{ "345000511_0": "研究の理由", "345000511_1": "「うーん……、調、ハンバーグは……。\\n もっと肉汁たっぷりの……」", "345000511_2": "「起きて」", "345000511_3": "「卵はふわとろで……。\\n ケチャップで……」", "345000511_4": "「寝ぼけてないで早く起きてッ!」", "345000511_5": "「は、はいデスッ!」", "345000511_6": "「んん……。あれ? おはようデス、調。\\n 今日の朝ご飯はなんデスか?」", "345000511_7": "「朝ご飯は無いよ。\\n まずは自分がどういう状況なのか理解して」", "345000511_8": "「…………」", "345000511_9": "「……調……じゃないデスね。\\n どうなってるデス?」", "345000511_10": "「わたしがあなたの知ってる調じゃないってわかるんだ」", "345000511_11": "「当然デス、アタシが調を間違えるわけないデスよ」", "345000511_12": "「そっか……」", "345000511_13": "「それにしてもあなたは、とても調に似てるデスね……」", "345000511_14": "「……はッ!? そうだ、誰かに襲われて、気を失ったんデス。\\n 調はどうなったデスか? というか、ここどこデス?」", "345000511_15": "「落ち着いて、面倒だけど説明するから」", "345000511_16": "「…………」", "345000511_17": "「そんなに見つめて、わたしの顔が気になる?」", "345000511_18": "「やっぱり調によく似てるデスッ!」", "345000511_19": "「なんというか、\\n 溢れ出る知性と哀愁を漂わせる調というか……」", "345000511_20": "「よくわからないけど。わたしは調だよ。\\n でも、あなたが住んでいる世界とは別の世界の調」", "345000511_21": "「な、なんデスとッ!\\n それじゃ、並行世界の調デスッ!?」", "345000511_22": "「あなたからしたらそうなるね。\\n まあいいから、黙って聞いて」", "345000511_23": "「は、はい、わかったデス……」", "345000511_24": "(ちょっと怖い感じがするのも\\n アタシの知ってる調と違うデスね……)", "345000511_25": "「……なるほどデス。ここは並行世界なんデスか。\\n あなたはやっぱり、アタシが知ってる調と違うんデスね」", "345000511_26": "「そういうこと、理解が早くて助かる」", "345000511_27": "「1つ教えてほしいんデスが……」", "345000511_28": "「何?」", "345000511_29": "「この世界にも、アタシはいるデス?」", "345000511_30": "「いるよ。\\n この世界の暁切歌は――」", "345000511_31": "「調、さっきの話の続きデスが――」", "345000511_32": "「…………」", "345000511_33": "「…………」", "345000511_34": "「おおッ! 並行世界のアタシがいるデスッ!\\n 見た目もそっくりじゃないデスか」", "345000511_35": "「目が覚めたんデスね。\\n じゃあ、調からもう話は聞いてるデスね」", "345000511_36": "「聞いてるデスよッ!\\n なるほど、これが並行世界のアタシなんデスか」", "345000511_37": "「違う、コレは切ちゃんじゃない」", "345000511_38": "「え? だって、どう見てもアタシじゃないデスか」", "345000511_39": "「それはわたしが切ちゃんを模して造った『アンドロイド』」", "345000511_40": "「こんなのは、わたしの切ちゃんじゃない。\\n 勘違いしないで」", "345000511_41": "「こ、こんなのって……」", "345000511_42": "「……」", "345000511_43": "「いや、待つデスよ。アンドロイドってことは、\\n このアタシは、ロボットってことデスかッ!?」", "345000511_44": "「そうよ」", "345000511_45": "「なら、こっちのアタシはどこにいるデス?」", "345000511_46": "「だからそれは……はあ、もう面倒ね。\\n あとの説明はお前に任せるから、終わったら帰してあげて」", "345000511_47": "「……ラジャーデス」", "345000511_48": "「あなたの仲間が迎えに来てる。\\n ソレが案内してくれるから安心して」", "345000511_49": "「調、もう行っちゃうデスか。\\n もっとお話聞かせてほしいデスよ」", "345000511_50": "「わたしには、やることがあるの」", "345000511_51": "「そうデスか、残念デスけど、\\n 仕方ないデスねッ!」", "345000511_52": "「……あ、わたしからも1つ聞かせて」", "345000511_53": "「なんデス?」", "345000511_54": "「あなたの世界にも月読調はいるんだよね?」", "345000511_55": "「もちろんデスッ!」", "345000511_56": "「……もし、あなたの世界の月読調が二度と\\n 目を覚まさないことになったらあなたならどうする?」", "345000511_57": "「そんなの、何がなんでも\\n 助けるに決まってるじゃないデスかッ!」", "345000511_58": "「即答……そっか」", "345000511_59": "「調……?」", "345000511_60": "「もういいわ。ありがとう。\\n さようなら」", "345000511_61": "「――ちッ! こんなところにもッ!\\n 気を付けろ、マリアッ!」", "345000511_62": "「ええ、見えてるわよッ!」", "345000511_63": "「はあ、はあ……。\\n ここまで連戦続きだと、さすがに堪えるわね……」", "345000511_64": "「だが、見える範囲の敵は、こいつらで最後のようだ」" }