{ "385000511_0": "バトンタッチ", "385000511_1": "「おおぉッ! これが邪竜の聖遺物っスかッ!\\n 興味深いっスッ!」", "385000511_2": "「聖遺物は僕の専門外ですが……\\n 確かにそそられる一品ですね」", "385000511_3": "「これ、自分が解析してみてもいいっスか?」", "385000511_4": "「あのねぇ……。\\n まずあんたは、わたしに言うことがあるでしょうがッ!」", "385000511_5": "「装置が不完全なら、\\n そう言っておきなさいよッ!」", "385000511_6": "「えッ!? 注意書きはちゃんと貼り付けたっスよ?\\n 読まなかったんスか?」", "385000511_7": "「読んだわよッ!\\n クールダウンの真っ只中にねッ!」", "385000511_8": "「まあまあ、なんとかなったわけデスし、\\n いいじゃないデスか」", "385000511_9": "「ナツミさんの発明品で助かったのは確かだしね」", "385000511_10": "「まったく……。\\n 甘いわね、あんたたち」", "385000511_11": "「ともあれ、これでウロボロスに一歩リードすることができたな。\\n こいつさえあれば、連中の計画は止まるはずだ」", "385000511_12": "「ええ。\\n セレナたちも間もなく戻るでしょうしね」", "385000511_13": "「拘束したウロボロスのメンバーから情報を引き出して、\\n 残党を捕まえれば、いよいよウロボロスも壊滅ね」", "385000511_14": "「隊長、副隊長のチームが帰投しました」", "385000511_15": "「分かったわ。\\n 出迎えましょう」", "385000511_16": "「向こうのチームもうまくいったみたいデスねッ。\\n 調たちを出迎えるデースッ!」", "385000511_17": "「…………」", "385000511_18": "「ど、どうしたデスかッ!?\\n 2人とも、傷だらけデスよ……ッ!?」", "385000511_19": "「いったい、何があったの?\\n それに……」", "385000511_20": "「……セレナはどうしたの?」", "385000511_21": "「……ッ!」", "385000511_22": "「……すまんッ!\\n セレナは、オレたちを庇って……ッ!」", "385000511_23": "「い、遺跡の崩落に巻き込まれたデスか……ッ!?」", "385000511_24": "「そんな……ッ!」", "385000511_25": "「うそ……」", "385000511_26": "「セレナが……、セレナが……ッ!」", "385000511_27": "「い、急いで探しにいかないと……ッ!\\n 隊員を総動員して……ッ!」", "385000511_28": "「落ち着いてッ!」", "385000511_29": "「し、調……?」", "385000511_30": "「あとで気づいたんだけど、\\n わたしの懐にこんなものが入れられてた」", "385000511_31": "「これは……、\\n 怪盗ファントムシスターズの予告状……?」", "385000511_32": "「ファントム……なんだって?」", "385000511_33": "「……そう。\\n そういうことなのね……」", "385000511_34": "「何か意味があるんでしょう?\\n 2人の間でなら通じる意味が」", "385000511_35": "「――みんな、大丈夫よ。\\n セレナは生きている」", "385000511_36": "「ど、どういうことデスか?\\n その予告状で、何が分かったんデス?」", "385000511_37": "「セレナは怪盗型ギアを使って、単身、敵の懐に潜り込んだのよ。\\n 自分が死んだと見せかけてね」", "385000511_38": "「怪盗型ギア、っていうのはよく分からないけど、\\n あの状況を利用して、石屋って奴を欺いたのか?」", "385000511_39": "「翼たちを逃がして、ウロボロスの計画を阻止するために……?\\n でも、そんな危険なことをするなんて……」", "385000511_40": "「なんだかあいつ、様子がおかしかったよな。\\n 妙に気負ってるっていうか……」", "385000511_41": "「そういえば、石屋に向かってマリアから未来をどう……\\n とか言ってた。――心当たりは?」", "385000511_42": "「――ッ!」", "385000511_43": "「……ごめんなさい、時が来たら話すわ」", "385000511_44": "「……そう」", "385000511_45": "(……わたしの呪いを解くためだからって、\\n 自分だけでそんな危険なことをするなんて……)", "385000511_46": "「……ッ!」", "385000511_47": "「調、どこか痛むデスかッ!?」", "385000511_48": "「……敵から受けた攻撃のダメージが残ってるみたい」", "385000511_49": "「無理をせず、治療を受けて。\\n 情報を持ち帰ってくれただけで十分よ」", "385000511_50": "「そうデスよッ!\\n あとはアタシたちに任せるデスッ!」", "385000511_51": "「冗談じゃないッ! 仲間が危ない目に遭ってるってのに、\\n おちおち寝てられるかッ! オレも行くぞッ!」", "385000511_52": "「翼ッ!」", "385000511_53": "「ク、クリス……?」", "385000511_54": "「そんな状態の翼に、何ができるのッ!」", "385000511_55": "「い、いや、それは……」", "385000511_56": "「今はおとなしく傷を治して。\\n 翼を傷つけた敵は、きっとわたしが倒すから」", "385000511_57": "「それとも、わたしの力が信用できない?」", "385000511_58": "「クリス……」", "385000511_59": "「……分かったよ。\\n みんなに任せる」", "385000511_60": "「よろしい」", "385000511_61": "「調もデスよッ!\\n アタシに任せて、治療に専念してほしいデスッ!」", "385000511_62": "「……分かった。\\n でも、無茶はしないでね」", "385000511_63": "「2人は治療の上で検査を受けてもらってるわ。\\n わたしたちでこれからの方針を決めましょう」", "385000511_64": "「君の妹が1人でウロボロスを探っているとしたら、\\n 急いで救援に向かった方がいいだろう」", "385000511_65": "「あの石屋が生きていたのなら、なおさら危険だ」", "385000511_66": "「それに、エジソンがウロボロスに味方しているのも気になるね」", "385000511_67": "「まさかあのエジソンが存命で、\\n ウロボロスに味方しているとは……」", "385000511_68": "「なかなかおもしろい展開になってきたっスねぇッ!\\n あの大発明家が敵とは……腕が鳴るっスッ!」", "385000511_69": "「それなんだけど、ナツミには\\n 邪竜の聖遺物の分析を進めてほしいの」", "385000511_70": "「敵の計画を崩す役に立つかもしれないわ」", "385000511_71": "「ふむ……でしたらその役目、\\n 僕に任せていただいてもよろしいでしょうか?」", "385000511_72": "「あなたが?」", "385000511_73": "「ええ。ナツミさんはフォニックゲイン減衰機構の無効化に\\n 成功したそうですが、まだ改良の余地もあるとのこと」", "385000511_74": "「でしたら、ナツミさんは\\n その改良に集中していただいた方が効率的かと」", "385000511_75": "「確かにそうね……。\\n ナツミはそれでいい?」", "385000511_76": "「自分は構わないっスよー。\\n あの大発明家に挑むなら、どっちも必要だと思うっスからッ!」", "385000511_77": "「かの偉人が今も生き続けていて、敵として立ちはだかるなんて、\\n こんな腕の見せ所、そうそうあるもんじゃありませんッ!」", "385000511_78": "「それなら、どっちの発明がエジソンをぎゃふんと\\n 言わせられるか、勝負っスッ!」", "385000511_79": "「受けて立ちましょうッ! クックック……僕の発明で、\\n かの天才の鼻を明かせるなんて、最高じゃないですかッ!」", "385000511_80": "「であれば、役割分担は完了したわね」", "385000511_81": "「でも、どうやってウロボロスの潜伏先を特定するデスか?」", "385000511_82": "「あ、それなら自分に考えがあるっス。\\n ちょっと待ってくださいっスよー」", "385000511_83": "「お待たせしたっス。\\n これを見てほしいっス」", "385000511_84": "「なんデスか、これ?」", "385000511_85": "「これは邪竜の聖遺物から発されている波形を解析して、\\n 似通ったパターンの波形を探すレーダーっス」", "385000511_86": "「すごく微弱ですが、だいたいの方向は見当がついてるっスね。\\n 近付けば、もっとはっきりするっス」", "385000511_87": "「おおッ! つまり、お宝レーダーデスねッ!\\n まさか本当に作れるとは……すごいデスッ!」", "385000511_88": "「な――ッ!?」", "385000511_89": "「それじゃあ、潜伏先が分かり次第、\\n セレナを助けに行くわよ」", "385000511_90": "「2人とも、力を貸してもらうわよ」", "385000511_91": "「水くさいデスよ。\\n アタシたち、一緒に過ごした時間は短くても仲間なんデスから」", "385000511_92": "「そうだよ。それに、セレナさんは翼を助けてくれたんだもん。\\n 絶対に救い出してみせるよ」", "385000511_93": "「2人とも……ありがとう。", "385000511_94": " 必ず、セレナを救い出しましょう」", "385000511_95": "「うんッ!」\\n「はいデスッ!」" }