだろう?\\n どこか見覚えがあるような……ないような……?)",
"392000221_2": "「少なくとも数十年か……\\n あるいは、百年以上経ってるかもしれないわね」",
"392000221_3": "「……それにしても、そこかしこに気配がある。\\n 警戒しつつ進みましょう」",
"392000221_4": "「了解デスッ!」",
"392000221_5": "「……それにしても不気味デス。\\n 不時着するにしても、もっと良いところがなかったデスか……?」",
"392000221_6": "「不時着だって言ってるでしょ。\\n 場所を選んでいる余裕があるわけないじゃない……」",
"392000221_7": "「それに、ある意味じゃラッキーだったのよ」",
"392000221_8": "「あの『フェイク』は、\\n 出発地点と着地地点が同じ座標じゃないと起動しないから」",
"392000221_9": "「……え?」",
"392000221_10": "「同じ座標……デスか?」",
"392000221_11": "「……ごめんなさい、本来は並行世界を渡る前に話すべきだった。\\n けど、時間を使いたくなくて……」",
"392000221_12": "「幸い、『緊急用だ』と渡されていたものもあったしね。\\n こちらは使わずに済んだのは幸いよ」",
"392000221_13": "「まあ、ともかく……」",
"392000221_14": "「この場所は、どこの並行世界かはわからなくても……\\n あなたの世界ではS.O.N.G.がある地点ということよ」",
"392000221_15": "「本当に、よく停泊している港にいてくれてよかった」",
"392000221_16": "「どええッ!?」",
"392000221_17": "「しッ!\\n 声を抑えてッ!」",
"392000221_18": "「ご、ごめんなさいデスッ!\\n でも、S.O.N.G.本部は今や海上に……」",
"392000221_19": "「……わかってる。ちょっとした賭けではあったし、\\n 詳しいことはわたしにもわからないわ」",
"392000221_20": "「この並行世界の対超常組織が『かつて』あった場所なのか、\\n もしかしたら海上に浮かぶ人工島なのかも」",
"392000221_21": "(『フェイク』でこじ開けたゲートを使って行き来したのに、\\n 出口が変わっていたから……これはあながち遠くない予想かも)",
"392000221_22": "「まあ……」",
"392000221_23": "「仔細はわからなくても、うちの科学班長が『使える』と言った。\\n だからわたしは、『同じ座標』のS.O.N.G.に跳んだのよ」",
"392000221_24": "「はへぇ……さすがAPPLEの艦長さんデス。\\n 信頼してるデスね、その人のこと」",
"392000221_25": "「……フ。\\n そう、ね」",
"392000221_26": "「気が利かないし勝手だし、いい加減なやつだけど",
"392000221_27": " APPLEの家族を……ナツミを失いたくないの」",
"392000221_28": "「もしかして、負傷者って……」",
"392000221_29": "「……」",
"392000221_30": "「名前は聞いたことあったデスが、『フェイク』を\\n 作ってしまうなんてナツミさんはすごい科学者なんデスねぇ」",
"392000221_31": "「だったら、ド根性だってあるはずデスッ!\\n ちっとやそっとじゃへこたれないはずデスよッ!」",
"392000221_32": "「……ありがと。\\n その通りね」",
"392000221_33": "「ただ、今回の『フェイク』に関していえば\\n ナツミだけの研究でもないんだけど……」",
"392000221_34": "「おおう? APPLEにはナツミさんの他にも\\n 優秀な科学者の人がいるデスか?」",
"392000221_35": "「ええ、まあ……」",
"392000221_36": "「……2人とも、待ってください。\\n 何か近づいてきます……ッ!」",
"392000221_37": "「ッ!?\\n 2人とも、隠れて……ッ!」",
"392000221_38": "「――――」",
"392000221_39": "「ひッ……!」",
"392000221_40": "「シーッ!\\n 大きな声を出さないでッ!」",
"392000221_41": "「ごごご、ごめんデスッ!",
"392000221_42": " でもあれ、アトラスオオカブトってやつデスよッ!」",
"392000221_43": "「昨日のテレビで見たデスッ!\\n カブトムシの中でも、獰猛で攻撃的で……」",
"392000221_44": "「けど、あの大きさは非常識デスッ!\\n なんデスかアレ……戦車デスかぁッ!?」",
"392000221_45": "「マリアさん、どうしますか?」",
"392000221_46": "「このまま隠れてやり過ごすか、\\n それとも力を合わせて強行突破するか……」",
"392000221_47": "「…………」",
"392000221_48": "「あのカブトムシがいる辺りに、\\n みんなが隠れていたのよ……」",
"392000221_49": "「え……ッ!?」",
"392000221_50": "「それって……APPLEの人たちと合流するには、\\n あのオオカブトをどうにかしないと……」",
"392000221_51": "「…………」",
"392000221_52": "「やり過ごしてる時間はないわ。\\n 2人とも、強行突破よッ!」",
"392000221_53": "「わ、わかりました……ッ!」",
"392000221_54": "「せ、戦車サイズになったからって、\\n アタシたちが怖がると思わないことデースッ!」"
}