{ "391000931_0": "「必死で橋を駆けていたら、\\n また光に包まれたけど……ここは……」", "391000931_1": "「……どうやら、S.O.N.G.本部内のトレーニングルームのようね。", "391000931_2": " 無事に戻って来られたのかしら……」", "391000931_3": "「良かったッ!", "391000931_4": " わたし、急いで無事を報告して来ま――」", "391000931_5": "「――ッ!!」", "391000931_6": "「――えッ!?」", "391000931_7": "「なッ!?」", "391000931_8": "「……どうしたの、響。\\n そんなに強く抱き締められると、少し痛いよ?」", "391000931_9": "「……抱き締めるなら未来1人じゃないの?", "391000931_10": " どうしてわたしまで……って本当に痛いんだけど?」", "391000931_11": "「ごめんッ! ごめんねッ!\\n わたし、今まで2人を困らせちゃってた……」", "391000931_12": "「え……?」", "391000931_13": "「わたしとヒビキは、\\n 同じだけど、違うんだ……ッ」", "391000931_14": "「そんな当たり前のことが、見えてなかった。\\n ヒビキのこと、『もう1人のわたし』があんなに追い詰めてた」", "391000931_15": "「……違うよ。\\n 響がわたしを追い詰めたんじゃない」", "391000931_16": "「わたしは響より、\\n ちょっと迷子になりやすいってだけ」", "391000931_17": "「あのさ。\\n ……もしかしてなんだけど、ずっと見てた?」", "391000931_18": "「はい。響さんが読んで、教えてくれていました。\\n 『物語』に刻まれていく、皆さんの軌跡を……」", "391000931_19": "「そ、そうなの……?」", "391000931_20": "「うんッ!\\n ずっと読んでたよッ!」", "391000931_21": "「未来と、マリアさんと、ヒビキが……。\\n そしてギンくんが必死に戦って、頑張った物語をッ!」", "391000931_22": "「……それって、ちょっと恥ずかしいんだけど」", "391000931_23": "「な、なんでッ!?\\n どうしてそっぽ向いちゃうのーッ!?」", "391000931_24": "「……ずっと、誰かに見られているような気はしてたけど……」", "391000931_25": "「まさか、響に読まれてるなんて思ってなかったし。\\n 結構、恥ずかしいこと言ってたかもしれないし……」", "391000931_26": "「恥ずかしくなんてないよッ!\\n ヒビキの気持ち、すっごく伝わってきたッ!」", "391000931_27": "「だから、それが……ッ!」", "391000931_28": "「諦めなさい。\\n この立花響は、こういうことを平気でするのよ」", "391000931_29": "「ア、アハハハハ……」", "391000931_30": "「わたし、思ったんだ」", "391000931_31": "「わたしたちは、別々の立花響だから、\\n こうして、今ここにいられるんだね」", "391000931_32": "「うん。\\n わたしも、そう思った」", "391000931_33": "「1人だったら、\\n きっと、色々なことに気付けなかった」", "391000931_34": "「今回も、ちゃんと戻って来られたのは、\\n 未来がいて、マリアが支えてくれたから……」", "391000931_35": "「こちらこそ。\\n あなたには随分助けられたわよ」", "391000931_36": "「……ね、2人に改めて言わせてくれるかな」", "391000931_37": "「どれだけ伝えても、きっと足りないから。\\n だから、何度だって伝えたいんだ」", "391000931_38": "「……え?」", "391000931_39": "「ごめん。", "391000931_40": " それに、ありがとう」", "391000931_41": "「あのとき、\\n 響が伸ばしてくれた手を、振り払ってごめん」", "391000931_42": "「あのとき、\\n 未来が寄り添ってくれた優しさを、傷付けてしまってごめん」", "391000931_43": "「それでも……」", "391000931_44": "「ありがとう。\\n わたしに、手を伸ばしてくれて」" }