{
"391000131_0": "(2人とも気を失ってるだけだ……\\n けど、頭を打ってたりしたら、揺り動かして起こすのは……)",
"391000131_1": "「そうだ……\\n ねえ、キミッ!」",
"391000131_2": "「ふ、ふえッ!?\\n ぼく?」",
"391000131_3": "「この2人、いつから気絶しているの……ッ!?」",
"391000131_4": "「わ、わかんない。\\n ぼくも、お姉ちゃんより少し前に目が覚めたところで……」",
"391000131_5": "「……キミも?」",
"391000131_6": "「ん……」",
"391000131_7": "「あ……ッ!」",
"391000131_8": "「ンん……。\\n ここ、は……」",
"391000131_9": "「気を失っていたようね……。\\n 少なくとも、わたしたちがいた遺跡ではないようだけど」",
"391000131_10": "「周囲の景色が全然違う。いったい何が……",
"391000131_11": " って、そこにいるのは――ッ!?」",
"391000131_12": "「さっきの遺跡で見かけたときは、一瞬間違えちゃったけど……\\n あなた、並行世界のヒビキだよねッ!?」",
"391000131_13": "「さすがだね、未来は。\\n すぐに『自分の世界の』響じゃないってわかるなんて」",
"391000131_14": "(ううん……\\n 当たり前、かな)",
"391000131_15": "「驚いた……久方ぶりになるわね。",
"391000131_16": " けれどあなた、どうしてここに?」",
"391000131_17": "「……わからない。どこかの遺跡で\\n 不思議な本に触れようとして、気付いたらここに」",
"391000131_18": "「そう……」",
"391000131_19": "「……ここしばらく、\\n エレクライトで並行世界を渡っていたけれど」",
"391000131_20": "「着いた世界がどの並行世界なのか、とか。\\n 確かめなくなって久しいから」",
"391000131_21": "「けど、\\n あなたと未来がいるってことは――」",
"391000131_22": "「この世界は、\\n もう1人の響の世界なの……?」",
"391000131_23": "「一旦、みんなの持っている情報をまとめましょうか。\\n どうやら、わからないことばかりのようだし」",
"391000131_24": "「……そちらの少年のことも含めて、ね」",
"391000131_25": "「…………ぼ、ぼく?」",
"391000131_26": "「ええ。\\n 無視してしまったようになって、ごめんなさいね」",
"391000131_27": "「わたしはマリア・カデンツァヴナ・イヴ。\\n もう少しだけ、先に情報交換をさせてもらってもいいかしら?」",
"391000131_28": "「も、もちろんッ!\\n ぼく、おとなしく待ってるよッ!」",
"391000131_29": "「――というわけで、わたしとこの子は、\\n S.O.N.G.の任務で、あの遺跡を訪れていたの」",
"391000131_30": "「朽ち果てた遺跡に、\\n 超常の力を秘めたものが眠っているという情報を得てね」",
"391000131_31": "「哲学兵装なのか聖遺物なのかはわからないんだけど、\\n それの回収をしに来ていたんだ」",
"391000131_32": "「超常の力を秘めたもの?",
"391000131_33": " もしかして……わたしが触っちゃったあの本が?」",
"391000131_34": "「確証はないけれど、可能性は大きいわね。\\n ひとまず、現状でわかることは――」",
"391000131_35": "「わたしたちは今、本部との通信も繋がらない場所に、\\n こうして飛ばされたようだ……ということ」",
"391000131_36": "「ご、ごめん……。\\n 迂闊だった」",
"391000131_37": "「あ、あの……ッ!」",
"391000131_38": "「ご、ごめんなさいッ!\\n お話の邪魔をしちゃって……」",
"391000131_39": "「でも……ぼく、お姉ちゃんたちに、\\n どうしても聞きたいことがあって……」",
"391000131_40": "「大丈夫よ。むしろお行儀よく待っていてくれてありがとう。\\n わたしたちの話も、おかげで一段落したわ」",
"391000131_41": "「うん。\\n それで、何が聞きたいのかな?」",
"391000131_42": "「ありがとう。\\n えっと、えっとね――」",
"391000131_43": "「お姉ちゃんたちは誰?\\n どこから来たの? そのカッコイイ装備は何ッ!?」",
"391000131_44": "「栗色の髪のお姉ちゃんは、\\n どうしてカッコイイ装備を着てないのッ!?」",
"391000131_45": "「お姉ちゃんたちは怖い人じゃないよね……ッ!?」",
"391000131_46": "「それと――それと――」",
"391000131_47": "「ちょ、ちょっと待ってッ!?\\n そんなに質問されても、一度には答えられないからッ!」",
"391000131_48": "「けど、まずは安心してほしいな。\\n わたしたちは、あなたに怖いことなんてしないよ」",
"391000131_49": "「カッコイイって言ってくれたけど……もしかしたら、\\n シンフォギアがちょっと怖く見えるかな? それなら……」",
"391000131_50": "「あ……」",
"391000131_51": "「フフ。\\n それじゃ、1つずつ順番に答えていくね」",
"391000131_52": "「わたしの名前は、小日向未来。\\n マリアさんはさっき名乗っていたから、あとは……」",
"391000131_53": "「……わたしは、立花響」",
"391000131_54": "「それで、キミの名前は?」",
"391000131_55": "「ぼくの名前?\\n それは――」",
"391000131_56": "「思い出せないんだ」",
"391000131_57": "「……え?」",
"391000131_58": "「じゃあ、何も覚えていないの?」",
"391000131_59": "「うん。\\n 気が付いたら、お姉ちゃんたちの隣で眠っていたみたいで……」",
"391000131_60": "「それまで何をしていたのか、\\n ぼくが誰なのか……ちっとも思い出せないんだ」",
"391000131_61": "「記憶がないこと以外に、身体に異常はない?\\n でも、わたしたちと同じように眠っていたとなると……」",
"391000131_62": "「この子も、わたしたちと同じく、\\n あの本の光に巻き込まれた、と考えられるわね」",
"391000131_63": "(……巻き込まれた?\\n 本当にそうなのかな?)",
"391000131_64": "(わたしが本に触れたとき、\\n 周りに、こんな子はいなかったと思うけど……)",
"391000131_65": "(それよりも、なんだか似てる気がする。\\n あの光の中にいた人影に……)",
"391000131_66": "「……ねえ、キミ。\\n わたしのこと、呼んだりしなかった?」",
"391000131_67": "「え……?",
"391000131_68": " ……うーん、そんなこと、ぼくはしてないと思うけど……」",
"391000131_69": "「そう……」",
"391000131_70": "「ヒビキ、\\n 何か気になることがあるの?」",
"391000131_71": "「ううん、なんでもない。\\n ただの気のせいだと思う」",
"391000131_72": "(さっき見た白昼夢のような何かは……\\n 本当に、ただの夢だったのかな……?)",
"391000131_73": "「こうしていても、何もわからないままね」",
"391000131_74": "「その子の安全を確保しつつ、\\n 周辺を探索してみましょう」"
}