{ "371000922_0": "「すごい……ッ! 力が溢れて、\\n 止まらないデス……ッ! これなら……ッ!」", "371000922_1": "「やぁぁぁッ!!」", "371000922_2": "「グオオ……グォオオオオオオ……ッ!!」", "371000922_3": "「よぉっし! 効いてます効いてます!\\n そのままサクっと倒しちゃってください!」", "371000922_4": "「……ッ!」", "371000922_5": "「だ、大丈夫ですか?\\n どこかケガでも――」", "371000922_6": "「――違うんデス」", "371000922_7": "「もしアタシが失敗したら、もう打つ手なしなんデスよね……\\n そう思ったら……ちょっと、足が震えちゃって……」", "371000922_8": "「心はこんなに燃えているのに、\\n 上手くいかないもの、デスね……ッ!」", "371000922_9": "「切歌さん……」", "371000922_10": "(そうだよね……今、あの手に\\n すべての期待がのしかかって――)", "371000922_11": "『――大丈夫だよ。切歌ちゃんならできるってッ!\\n プレッシャーに感じなくていいからッ!』", "371000922_12": "「え……?」", "371000922_13": "『こんな時こそ平常心よ。落ち着いて深呼吸しなさい』", "371000922_14": "「響さん……マリア……?」", "371000922_15": "「う……ッ!」", "371000922_16": "『他に適任はいないしな。\\n 失敗したって恨んだりしないっての』", "371000922_17": "「皆が……話しかけてきてくれてる……?」", "371000922_18": "『ま、トチったら逃げるくらいの気持ちで\\n 気楽にやんなさいよ』", "371000922_19": "「――ッ!\\n そ、それはさすがに無理デス……ッ!」", "371000922_20": "『切歌さんがやるなら、文句はない……\\n そう言いたいんだと思います』", "371000922_21": "『わたしも、同意見なので……』", "371000922_22": "「みんな――」", "371000922_23": "『わたしたちは、切ちゃんを信じてる』", "371000922_24": "「――ッ!」", "371000922_25": "「ありがとうデス……\\n 覚悟、決まったデスッ!」", "371000922_26": "「……あ、えっと……微力ながら、\\n わたしも応援してますので!」", "371000922_27": "「微力なんかじゃないデス。\\n この力は、イリヤの力でもあるんデスよ?」", "371000922_28": "「だから、イリヤの想いも束ねて、ぶつけるデスッ!」", "371000922_29": "「……はい!」", "371000922_30": "「……この一撃で――」", "371000922_31": "「皆の魂を……この一振りで、元の場所に還すデスッ!」", "371000922_32": "「はぁああああああッ!!」", "371000922_33": "「ギャオアァアアアァアアァアアアアッ!!!」", "371000922_34": "「いっけぇえええええええええッ!!!」", "371000922_35": "「ん……んん……」", "371000922_36": "「あ、あれッ!? 死者の書はッ!?\\n 皆はどうなったデスッ!?」", "371000922_37": "「――切ちゃん。お疲れ様」", "371000922_38": "「調……ッ!? こ、これ夢じゃないデスよねッ!?", "371000922_39": " ほっぺつねって――あいたたッ!」", "371000922_40": "「夢じゃないデスッ! ってことは――」", "371000922_41": "「ま、今回ばかりは褒めてやんないとな。\\n 死者の書、よく壊してくれた」", "371000922_42": "「う……ぅ……うわぁぁああん……ッ!\\n 皆……皆無事でよかったデス~ッ!」", "371000922_43": "「おいおい、泣くなよ」", "371000922_44": "「信じてたよ。切ちゃんが助けてくれるって」", "371000922_45": "「調~ッ!\\n 会いたかったデス~ッ!」", "371000922_46": "「フフ、よしよし」", "371000922_47": "「……イリヤ」", "371000922_48": "「なーに?」", "371000922_49": "「……ありがとう」", "371000922_50": "「――! 美遊……", "371000922_51": " 美遊も、無事でいてくれてありがとう」", "371000922_52": "「あの……海岸で話したことだけど……」", "371000922_53": "「あれ、忘れて? わたしも……\\n イリヤが困ってる時は、全力で助けるから」", "371000922_54": "「……うん!\\n その言葉、そっくりそのまま、美遊に返すね」", "371000922_55": "「大団円に浸ってるとこ悪いけど、\\n まだ復活出来てない人がいるんじゃないの?」", "371000922_56": "「死者の書に囚われていた時間が短い人から、\\n 順番に復活しているみたいですね」", "371000922_57": "「いずれは島民や響さんたちも、元に戻るでしょう」", "371000922_58": "「あ?\\n あれは……」", "371000922_59": "「待って……ゆら、行かないで……ッ!」", "371000922_60": "「あのね。ママ。\\n 先に死んじゃって、本当にごめんね」", "371000922_61": "「でもね。これだけははっきり言えるの」", "371000922_62": "「産んでくれて、本当にありがとう。\\n 確かに……人より少しだけ、寿命は短いけど……」", "371000922_63": "「わたし……ママの子に生まれて、本当に良かった。\\n 生まれ変わったら、また、ママの子になりたいな……」", "371000922_64": "「あ……あぁ……ッ!」", "371000922_65": "「大好きだよ、ママ……」", "371000922_66": "「ゆ、ゆら……嫌よ、逝かないで。\\n いやぁあああああ――」", "371000922_67": "「わた……私は……なんて、ことを……」", "371000922_68": "「ゆらは、こんなに優しい子だったのに……\\n その気持ちを、全部、踏みにじって……ッ!」", "371000922_69": "「あぁ……あぁぁぁ……ッ!!!」", "371000922_70": "「…………」", "371000922_71": "「……本当に全部、終わったみたいだな……」" }