{ "344000411_0": "ビルデラント潜入", "344000411_1": "「島にはあっさり上陸できたな。\\n もう少し歩けば目的地だ」", "344000411_2": "「……」", "344000411_3": "「……」", "344000411_4": "「おいおい、今から緊張してどうするんだ。\\n 変に強張ってると部外者だってすぐにバレちまうぞ」", "344000411_5": "「わかっているんですけど、潜入調査なんて\\n あまりしたことがなくて……」", "344000411_6": "「わたしも……」", "344000411_7": "「って、お前は怪盗とかやってたんだろ?」", "344000411_8": "「そ、それはそうですけどッ!」", "344000411_9": "「この世界のダンナも、\\n 正面切って戦うのが目的じゃないって言ってただろ?」", "344000411_10": "「確かに、そうでしたね」", "344000411_11": "「目的はビルデラントの兵器と、ドヴェルグ族の情報を得ること。\\n 情報が得られれば、すぐに脱出する」", "344000411_12": "「そういうことだ。3人力を合わせて――」", "344000411_13": "「いや、もう1人いるんだよな」", "344000411_14": "「一緒に行動することになるんだし、\\n 挨拶くらいちゃんとしておきたいんだけど……」", "344000411_15": "「すみません。\\n ヴェイグさんはなかなか外に出てこないので……」", "344000411_16": "「ま、事情は知ってるけどさ」", "344000411_17": "「少しだけでも、お話させてもらえない……?」", "344000411_18": "「ええっと……、\\n 『特に話すことは無い』って言ってます」", "344000411_19": "「ちくしょう、ずいぶん頑固者みたいだな」", "344000411_20": "「仕方がないですよ。\\n 無理に呼び出すのは可哀想ですし」", "344000411_21": "「だけど、セレナちゃんには、\\n いつも一緒にいるくらい気を許しているんだね」", "344000411_22": "「ミレニアムパズルで姉さんたちを護りたいって思った時、\\n わたしを見かねて助けてくれたんです」", "344000411_23": "「それからも、ずっと傍にいてくれて……」", "344000411_24": "「そっか。大切な仲間なんだね」", "344000411_25": "「大切な仲間か……」", "344000411_26": "「今も戦ってる仲間のためにも、頑張らなくちゃな」", "344000411_27": "「はい、また笑って、みんなと遊んだり、\\n 学校へ行ったりするためにッ!」", "344000411_28": "「あたしは、とりあえず翼をからかってやりたいかなぁ」", "344000411_29": "「フフ、そんなこと言ってると怒られちゃいますよ?」", "344000411_30": "「それもまた楽しいんだけどな」", "344000411_31": "「とにかく、この戦いの局面はあたしたちにかかってる。\\n 力を合わせて成功させるぞ」", "344000411_32": "「はいッ!」", "344000411_33": "「ヴェイグさん?」", "344000411_34": "「あー、おほん」", "344000411_35": "「お前たちが悪い奴じゃないことはわかってる。\\n 別に嫌いなわけでもない」", "344000411_36": "「だから、協力することには賛成だ。よろしくな」", "344000411_37": "「言うだけ言って引っ込んだな」", "344000411_38": "「ヴェイグさん、せっかく挨拶するならもっとしっかり……」", "344000411_39": "「ううん、いいよ。出てきてくれただけで十分だから」", "344000411_40": "「そうだなッ! 一緒に頑張ろう」", "344000411_41": "「っと、見えてきたぞ。\\n あれがビルデラントの中心地だな」", "344000411_42": "「思ったより大きな街ですね」", "344000411_43": "「ああ、身を潜めることはできそうだな」", "344000411_44": "「もう少し近づいてみましょう」", "344000411_45": "「きゃあッ!?」", "344000411_46": "「あいたたた……」", "344000411_47": "「大丈夫ッ!?」", "344000411_48": "「だ、大丈夫です、少しコブができちゃいましたけど……」", "344000411_49": "「これは……結界ッ!?\\n 見えない壁が、ずっと続いているようです」", "344000411_50": "「異端技術……間違いなく、ビルデラントは黒みたいだな」", "344000411_51": "「思いっきり攻撃したら穴を開けられるかな?」", "344000411_52": "「でも、そんな無理やりな方法じゃ相手に\\n 気づかれちゃうかも……」", "344000411_53": "「……これは、ドヴェルグ族の技術を使った結界だ」", "344000411_54": "「これも……」", "344000411_55": "「オレなら穴を開けられる。\\n 短時間なら、気づかれることもないはずだ」", "344000411_56": "「おお、すごいなッ!」", "344000411_57": "「さすがだね」", "344000411_58": "「まあな。\\n じゃあ、早速やるぞ」", "344000411_59": "「さあ、これで通れるぞ」", "344000411_60": "「ああ、ありがとな」", "344000411_61": "「……」", "344000411_62": "「どうしたの、ヴェイグさん?」", "344000411_63": "「オレの仲間がここにいる。\\n 結界の中に入ったら、その気配が強くなった」", "344000411_64": "「本当ですかッ!?\\n よかった、やっと仲間に会えるんですね」", "344000411_65": "「そんな風に、手放しでは喜べないんじゃないか?」", "344000411_66": "「え……」", "344000411_67": "「ドヴェルグ族の技術は、兵器に使われていた。\\n それに、この結界も……」", "344000411_68": "「ああ。ここにいるドヴェルグ族は、必ずしも\\n ヴェイグみたいないいやつとは限らないってことだ」", "344000411_69": "「そんな……」", "344000411_70": "「でも、無理やり言うことを聞かされている可能性も……」", "344000411_71": "「わかってる。でも、もしもの時のために、\\n そうじゃない可能性も考えておけってことだ」", "344000411_72": "「……」", "344000411_73": "「気遣ってくれてるんだろうが、大丈夫だ」", "344000411_74": "「こいつらの言う通りだし、オレも、なんでこんなことに\\n ドヴェルグ族の技術が使われているのかわからない」", "344000411_75": "「はい……」", "344000411_76": "「もし会えたら、どうしてこんなことをしているのか、\\n ちゃんと聞いてみましょう」", "344000411_77": "「ああ、そうだな」" }