{ "348000722_0": "「沈黙とともに眠れ――ッ!」", "348000722_1": "「……今ので最後だったみたいだな」", "348000722_2": "「ああ、皆の休息を邪魔せずに済んでよかった」", "348000722_3": "「それにしても、君は本当に強いな」", "348000722_4": "「……そんなことはないよ。\\n 仲間を護ることができなかったんだから……」", "348000722_5": "「彼女のことか」", "348000722_6": "「ああ……すぐ傍にいたのに、護ってやれなかった。\\n 俺が護らないといけないのに……」", "348000722_7": "「だから俺はまだまだ弱いんだ……」", "348000722_8": "「弱さを認められることもまた強さだ。\\n それに君は己を律する強い心を持っている」", "348000722_9": "「律する心……?」", "348000722_10": "「本当なら今すぐ遺跡へと向かいたいのだろう。\\n だがその激情を、しっかりと抑え込んでいる」", "348000722_11": "「怒りを抱えながら、仲間のために最善の選択を\\n 冷静に考えられるのは、強い心を持っている証だ」", "348000722_12": "「強い心か……。俺は仲間のため、\\n 世界を救うために必死になってるだけだよ……」", "348000722_13": "「仲間のため、世界のためか……」", "348000722_14": "「いざとなれば……、\\n いや、その旅にわたしも同行させてもらえないだろうか」", "348000722_15": "「え!? いや、でも……」", "348000722_16": "「1人の防人として、この世界でわたしの力を役立てたい。\\n 君たちの姿を見て、素直にそう思った」", "348000722_17": "「……」", "348000722_18": "「今は気持ちだけ受け取っておくよ。\\n 結果がどうなるかは最後までわからないからな」", "348000722_19": "「ああ、それで構わない」", "348000722_20": "「先んじては朝までの見張りを手伝いたいのだが?」", "348000722_21": "「なら、交代でやろうぜ。\\n 実を言うと、ちょっと眠たいんだよな」", "348000722_22": "「では、まずはわたしから見張りを務めよう。\\n しばらくしたら起こすから、それまで眠るといい」", "348000722_23": "「1人で朝までやったら怒るからな。\\n ちゃんと交代しろよ」", "348000722_24": "「わかってる、君を怒らせるつもりはない」", "348000722_25": "「じゃあ、おやすみ……」", "348000722_26": "「ああ、おやすみ」" }