{ "388000111_0": "陰に忍ばぬその者は", "388000111_1": "「おおぉッ!」", "388000111_2": "「く……ッ!\\n ちょこまかとすばしっこいッ!」", "388000111_3": "「明らかに普通のアルカ・ノイズとは動きが違う……。\\n 興味深いわね」", "388000111_4": "「感心している場合かッ!」", "388000111_5": "「正しい判断には敵の分析が必要でしょう」", "388000111_6": "「その点で言えば、今の戦力ではこの状況、\\n いささか手に余ると思うけど?」", "388000111_7": "「……確かにな。こうも捉えづらいと、\\n 持久戦に向かないRN式では分が悪いか」", "388000111_8": "「かといって、客人に無茶をさせるわけにもいかない。\\n ……でしょ?」", "388000111_9": "「わたしなら大丈夫ですッ!」", "388000111_10": "「いや、定期連絡のため来てくれた君に、\\n 不明勢力相手の無茶をさせるわけにはいかない」", "388000111_11": "「ここは我々が引き受ける。\\n 君は自分の世界に戻るんだ」", "388000111_12": "「そんなッ!\\n 放っておくなんて、できませんッ!」", "388000111_13": "「早まるな。その上で、救援を要請したい。\\n この数のアルカ・ノイズ……装者の力が必要だ」", "388000111_14": "「……ッ、……わかりました。", "388000111_15": " わたしが戻るまで、持ちこたえてくださいねッ!」", "388000111_16": "「ああ、約束しよう」", "388000111_17": "「――さて、俺たちは救援が来るまで、\\n せいぜい持ちこたえるとするか」", "388000111_18": "「簡単に言ってくれるわね」", "388000111_19": "「不安か?」", "388000111_20": "「冗談はよして。これくらい物の数じゃないし、\\n いざとなったらあなたを囮にしてでも生き延びるわ」", "388000111_21": "「フッ、その意気だ。", "388000111_22": " 行くぞッ、遅れるなッ!」", "388000111_23": "「あなたこそねッ!」", "388000111_24": "「よッ。定期報告に来たぞー。元気してたか?\\n ……って」", "388000111_25": "「お願いしますッ!\\n すぐに救援を……ッ!」", "388000111_26": "「無論だ。だが、タイミングが悪いな……。\\n 友里、すぐに動ける装者は?」", "388000111_27": "「響ちゃんとクリスちゃんは別任務に出ています。\\n 調ちゃんと切歌ちゃんはギアの調整中ですッ!」", "388000111_28": "「翼さんはライブに備えて、\\n 今すぐにでも現地に出発しなければいけません」", "388000111_29": "「救援に回せるのは、わたしだけということね。\\n できれば前衛で戦える装者がもう1人は欲しかったけれど」", "388000111_30": "「なんだなんだ?\\n やけに騒がしいな」", "388000111_31": "「奏、来ていたの?」", "388000111_32": "「ついさっきな。", "388000111_33": " それで、この騒ぎはどういうことだ?」", "388000111_34": "「実は……」", "388000111_35": "「並行世界の二課が襲撃されたッ!?」", "388000111_36": "「ああ。たまたま定期連絡に行っていた未来くんが\\n 状況を知らせてくれた」", "388000111_37": "「援軍を送り出したいところだが、\\n なにぶん、手すきの装者が少ない」", "388000111_38": "「すまないな、定期報告に来てもらったのに慌ただしくて」", "388000111_39": "「あたしのことは気にしないでくれ。", "388000111_40": " それより大丈夫なのか、その並行世界は?」", "388000111_41": "「装者こそいないけれど、独自の武装を持っている世界だから……\\n 簡単にやられはしないでしょうけど」", "388000111_42": "「ギアなしで戦っている以上、\\n アルカ・ノイズの相手は危険、ってことだな」", "388000111_43": "「こうなれば止むを得ません。\\n ライブは中止し、わたしも小日向と共に向かいます」", "388000111_44": "「翼、それは……」", "388000111_45": "「止めてくれるな、マリア。\\n 世界は違えど、幾度も力を合わせて危難を乗り越えた仲間だ」", "388000111_46": "「ここで刃を抜かずして、いつ抜くッ!」", "388000111_47": "「それはダメだ、翼」", "388000111_48": "「奏……?」", "388000111_49": "「翼の歌を待っている人がたくさんいるんだろ?\\n なら、その人たちに歌を届けるのが、今の翼の仕事だ」", "388000111_50": "「並行世界への増援は、あたしが代わりに行く」", "388000111_51": "「な……ッ!?」", "388000111_52": "「水くさいことはなしだ。あたしだって、一緒に並行世界を\\n 危機から救った一員だ。ダンナ、問題あるか?」", "388000111_53": "「……そちらの世界の二課で許可を得るのが条件だ」", "388000111_54": "「そう言ってくれると思ったよ」", "388000111_55": "「すぐに帰ってこれるとは限らない……。\\n その間、奏の世界が無防備になってしまうんじゃ――」", "388000111_56": "「なーに。あたしの世界にはあの錬金術師たちだっているんだ。\\n 少しは借りを返させろって」", "388000111_57": "「そこまで言われたら、止める言葉なんて、もう……。", "388000111_58": " ……小日向とマリアをお願い」", "388000111_59": "「ああ。そうと決まれば、さっそく準備だ。\\n 2人とも、よろしく頼むぞッ!」", "388000111_60": "「ええ、こちらこそ」", "388000111_61": "「急ぎましょうッ!\\n 向こうの世界のみんなが持ちこたえているうちに……ッ!」" }