{ "317000931_0": "「クリスッ! 大丈夫ッ!?」", "317000931_1": "「何やってんだ。\\n 戦うって決めておいて、迷うなよな……」", "317000931_2": "「ごめん……。\\n 覚悟はできていたつもりだったのに……」", "317000931_3": "「いざ、あの子を目の前にして、傷つけて傷つけられて、\\n 戦わなければいけないっていうことを肌で感じたら、悲しくて」", "317000931_4": "「それなら、あたしが全部引き受ける」", "317000931_5": "「……って言いたいところだけど、\\n さすがにもう動けなさそうだ……」", "317000931_6": "「……止めてやらないと、ダメなんだ。\\n じゃないと、あいつは本当に怪物になっちまう……」", "317000931_7": "「だから、あとは任せる。\\n あたしの分も、あのお転婆を叱ってやってくれ」", "317000931_8": "「うん……。もう、迷わない」", "317000931_9": "「グアアア――ッ!」", "317000931_10": "「はああッ!」", "317000931_11": "(どうして……、戦っているとカーバンクルとの\\n 思い出ばっかり浮かんでくる……)", "317000931_12": "(クリスと2人で同じ部屋に住んで、悪戯する\\n カーバンクルに振り回されて……)", "317000931_13": "「グオオオオッ!」", "317000931_14": "「く――ッ!」", "317000931_15": "(些細なことで喧嘩しても、クリスが気を使ってくれて\\n 仲直りできたっけ……)", "317000931_16": "(こんなことになるなら、\\n もっといっぱい写真を撮っておけば――)", "317000931_17": "「グ……ウウ……」", "317000931_18": "「……ッ!?」", "317000931_19": "「あの子、涙を……」", "317000931_20": "「姉さん……」", "317000931_21": "「翠ッ!? どうしてここに……」", "317000931_22": "「いま、そんなことはどうでもいいでしょう?\\n それより、カーバンクルを見て」", "317000931_23": "「……ッ!\\n あれは……、カーバンクルが泣いているッ!?」", "317000931_24": "「自由になれたはずなのに、どうして……」", "317000931_25": "「姉さんも、わかっているんでしょう?\\n あの子は、本当はそんなこと望んでいない」", "317000931_26": "「……ッ! でも……あのままではカーバンクルは\\n 兵器にさせられていたわ」", "317000931_27": "「私たちの力では救ってあげることができなかった……」", "317000931_28": "「ええ、そうね……。でも、あの子たちは違った。\\n あの頃の私たちのように、カーバンクルと心を通わせていたの」", "317000931_29": "「そして今も、カーバンクルを救おうと頑張っている……」", "317000931_30": "「私だって、カーバンクルを救うことだけを考えていたわ。\\n でも、違ったというの……?」", "317000931_31": "「グウウ……」", "317000931_32": "「カーバンクル……あなたも、覚えていてくれたんだね」", "317000931_33": "「こんなふうに戦わなくちゃいけないのは、悲しいよね……」", "317000931_34": "「……」", "317000931_35": "「……ッ!\\n カーバンクルの想いが……、伝わってくる……」", "317000931_36": "「……そう、あなたもそれを望んでいるんだね……」", "317000931_37": "「グオオオオオオ――ッ!」", "317000931_38": "「また、暴走が……ッ!」", "317000931_39": "「でも、気持ちは伝わったよ」", "317000931_40": "「クリスの分まで、わたしがあなたを止めてみせる――ッ!」" }