{ "347000241_0": "「ちょうどいい場所があったな。\\n 今日はまず、ここに拠点を作るとしよう」", "347000241_1": "「それなら分担を決めないといけないわね」", "347000241_2": "「拠点の材料集めなら、\\n プレセアに任せるのがいいんじゃないか」", "347000241_3": "「そうですね……。私が適任だと思います」", "347000241_4": "「プレセアはね、木こりなんだよ」", "347000241_5": "「へー、確かにあんな斧をぶん回すくらいだ。\\n 木を切り倒すのは簡単だろうな」", "347000241_6": "「じゃあ、資材調達はあたしとこいつの2人で行くか。\\n よろしくッ!」", "347000241_7": "「よろしくお願いします」", "347000241_8": "「食材の確保は……」", "347000241_9": "「私が行くよ!」", "347000241_10": "「なら彼女にはわたしがついていくわ。\\n 魔物が闊歩する島だもの。護衛が必要でしょ」", "347000241_11": "「それだったら、俺が一緒に」", "347000241_12": "「あなたは翼とここに残って頂戴。\\n 作りかけの拠点を魔物に壊されたら台無しよ」", "347000241_13": "「だったら、わたしとマリアでいいんじゃないか?」", "347000241_14": "「この世界に慣れていないわたしたちが固まるよりも、\\n 彼らと組んで行動したほうが機能的だと思うわ」", "347000241_15": "「そういうことなら異論は無い。承知した」", "347000241_16": "「みんな、絶対に無茶だけはしないでくれよ!」", "347000241_17": "「さて、拠点の防衛といっても今は特にすることも無いな。\\n この時間をどうするか」", "347000241_18": "「そういえば、彼はどこへ……?」", "347000241_19": "「たあっ、はあっ、せいや!」", "347000241_20": "「ここにいたのか。\\n 剣の鍛錬とは精が出るな」", "347000241_21": "「今の俺にできることなんて、これくらいしかないからさ」", "347000241_22": "「……では、わたしと1度、手合わせしてみないか」", "347000241_23": "「あんたと?」", "347000241_24": "「その独特の剣技に興味があってな。\\n 時間があれば、剣を交えてみたいと思っていたんだ」", "347000241_25": "「俺はいいけど、あんたが相手となると\\n 手加減なんてできないぞ」", "347000241_26": "「無論、こちらも真剣にやらせてもらう。\\n 手を抜けば怪我をするぞ」", "347000241_27": "「変身はしないのか?」", "347000241_28": "「いや、純粋な剣技を競いたいのだが……、\\n そういえば、ちょうどいいものがあった」", "347000241_29": "「そのボロボロの剣を使うのか!?」", "347000241_30": "「見た目こそ錆びれているが、\\n その実、かなりの業物のはずだ」", "347000241_31": "「これで魔物を退けたこともあったからな」", "347000241_32": "「なるほど……、\\n それじゃあ、遠慮なく行かせてもらうぞ!」", "347000241_33": "「我流とだけあって、太刀筋を読むのは難しい。\\n だが――ッ!」", "347000241_34": "「虎牙破斬!」", "347000241_35": "「その技は見切らせてもらったッ!」", "347000241_36": "「な――!?」", "347000241_37": "「どうした、それで終わりか?」", "347000241_38": "「そんなわけないだろ。\\n 行くぞ、散沙雨!」", "347000241_39": "「それも既に見たものだッ!」", "347000241_40": "「まだだ、真空裂斬!」", "347000241_41": "「魔皇刃!」", "347000241_42": "「どれだけの技を会得しているのだッ!?」", "347000241_43": "「これで全部じゃないからな!」", "347000241_44": "「やはりギアを纏わないままでは、こちらの分が悪いか……ッ!」", "347000241_45": "「く……今のは鋭かった……!」", "347000241_46": "(口ではああ言っているけど、この人はやっぱり強いな……、\\n しかも太刀筋がまっすぐで、揺らぎが全く無い……)", "347000241_47": "(きっと性格も正直でまっすぐな人なんだろうな……)", "347000241_48": "(最初は独特な剣技に感じたが、\\n 心根の正直さが太刀筋に出ている)", "347000241_49": "(こうして剣を打ち合っているとわかる……。\\n 少なくとも、この相手は人を騙したりしないとッ!)", "347000241_50": "「こんなに手ごたえのある鍛錬は久しぶりだ!\\n とことん付き合ってもらうぞ!」", "347000241_51": "「わたしのほうこそ、\\n 物足りないと思っていたところだ……ッ!」" }