{ "342000821_0": "「……どうにかここまで来たが、敵の姿はない。\\n キャロルの陽動のおかげかも知れないワケダ」", "342000821_1": "「しかし、どうやら昔見たときよりも広くなっているワケダ。\\n ジルの研究室が昔のままならいいワケダが……」", "342000821_2": "「連絡してきたということは、もう見つけたのか?」", "342000821_3": "「まだなワケダ。しかし、潜入は成功した。\\n これから研究室を調べにいくワケダ」", "342000821_4": "「そうか、わかった」", "342000821_5": "「サンジェルマンの具合は?」", "342000821_6": "「予定通りチフォージュ・シャトーで休ませている。\\n 立花響を護衛につけてな」", "342000821_7": "「安心したワケダ。\\n キャロルもある程度敵を引きつけたら、すぐに離脱するワケダ」", "342000821_8": "「わかっている。今のオレの役割は、陽動だからな。\\n 深追いするつもりはない」", "342000821_9": "「それでは先に進む。データにたどり着いたら連絡するワケダ」", "342000821_10": "「……気をつけろよ」", "342000821_11": "「ッ!? まさか、キャロルに心配されるとはな」", "342000821_12": "「フン」", "342000821_13": "「……この通路、覚えているワケダ。\\n 確かここがジルの研究室――あ、これは……」", "342000821_14": "「間違いない、ジルの研究データにたどり着いたワケダが。\\n あとはこの中から必要な情報を確認できれば――」", "342000821_15": "――10月11日。", "342000821_16": "アカシックレコードへのアクセスに成功。", "342000821_17": "やはり思ったとおりだった。", "342000821_18": "アカシックレコードには、全ての存在の情報がある。", "342000821_19": "そして、そこにはもちろん、ジャンヌ様の情報も……。", "342000821_20": "このデータを引き出すことができれば、私の願いは成就する。", "342000821_21": "手に入れたジャンヌ様の血族の肉体に、アカシックレコードにある", "342000821_22": "データをダウンロードすれば、ジャンヌ様は復活される……。", "342000821_23": "「ジルはやはり、聖女の復活を企んでいたワケダ……」", "342000821_24": "――10月19日。", "342000821_25": "再びアカシックレコードにアクセスを行った。", "342000821_26": "アカシックレコードへのアクセスは予想以上のエネルギーを消費する。", "342000821_27": "このチフォージュ城をもってしても、このままではジャンヌ様の", "342000821_28": "復活を実現することは難しい。", "342000821_29": "何か、エネルギーの調達手段が必要だ。", "342000821_30": "錬金術師協会に見つからずに……。", "342000821_31": "――11月2日。", "342000821_32": "エネルギー調達手段が見つかった。", "342000821_33": "その手段とは、ジャンヌ様の持つ剣にある。", "342000821_34": "フィエルボワの剣と呼ばれるあの剣の正体は、", "342000821_35": "大天使ミカエルの剣そのものだった。", "342000821_36": "魂を選別し、次の世界へと導くといわれるミカエルの力。", "342000821_37": "この剣に潜む強力な力を、解放できれば……、", "342000821_38": "存在を選別して、私にとって都合のいい次の世界へと送り込む。", "342000821_39": "そう、存在からエネルギーを搾り出すためだけの世界へ。", "342000821_40": "「存在の選別……ッ!? ミカエルの剣の哲学兵装……、\\n これが聖女の輝きの正体だったワケダッ!」", "342000821_41": "「しかし、消した存在の力を燃料に、アカシックレコードへの\\n アクセスをするなど、悪辣にも程があるワケダ……」", "342000821_42": "――日付不明。", "342000821_43": "ついに、ミカエルの剣としての能力を解放した。", "342000821_44": "これでジャンヌ様の復活計画を進めることができる。", "342000821_45": "ただ、ジャンヌ様を蘇らせるには、より多く質の高い", "342000821_46": "存在を燃料としなくてはならない。", "342000821_47": "ならば、錬金術師が最適だろう……。", "342000821_48": "彼らを贄として、ジャンヌ様を蘇らせる。", "342000821_49": "聖女復活の日は近い。", "342000821_50": "「協会アジトへの襲撃……。本当の目的はこれだったワケダ。\\n だから散発的な襲撃を繰り返していた……」", "342000821_51": "ジャンヌ様を復活させることに成功した。", "342000821_52": "だが、待ち望んだ聖女は、私の望む聖女ではなかった。", "342000821_53": "ジャンヌ様は、常に私の望む聖女でなくてはならない。", "342000821_54": "このままでは、せっかく手に入れた能力、", "342000821_55": "そして聖女の復活が無駄に終わる。", "342000821_56": "変えなくてはならない……、", "342000821_57": "私の望む、聖女ジャンヌ・ダルクへと……。", "342000821_58": "「……サンジェルマンの言っていた通りなワケダ。\\n あとは洗脳の方法がわかれば――ッ!?」", "342000821_59": "「……まさか、こんなところまでネズミが入り込んでくるとは\\n 思いませんでしたよ」", "342000821_60": "「ジル……くッ!?」", "342000821_61": "「逃がしません……ッ!\\n 私の研究を覗き見たあなたは、必ず消し去りますッ!」" }