{ "383000521_0": "響と翼がシュッツエンゲルの契りを結んだ後――", "383000521_1": "「わたしたちは、\\n シュッツエンゲルの契りを結んだわけなんですけど……」", "383000521_2": "「具体的にどうすればいいのだろうか?」", "383000521_3": "「そうですわね。シュッツエンゲルの契りは、\\n あくまできっかけに過ぎないとしても……」", "383000521_4": "「少しずつ、お互いの意識を変えていき、\\n 正しい姉妹としての姿になることが大事ですわ!」", "383000521_5": "「いや、別に正しい姉妹とやらになることを、\\n 目指しているわけではないのだが……」", "383000521_6": "「まあまあ、翼さん。\\n 試しに楓さんの話を聞いてみましょうよ」", "383000521_7": "「……立花、\\n どうして、お前は少し乗り気なんだ?」", "383000521_8": "「ストーップ!\\n 違いますわ~!!」", "383000521_9": "「えッ!?」", "383000521_10": "「お2人はもう姉妹なのですから、\\n そんな他人行儀な呼び名はいけませんわ~!!」", "383000521_11": "「ならば、どう呼べば?」", "383000521_12": "「……そうですわね。\\n 翼さんは響さんを『響』!」", "383000521_13": "「そして、響さんは翼さんを、\\n 『お姉様』と呼ぶのが、正しい姿です!」", "383000521_14": "「ひ、響だとッ!?」", "383000521_15": "「お姉様、か……」", "383000521_16": "「ほらほら、もう1回言ってくださいまし!」", "383000521_17": "「……仕方がない。\\n 形から入るのも大事なことだからな」", "383000521_18": "「で、ではッ!\\n わたしの方から行くぞッ!」", "383000521_19": "「はいッ!」", "383000521_20": "「い、いいかッ!?\\n 行くぞッ!!」", "383000521_21": "「はいッ!\\n いつでもかかって来てくださいッ!!」", "383000521_22": "「なんだか、\\n 戦いでもおっ始まりそうな雰囲気デスね……」", "383000521_23": "「なんと言いますか、スポ根的なノリですわね……。\\n こういうのが、こちらの世界の流行りなのでしょうか?」", "383000521_24": "「ちょっとお2人とも、\\n もう少し自然に話せませんこと?」", "383000521_25": "「自然にか……。", "383000521_26": " なぁ……ひ、響」", "383000521_27": "「はい、お姉様」", "383000521_28": "「……あー、その、なんだ。\\n 調子はどうだ、響?」", "383000521_29": "「はいッ!\\n すっごく元気です、お姉様ッ!」", "383000521_30": "「そうか、戦いは日々激しくなっていく、\\n 何かあった時は遠慮せず言うのだぞ、響」", "383000521_31": "「お姉様こそッ!\\n いつも無理ばかりされて、わたしは心配ですッ!」", "383000521_32": "「……そ、そうか。", "383000521_33": " すまない、気をつける」", "383000521_34": "「意外や意外、結構サマになってるデスねッ!」", "383000521_35": "「ですわね。\\n 翼さんのような凜とした方ですと、お姉様指数が高いですし」", "383000521_36": "「響さんも、人懐っこくて可愛らしいですし、\\n お2人とも、素晴らしいですわよ!!」", "383000521_37": "「う、うむ……そうか」", "383000521_38": "「ですが、まだ照れが抜けていないご様子……。\\n その初々しさも素晴らしいですが、今はこれを使う時!」", "383000521_39": "「じゃーん! わたくし特製の台本を用意しましたわ!\\n お2人でこれを演じていただければ、更に仲が深まりますわよ!」", "383000521_40": "「アタシも作るのに協力したデースッ!\\n いつも読んでる漫画とかを参考にしたデスよッ!」", "383000521_41": "「……台本だとッ?\\n どれ……」", "383000521_42": "「……おい」", "383000521_43": "「あら、なんですの?」", "383000521_44": "「本気で、これを演じろと言うつもりか?」", "383000521_45": "「当たり前ですわ。\\n せっかく、お2人の仲を深めるために準備したのですから!」", "383000521_46": "「む、むぅ……しかし……」", "383000521_47": "「お姉様、やってみましょうよッ!」", "383000521_48": "「た……響。\\n 先程も思ったが、やけに乗り気だな?」", "383000521_49": "「はいッ! 梨璃ちゃんたちのために、\\n できることは全部やっておきたいんですッ!」", "383000521_50": "(くッ!?\\n そう言われたら、断れないではないか……)", "383000521_51": "「……分かった。\\n わたしも覚悟を決めるとしよう」", "383000521_52": "「それでは、\\n アクション! ですわ!」", "383000521_53": "「あの……お姉様?」", "383000521_54": "「どうしたの? わたしの……か、可愛い響?\\n そんな不安そうな顔して、何か心配事でもあるの?」", "383000521_55": "「わたし、不安なんです。\\n お姉様がいつか、遠いところに行ってしまうのではないかと」", "383000521_56": "「フフ、そんなことはないわ。\\n わたしが響と離れることなんて、絶対にあり得ないもの」", "383000521_57": "「お姉様……、\\n そう言ってもらえて、わたし嬉しいです」", "383000521_58": "「それに、たとえどんなに遠い場所に行ったとしても、\\n わたしは、常に響の隣にいるわ」", "383000521_59": "「だって、わたしの心は、\\n もうとっくに、あなたに奪われてしまっているのだからッ!」", "383000521_60": "「お姉様……ッ!」", "383000521_61": "「だから、わたしの可愛い響、\\n 安心して、この胸の中に飛び込んで……飛び込んで――」", "383000521_62": "「って、こんな恥ずかしいセリフ、\\n 言えるわけがなかろうッ!!」", "383000521_63": "「ああ、もう少しだったのに!\\n どうしてそこで諦めるのですの!?」", "383000521_64": "「そうデスッ!\\n これも全て、梨璃や夢結さんのためなんデスよッ!」", "383000521_65": "「さあ、言ってご覧なさい!\\n この胸に飛び込んでこいと、胸を張って!」", "383000521_66": "「さあッ!」", "383000521_67": "「さあさあ!!」", "383000521_68": "「う、うう……。\\n わ、わたしの……可愛い響……」", "383000521_69": "「安心して、この胸の中に飛び込んで、来て……」", "383000521_70": "「…………」", "383000521_71": "「お、おい、どうした?\\n 次はそちらのセリフだぞ?」", "383000521_72": "「あ、ごめんなさいッ!\\n お姉様があまりに可愛くて、つい見入ってしまいました」", "383000521_73": "「なッ!?」", "383000521_74": "「確かに、今のはよかったデス。\\n 見ているこっちがドキドキしてしまったデス……」", "383000521_75": "「本当は、わたくしと梨璃さんで\\n 今のやり取りをしたいのですけれど……」", "383000521_76": "「さあ、次のシチュエーションは――」", "383000521_77": "「ええい、もういいッ!\\n あとはわたしの好きにさせてもらうッ!!」", "383000521_78": "「ああッ!\\n 待ってください、お姉様ッ!!」" }