{ "361000311_0": "舞台少女と『女神の歌』", "361000311_1": "「……あれ? ここは?」", "361000311_2": "「地下劇場から飛ばされたようだが……」", "361000311_3": "「学園の近くみたいね。とにかく帰りましょう。\\n 急がないと、門限になるわ」", "361000311_4": "「待って、詳しい話を聞かせてちょうだい」", "361000311_5": "「話したいのは山々だけど、門限に遅れると\\n とんでもないことになっちゃうから……」", "361000311_6": "「点呼に遅れると『伝説のしごき』が待ってるの」", "361000311_7": "「伝説……? なんだかすごそう……」", "361000311_8": "「……そうだッ! 点呼が終わるまでは空いている部屋に\\n 隠れていてもらおうよ」", "361000311_9": "「そうね、わたしたちも聞きたい話がたくさんあるし」", "361000311_10": "「この状況について聞かせてもらえるのであれば、\\n こちらは一向に構わない」", "361000311_11": "「それなら決まりね。\\n 案内するわ、わたしたちの寮に」", "361000311_12": "「お待たせッ!\\n 無事に点呼終わったよ」", "361000311_13": "「あなたたちが舞台少女だと聞いた時から、\\n もしやと思っていたけれど――」", "361000311_14": "「ここに来て、わかったわ。\\n わたしたちは一度、任務でここに来たことがある」", "361000311_15": "「その時、真矢ちゃんとクロちゃんには、\\n すっごくお世話になりましたよねー」", "361000311_16": "「2人とも元気にしてる?」", "361000311_17": "「2人は……」", "361000311_18": "「あのオーディションに挑んだ後、行方がわからないの」", "361000311_19": "「……ッ!」", "361000311_20": "「そんなの大問題じゃないッ!\\n 行方不明だったら、きっと警察にも捜索願いが……」", "361000311_21": "「それがね……。レヴューでさらわれた人たちについては、\\n 都合よくみんなの記憶が書き換えられてるみたいなの」", "361000311_22": "「記憶が書き換えられて……?」", "361000311_23": "「真矢ちゃんは留学、\\n クロちゃんは入院……」", "361000311_24": "「みんな、いろんな理由で休学っていうことになっているの」", "361000311_25": "「本当のことを知っているのは、\\n レヴューに参加したわたしたちだけみたい」", "361000311_26": "「事実改変……。\\n あのオーディションには、そんな力まであるの……」", "361000311_27": "「あの2人は相当の手練であったはず……。\\n にわかに信じがたいことだな」", "361000311_28": "「1人1人脱落していって……。\\n 残っているのはわたしたちだけ」", "361000311_29": "「だから、みんなを助けるために、\\n わたしたちは負けられないんだッ!」", "361000311_30": "「奪われたみんなの『キラめき』を\\n 取り戻さなくっちゃ……ッ!」", "361000311_31": "「『キラめき』を失ったら、\\n 舞台には立てなくなってしまう……」", "361000311_32": "「そんなの、絶対イヤだから……ッ!」", "361000311_33": "「それなら、わたしたちも力になるよッ!\\n 真矢ちゃんやクロちゃんたちを助けなくっちゃ」", "361000311_34": "「待って、これはわたしたちの戦いよ。\\n あなたたちを巻き込むわけには……」", "361000311_35": "「とっくに巻き込まれてるから気にしなくていいわ。\\n さっきのレヴューで正式な参加が認められたしね」", "361000311_36": "(確かに、わたしたちは招待状を受け取り\\n 舞台へと上がった……)", "361000311_37": "(しかし……敵は天堂や西條さえも打ち負かす相手だ)", "361000311_38": "(自分のライブすら満足にこなせないわたしに、\\n 彼女たちを助けることなど……)", "361000311_39": "「それに、翼さんもマリアさんも、\\n わたしの世界ではとってもすごい歌手なんですよッ!」", "361000311_40": "「お、おい……立花……」", "361000311_41": "「ええ、翼の『キラめき』は、\\n 共にステージに立ったことのあるわたしも保証するわ」", "361000311_42": "「マリアまで……」", "361000311_43": "「レヴューのときから、\\n 何か特別なものを感じていたけれど……」", "361000311_44": "「それじゃあ、歌に関しては\\n たくさん吸収させてもらわなくっちゃッ!」", "361000311_45": "「そうと決まれば、わたしたちは\\n 一度本部に戻って方針を立てましょう」", "361000311_46": "「そうですねッ!」", "361000311_47": "「地下劇場にギャラルホルンのゲートは\\n 見当たらなかった……」", "361000311_48": "「ということは、前に使った\\n ゲートを探さなくてはいけないということね」", "361000311_49": "「ああ、そうだな。\\n 急ごう」", "361000311_50": "「ちょっと待って、どういうこと?」", "361000311_51": "「ゲートが無いです……」", "361000311_52": "「ということは、今回のわたしたちは\\n 何か別の力で引き寄せられたという可能性も考えられるな」", "361000311_53": "「事実改変……って言ったわよね、さっき」", "361000311_54": "「現実はあの『闇の舞台少女』のレヴューのために\\n 都合よく書き換えられているわ」", "361000311_55": "「もしかすると、あなたたちの世界に戻るための装置も\\n 消されているのかもしれない」", "361000311_56": "「余計なことは一切させない、という心づもりか」", "361000311_57": "「……ねぇ、提案があるんだけど」", "361000311_58": "「レヴューに向けて訓練するなら、\\n 聖翔音楽学園に入ってもらった方がいいと思うの」", "361000311_59": "「わたしたちが?」", "361000311_60": "「本来なら、部外者のあなたたちが潜入すれば、\\n 大騒ぎになるでしょうけれど――」", "361000311_61": "「レヴューのために都合よく事実改変されるというのなら\\n あなたたちに関することだって『変わる』はず」", "361000311_62": "「つまり……うーん?」", "361000311_63": "「わたしたちは堂々と、聖翔音楽学園の授業に混ざればいい、\\n ということよ」", "361000311_64": "「わかりましたッ!\\n それなら堂々と混ざることにしますッ!」", "361000311_65": "「ま、待て、立花ッ!\\n そんなことができるわけ……」", "361000311_66": "「でも、今の状況だとその方法しかないようにも\\n 思えるわね。やってみる価値はあるんじゃないかしら」", "361000311_67": "「マリアまで……」", "361000311_68": "「そうと決まったら、改めて自己紹介させてもらうね」", "361000311_69": "「わたしは愛城華恋ッ! 聖翔音楽学園99期、\\n 俳優育成科 出席番号1番ですッ!」", "361000311_70": "「よろしくね、華恋ちゃん」", "361000311_71": "「それじゃあ、次はわたしかな。\\n 大場ななです。ばななって呼んでね」", "361000311_72": "「お次は、ひかりちゃんッ♪」", "361000311_73": "「神楽ひかりよ」", "361000311_74": "「みんな、よろしくね」", "361000311_75": "「こちらこそ」", "361000311_76": "「それじゃあ、今日はもうこんな時間だし、\\n 明日に備えて休もうか」", "361000311_77": "「ええ、そうね」", "361000311_78": "「明日からよろしくお願いしますッ!」" }