{ "361001011_0": "舞台少女は日々進化中", "361001011_1": "「オーディションが終わって、\\n みんなが帰って来てくれてよかったねッ!」", "361001011_2": "「留学も入院も、全部なかったことになってたよ。\\n オーディションに参加したみんなは覚えてるけどね」", "361001011_3": "「改変された情報は元に戻っているのね」", "361001011_4": "「でも、オーディションのことを覚えているのは\\n 最後に残ったわたしたち3人だけでよかったのだけど……」", "361001011_5": "「いいえ、オーディション参加者みんなに\\n きちんと謝罪がしたいから、覚えていてくれてよかったわ」", "361001011_6": "「あ、あなたは……ッ!」", "361001011_7": "「きちんと自己紹介するのは初めてだったわね。\\n わたしは、井手碧菜」", "361001011_8": "「地下オーディションの主催者。\\n もっとも……」", "361001011_9": "「力をくれたリボンはボロボロになってしまったから、\\n もう二度と開催することはないわ」", "361001011_10": "「わざわざわたしたちの学校まで\\n 何をしに?」", "361001011_11": "「もちろん、謝罪よ」", "361001011_12": "「舞台少女として、とんでもない過ちを犯してしまった……。\\n 心からお詫びするわ」", "361001011_13": "「到底許されることではないということも、\\n わかっている……」", "361001011_14": "「舞台少女なら誰しも\\n 『キラめき』たいって願うもの」", "361001011_15": "「うん。気持ちはわかるよ」", "361001011_16": "「でも――」", "361001011_17": "「あなたは、純粋すぎるほどの舞台少女なんですね。\\n だからこそ、観てみたい」", "361001011_18": "「『女神の歌』の舞台で、あなた自身の『キラめき』を」", "361001011_19": "「去年その権利を自ら放棄してしまった。\\n そんなわたしが、どんな顔をしてもう一度……」", "361001011_20": "「舞台少女は日々進化中ッ!\\n 昨日は昨日で今日は今日ッ!」", "361001011_21": "「次の舞台に進みましょう、碧菜さんも」", "361001011_22": "「……そうね。きっとわたしが前へ進むためには、\\n そこからやり直さなくてはならない」", "361001011_23": "「わかったわ。選考を受けてみる。\\n この先、何度でも。主役じゃなくても、わたしらしく」", "361001011_24": "「今度は正々堂々と、ステージで競い合いましょう」", "361001011_25": "「ええ」", "361001011_26": "「うわっと、ここって……」", "361001011_27": "「わたしたちが激励に来た楽屋裏……みたいね」", "361001011_28": "「ライブはどうなったのだろうか、\\n わたしは観客たちを置いて……」", "361001011_29": "「翼さん、任務お疲れさまでした。\\n リハーサルの時間は取れませんが、本番には間に合います」", "361001011_30": "(時間が、進んでいないッ!?)", "361001011_31": "「先ほどのアルカ・ノイズ出現の件もありますし、\\n 不調であれば、それを理由に延期も……」", "361001011_32": "「いえ、やりましょう」", "361001011_33": "「翼さん……?」", "361001011_34": "「今のわたしは唄いたくて仕方がない……」", "361001011_35": "「それに、ファンの皆が\\n わたしの歌を待ってくれているのですから」", "361001011_36": "「わたしだって待ってますよッ!」", "361001011_37": "「何より誰より……翼自身もね」", "361001011_38": "「わかりました……ッ!\\n それでは、予定通り進行しましょう」", "361001011_39": "「ありがとうございますッ!」", "361001011_40": "「わたしたちも客席から観ているわ」", "361001011_41": "「あなたの歌、聴かせてちょうだい」", "361001011_42": "「ああ」", "361001011_43": "「そうやって耳を傾けてくれる仲間がいるからこそ、\\n わたしはこれからも楽しく唄っていけそうな気がする」" }