{ "385000411_0": "Bチーム、いわむろの淵にて", "385000411_1": "時は遡り、マリアたちの遺跡到着と同時刻――", "385000411_2": "「スクルドからの報告によれば、ウロボロスのメンバーたちが\\n 何かを探している遺跡の2箇所目は、ここ――」", "385000411_3": "「ぼちぼち、\\n クリスたちも、もう一方に到着してる頃か」", "385000411_4": "「切ちゃん、大丈夫かな……。\\n 危ない目にあってないといいけど」", "385000411_5": "「なんだ、心配なのか?\\n オレのクリスが一緒なんだ。なんの心配もいらないさ」", "385000411_6": "「む……わたしの切ちゃんだって、大丈夫に決まってる。\\n きっと誰よりも活躍してる」", "385000411_7": "「はいはい、みなさん。\\n 身内自慢はそれくらいにして、先に進みましょうね」", "385000411_8": "「それに、あっちには姉さんがいるんですからッ!\\n 大船どころか、戦艦に乗ったつもりでいいと思いますよ」", "385000411_9": "「…………」", "385000411_10": "「しかし、遺跡って聞いてたけど、\\n 天然の洞窟だよな、これ」", "385000411_11": "「ユリウスさんが受けた報告によれば、\\n この奥に人工的な空間があるようです」", "385000411_12": "「古代の人たちが天然の洞窟の奥に、\\n 地下遺跡を作ったのでしょう」", "385000411_13": "「隠された神殿、てとこか。\\n ますます怪しいな」", "385000411_14": "「……隠さないでくれたら楽だったのに。\\n ま、聖遺物が安置されているとしたら、そこだろうね」", "385000411_15": "「はい。\\n 見張り等が見当たらないのも、それが理由でしょう」", "385000411_16": "「つまり、本番はこれからってわけだ」", "385000411_17": "「なるべく正面衝突は避けて、\\n まずは相手の目的を探りたいところですが……」", "385000411_18": "「そうはいっても、報告によればウロボロスはもう、\\n 残党がかろうじて活動してる程度なんだろう?」", "385000411_19": "「だったら、奇襲をかけて全員捕まえてから\\n 情報を引き出してもいいんじゃないか?」", "385000411_20": "「確かに、ウロボロスを率いていたベアトリーチェと石屋……。\\n 両者ともに、先の戦いで倒れたと聞いています」", "385000411_21": "「ただ、残党のはずのウロボロスが、今日までスクルドやAPPLEの\\n 目をかいくぐって活動を続けてこれたことが引っかかります」", "385000411_22": "「確かに。誰かが新しい指導者になったとしても、\\n そう簡単にはまとまらないはず」", "385000411_23": "「情報が少なすぎるんだ、考えていても仕方ないさ。\\n それに、連中の頼みの綱は改造レーベンガーだろう?」", "385000411_24": "「あんたのとこのメカニックが作ったこの装置があれば、\\n フォニックゲイン減衰機構も怖くない……だよな?」", "385000411_25": "「それはそうかもしれませんが……」", "385000411_26": "「ぶっつけ本番は、ちょっと不安かも」", "385000411_27": "「なーに、出たとこ勝負はいつものことだ。\\n ニコラ・テスラの時だって、そうだったろ?」", "385000411_28": "「だからさ。\\n 今回だってあの時みたいに――」", "385000411_29": "「……ッ!\\n 静かに、話し声が聞こえますッ」", "385000411_30": "「……で、……ご確認ください、石屋様」", "385000411_31": "「……」", "385000411_32": "「ところどころ聞こえなかった、けど……", "385000411_33": " あいつ……石屋ッ!?」", "385000411_34": "「馬鹿な、あいつは死んだはずだろ……ッ!?」", "385000411_35": "「……だけど、下っ端の反応から、影武者でもなさそう。\\n ということは――」", "385000411_36": "「自分の死を偽装したのか……。\\n だとしたら、断然動きやすくなるはず」", "385000411_37": "「くそ……。\\n オレたち全員、まんまと騙されてたってわけか」", "385000411_38": "「死んだふりをして、ウロボロスを裏から操っていた。\\n 狡猾な男。……性格が悪い」", "385000411_39": "「だけど、これは奴を捕えるチャンスでもある。\\n 問題は戦力が十分じゃないことだな」", "385000411_40": "「できれば、クリスたちと合流してから仕掛けたいところだ。\\n セレナ、どうする?」", "385000411_41": "「…………」", "385000411_42": "(あの男……マリア姉さんに呪いをかけた張本人……ッ!\\n まさか、こんなところで出くわすなんて……ッ!)", "385000411_43": "(あの男なら、呪いを解く方法を確実に知っているはず……。\\n 石屋を捕まえれば、姉さんにかけられた呪いも解けるかも――)", "385000411_44": "「おい、セレナッ」", "385000411_45": "「……え?」", "385000411_46": "「こんな時にどうしたんだよ?\\n 呆けてる場合じゃないだろ?」", "385000411_47": "「何か、気になることでもあるの?」", "385000411_48": "「い、いえ、すみません。\\n 大丈夫です」", "385000411_49": "(そうだ……今の最重要目標は世界蛇復活の阻止。\\n そこを間違えてはいけない)", "385000411_50": "「……石屋がいる以上、こちらがウロボロスの本隊でしょう。\\n であれば、戦力も整っていると見るべきです」", "385000411_51": "「ついでに、あいつ自身も相当強いって話だな。\\n どうする? クリスたちを待つか、ここで仕掛けるか」", "385000411_52": "「それは……」", "385000411_53": "(ここで石屋を逃がしたくはない……。\\n でも、それはわたしの私情が混ざっていないとは言い切れない)", "385000411_54": "(姉さんだったら、どう判断する……?)", "385000411_55": "「――おい、なんだ貴様らはッ!?」", "385000411_56": "「……ッ!?", "385000411_57": " くそッ、巡回がいたのかッ!」", "385000411_58": "「貴様ら……シンフォギア装者ッ!?\\n 侵入者め――」", "385000411_59": "「させないッ!」", "385000411_60": "「ぐぁ……ッ!?」", "385000411_61": "「む? 今の音は……。", "385000411_62": " どうやら、ネズミが入り込んでいるようですね」", "385000411_63": "「しまった……ッ!」", "385000411_64": "「おい、気づかれちまったぞッ!\\n オレなら音をたてずに当て身で気絶させられたのにッ!」", "385000411_65": "「助けられておいて、その言いざま?」", "385000411_66": "「言い合いをしてる場合じゃないですッ!」", "385000411_67": "「隠れるだけ無駄です。この洞窟はここまで一本道。\\n 外に配置している者に連絡を入れれば、逃げ道はありません」", "385000411_68": "「それとも、挟み撃ちにされても勝つ自信がおありですか?」", "385000411_69": "「くそ……ッ!\\n セレナ、どうするッ!? やるかッ!?」", "385000411_70": "「この場のリーダーはあなた。\\n 早く決めて」", "385000411_71": "(こんな時、姉さんなら……ッ!)" }