{ "371000911_0": "マジカルハーモニー", "371000911_1": "「……ここは……」", "371000911_2": "「死者の書が暴走して……かき集められた魂、\\n その塊の中、だよ」", "371000911_3": "「そうでした……わたしたち、魂だけ抜き取られて……」", "371000911_4": "「……」", "371000911_5": "「……」", "371000911_6": "「あ、あの……」", "371000911_7": "「何?」", "371000911_8": "「ごめんなさい……\\n わたしが戦えないせいで、足を引っ張ったと思います……」", "371000911_9": "「ううん。\\n むしろ、あの黒い怪物と戦えたのは美遊のおかげ」", "371000911_10": "「はい……」", "371000911_11": "「――イリヤたちの声が聞こえる……\\n もしかして、戦ってる……?」", "371000911_12": "「うん、そうみたい」", "371000911_13": "「死者の書がクラスカードを取り込んだことによって、\\n 暴走して大きな怪物になってしまっている」", "371000911_14": "「切ちゃんたちは、\\n それとたった4人で……」", "371000911_15": "「イリヤ……!」", "371000911_16": "「落ち着いて」", "371000911_17": "「でも……」", "371000911_18": "「もしここを出たら、まず何をしたい?」", "371000911_19": "「え……?」", "371000911_20": "「いいから」", "371000911_21": "「……まずは、イリヤの無事を確認して、\\n 安全な帰還方法を確立して――」", "371000911_22": "「そういうのじゃないよ。\\n もっとこう、あなたがしたいこと」", "371000911_23": "「……わたしがしたいこと……」", "371000911_24": "「……イリヤを、\\n 思いきり、思いきり抱きしめたい」", "371000911_25": "「そうしたら……\\n 胸につっかえた気持ちが取れる気がして……」", "371000911_26": "「……分かるよ。\\n わたしも切ちゃんをぎゅってしたい」", "371000911_27": "「あとは……食べ歩きがしたいな。たこやきに、アイスに……」", "371000911_28": "「いいですね。帰ったらイリヤを誘ってみようかな――」", "371000911_29": "「……それなら、なおさら、こんな話を\\n している場合じゃ……」", "371000911_30": "「でも、そんな風に狼狽えてたら、\\n 出来ることも出来なくなっちゃうよ」", "371000911_31": "「…………」", "371000911_32": "「……分かってるんです。本当は。\\n イリヤは……強い。力だけじゃなく――」", "371000911_33": "「イリヤの意思は、イメージは、\\n いつも不可能と思われたことを可能にしてきたから」", "371000911_34": "「……?」", "371000911_35": "「……あの、こういう時……大切な人に、\\n 逃げてほしいって、思ったりしませんか?」", "371000911_36": "「……?」", "371000911_37": "「わたしは……時々思います」", "371000911_38": "「イリヤのこと、信じてないの?」", "371000911_39": "「いえ、信じてるからこそ……」", "371000911_40": "「きっとイリヤはすごい無茶をして、\\n ここまでたどり着いてしまうんです」", "371000911_41": "「自分がどんなに傷ついてもお構いなしに……」", "371000911_42": "「わたしは……それが怖い……\\n イリヤを、そんな風に傷つけたくなんてない……」", "371000911_43": "「……そっか。そうだよね」", "371000911_44": "「それだけ、好きってことなんだね」", "371000911_45": "「……!\\n はい。とても大切な……大好きな人です」", "371000911_46": "「――だったらもし今、\\n イリヤたちと立場が逆転したら……どうする?」", "371000911_47": "「それはもちろん、イリヤを全力で助け――」", "371000911_48": "「……あ」", "371000911_49": "「わたしもね、切ちゃんが大好き。とっても大事な家族で……\\n それこそ絶対に傷ついてほしくないよ――」", "371000911_50": "「だから、美遊と同じ答えを出す」", "371000911_51": "「わたしたちは、そうやって互いを想い合いながら、\\n 生きてきたんだ」", "371000911_52": "「だから……今はイリヤたちを信じて、\\n できることをしよう?」", "371000911_53": "「……はい!」", "371000911_54": "「なに……ッ!?\\n すごい光……」", "371000911_55": "「――あれは、まさか……!?」", "371000911_56": "「うあ……ッ!」", "371000911_57": "「だめ、びくともしない……!」", "371000911_58": "「大丈夫かッ!?」", "371000911_59": "「クリス先輩ッ!\\n 先輩だけでも、撤退――」", "371000911_60": "「バカかッ!\\n あれは、お前に撤退しろって言ったんだッ!」", "371000911_61": "「あたしは残るつもりだったのに、\\n お前が先に飛び出すから――」", "371000911_62": "「そうだったデスか……」", "371000911_63": "「わたしも。\\n イリヤにだけ頑張らせるってわけにもいかないわよね!」", "371000911_64": "「クロ……!」", "371000911_65": "「よーし、それじゃ4人で力を合わせて、\\n みんなを助け出すデスよ……ッ!」" }