{ "342000631_0": "「フフ、快適に過ごせていますか?\\n サンジェルマン……いえ、天使様、とでも言いましょうか?」", "342000631_1": "「何故お前がその呼び方を知っている……」", "342000631_2": "「ジャンヌ様から聞いたのですよ。過去にね」", "342000631_3": "「だとしても、お前にそう呼ばれる筋合いはない。\\n 虫唾が走る」", "342000631_4": "「おや、嫌われたものですね。\\n 私はこんなにもあなたに感謝しているというのに」", "342000631_5": "「感謝だと……? 何を言っている?」", "342000631_6": "「あなたのおかげで、私は真の錬金術の存在を知り、\\n その知識を、研究を突き詰めることができました」", "342000631_7": "「あなたが私とプレラーティの前に現れなければ、\\n 私は真なる錬金術を知ることなく、生涯を終えていたでしょう」", "342000631_8": "「……突き詰めるとはお笑い種だな。\\n お前は多くの錬金術師を殺し、研究成果を奪っただけだ」", "342000631_9": "「局長が温情で貴様を封印したというのに、\\n その卑しい性根は、何も変わらなかったらしいな」", "342000631_10": "「ええ、変わる必要などありませんから。\\n しかし、あの封印には手を焼かされましたよ」", "342000631_11": "「手を焼くどころではなかったはずだ。\\n 局長の施した封印はお前ごときに解けるようなものではない」", "342000631_12": "「貴様を城ごと異空間へと放逐し、封印の要となる輝石は誰の\\n 目にも触れないよう、クルベラ洞窟の奥深くに封じたはず……」", "342000631_13": "「誰かの協力無しに封印解除など、絶対に不可能だ」", "342000631_14": "「……フ、その通りです。\\n ですが、運命は私に味方したのです」", "342000631_15": "「運命だと……?」", "342000631_16": "「ええ、運命です。私は過去、アカシックレコードにアクセスを\\n 試みた罪で、あの忌々しいアダムの手で封印されました」", "342000631_17": "「ですが、私がアカシックレコードから\\n なんのデータを得ようとしていたのかは知っていますか?」", "342000631_18": "「データ……? まさか、ジャネットの――ッ!?」", "342000631_19": "「その通りです。この城はそのために構築したもの。\\n 聖女ジャンヌ・ダルクを蘇らせるための複合型聖遺物です」", "342000631_20": "「この城は私の城であり、聖女の城でもある。\\n ……聖女が、私を救ってくれたのです」", "342000631_21": "「どういう意味だ。ジャンヌ・ダルクは死んだ。\\n お前は彼女を蘇らせる前に、封印されたはずだ」", "342000631_22": "「ええ。ですが、彼女の子孫が偶然……、\\n いえ、必然として、私と邂逅したのです」", "342000631_23": "「彼女は発掘隊として洞窟を訪れ、封印の輝石に触れました。\\n 聖女の血……それにこの城の聖遺物が反応したのですよ」", "342000631_24": "「そうしてこちらとの繋がりを得て、\\n 封印から抜け出したのか……」", "342000631_25": "「しかも私はこちらへ帰還すると同時に、\\n 聖女の素体まで手に入れることができました」", "342000631_26": "「これを運命と言わずして、なんと言うのですッ!\\n まさに聖女の導きそのものでしょうッ!」", "342000631_27": "「素体……それでは今のジャネットは――ッ!?」", "342000631_28": "「あれはホムンクルス体などではありません。\\n 正真正銘の人間の身体ですよ」", "342000631_29": "「流石聖女の血筋だけあって、アカシックレコードから\\n 引き出したジャンヌ様のデータもすぐに馴染みました」", "342000631_30": "「……子孫の身体を、容れ物にしたのかッ!」", "342000631_31": "「偉大な先祖、ジャンヌ・ダルク本人となれたのですから、\\n 感謝して欲しいくらいですよ」", "342000631_32": "「もっとも、私の望むジャンヌ様となっていただくために、\\n 人格や記憶については多少、いじらせてもらいましたが……」", "342000631_33": "「しかし、ご安心を。\\n 見た目はしっかりと昔のジャンヌ様でしょう?」", "342000631_34": "「……外道め」", "342000631_35": "「錬金術師など、誰も同じようなものでしょう?」", "342000631_36": "「貴様のような者と一緒にするな」", "342000631_37": "「フフ、嫌われたものですね」", "342000631_38": "「ですが、あの忌々しいアダムも消しました。\\n 残る錬金術師もそう多くありません」", "342000631_39": "「もうすぐ私に対抗できる者は残らずいなくなります。\\n そうなった時、私と聖女の望む世界がやってくるのですッ!」", "342000631_40": "「この先に昔ジルが研究を奪った、\\n 錬金術師のアジトがあるはずなワケダ」", "342000631_41": "「日本にもそんなものがあったんですね……」", "342000631_42": "「この国に入り込んでいる錬金術師は少ないが、\\n それでもひっそりと隠れ住んでいる者もいるワケダ」", "342000631_43": "「ある程度強固な結界さえ張れば、\\n 人目につかないようにすることはできるからな」", "342000631_44": "「あの人たちは、ここにいるんでしょうか……?」", "342000631_45": "「わからない。しかし手がかりが掴めていない以上、\\n 知っているところを当たるしかないワケダ」", "342000631_46": "「使われていないにしても、\\n なんらかの手がかりがある可能性もある」", "342000631_47": "「……止まるワケダ。\\n ここから先は結界を解除しなくては入れない」", "342000631_48": "「さあ、これで研究所への道が――」", "342000631_49": "「アルカ・ノイズッ!?\\n どうしてこんなところにッ!?」", "342000631_50": "「おい、どういうことだッ!?」", "342000631_51": "「恐らくは罠……なワケダッ!」" }