{ "385000721_0": "「セレナ……ッ!?」", "385000721_1": "「また、姉さんが身代わりになるなんて……、\\n それじゃあ、あの時と同じ、なんにも変わっていないッ!」", "385000721_2": "「……」", "385000721_3": "「セレナに近づかないでッ!\\n わたしが……わたしがセレナを護ってみせるッ!」", "385000721_4": "「姉さんが呪いを受けたと知って、わたしは決めたのッ。\\n 今度はわたしが姉さんを助けるって……ッ!」", "385000721_5": "「そう決めたのに……。\\n わたしは今も、姉さんに助けられてばっかり……」", "385000721_6": "「セレナ……あなた、そんなことを……」", "385000721_7": "「往生際が悪いですよ」", "385000721_8": "「きゃあッ!?」", "385000721_9": "「セレナ……ッ!」", "385000721_10": "「話はついたはずです。\\n これ以上は、あなたの姉の覚悟を無駄にすることになりますよ」", "385000721_11": "「……お願い。呪いを受ける必要があるなら、わたしにしてッ!", "385000721_12": " これ以上、姉さんを苦しめないで……ッ!」", "385000721_13": "「残念ですが、それでは意味がありません。\\n 必要なのはあくまで、マリア・カデンツァヴナ・イヴの運命」", "385000721_14": "「あなたでは、代わりにはなれないのです」", "385000721_15": "「そんな……」", "385000721_16": "「わたしはまた、マリア姉さんを犠牲に……」", "385000721_17": "「セレナ……」", "385000721_18": "「――まったく。\\n あなたは本当に優しくて、馬鹿ね」", "385000721_19": "「え……?」", "385000721_20": "「わたしが一度でも、あなたの犠牲になったなんて、\\n 嘆いたことがあった?」", "385000721_21": "「確かに、身体の成長が止まったことを、\\n 辛く思う日もあった」", "385000721_22": "「でもね。わたしはあの選択が間違いだったなんて思ったこと、\\n 一度もないわ」", "385000721_23": "「だってわたしは、どんな姿でもセレナのお姉ちゃんなんだから。\\n 姉が妹を護るなんて、当たり前のことでしょ?」", "385000721_24": "「姉さん……」", "385000721_25": "「それにね。たとえ姿は子供のままでも、\\n わたしは姉として、セレナを導いてきたつもりよ」", "385000721_26": "「……」", "385000721_27": "「ほらね?\\n 何も犠牲になんかなってない。でしょ?」", "385000721_28": "「だから……もう少しだけ、待っていなさい」", "385000721_29": "「もう話はいいのですか?」", "385000721_30": "「ええ。それより、1つだけ教えなさい。\\n なぜ、わたしに呪いをかける必要があったの」", "385000721_31": "「――あなたが知る必要はありません」", "385000721_32": "「つれないわね。\\n ……まあ、いいわ」", "385000721_33": "「さあ、やるならさっさとして」", "385000721_34": "「ええ。\\n それでは――」", "385000721_35": "「――冥府の牢獄、タルタロスよ。\\n その力で、この者の運命を奪いなさい」", "385000721_36": "「姉さん……ッ!」" }