{
"336000231_0": "「しかしなんと言ったものか……。\\n なかなかに趣きある人物が司令なのだな……」",
"336000231_1": "「司令代行ね。本来の司令は病気療養中だからさ」",
"336000231_2": "「はい。全身に水虫が広がったらしく……」",
"336000231_3": "「間が悪いな。話がしたいと言ったのはこっちだが、\\n 正直嫌な予感しかしない……」",
"336000231_4": "「ま、どんなやつかは、実際会ってみればわかるか。\\n あたしは雪音クリス。よろしく頼む」",
"336000231_5": "「こっちもちゃんと名乗ってなかったわね。\\n あたしは板場弓美。そっちが安藤創世と寺島詩織よ」",
"336000231_6": "「やっぱりッ!」",
"336000231_7": "「やっぱり……?\\n どこかでお会いしていましたでしょうか?」",
"336000231_8": "「……今は気にしないでくれ。\\n その辺の事情も、おいおい説明するから」",
"336000231_9": "「説明――、うん、どんな事情があってあそこにいたのか、\\n 司令代行のところに着いたらしっかり説明してほしいな」",
"336000231_10": "「もちろんだ。\\n にわかには、信じられないかもしれないが……」",
"336000231_11": "「弓美さんは、突飛なアニメを見ていらっしゃいますので、\\n 多少のことでは動じたりしませんわ」",
"336000231_12": "「そうよッ! あたしは鍛えているからねッ!」",
"336000231_13": "「――って、なんであんたが言うの?」",
"336000231_14": "「よくも、特異災害対策機動部二課を率いる僕を謀ったなッ!」",
"336000231_15": "「調べさせてもらったが、\\n 風鳴の家に翼という名の人物は存在していないッ!」",
"336000231_16": "「……」",
"336000231_17": "「この短時間で、身辺調査を……」",
"336000231_18": "「昔からキーワード検索とか、\\n web上のリンクを辿るとか得意だもんね、代行は……」",
"336000231_19": "「検索とかリンクだとかではないッ! ハッキングだッ!\\n データベースに侵入し、個人情報を覗かせてもらったんだッ!」",
"336000231_20": "「それはそれで、犯罪的というか変態的というか」",
"336000231_21": "「ビッグネームをちらつかせれば、\\n うぶな僕が怯むとでも思ったようだが、そうはいかんッ!」",
"336000231_22": "「こうなったら、全部洗いざらい吐いてもらうッ!\\n まず、君たちはどうやって二課敷地内に侵入したッ!?」",
"336000231_23": "「仰陽館女学院からの出入り口は、\\n すべて厳重なセキュリティが作動しているはずなのにッ!」",
"336000231_24": "「仰陽館女学院ッ!?」",
"336000231_25": "「ここって、リディアン音楽院の地下じゃないのか?」",
"336000231_26": "「何を驚いているッ!?」",
"336000231_27": "「特異災害対策機動部二課は、\\n 仰陽館女学院の地下に位置する隠し砦ッ!」",
"336000231_28": "「特異災害ノイズに対抗しうる技術――\\n メックヴァラヌスの秘密を探りにやってきたのだろうッ!」",
"336000231_29": "「……先輩……」",
"336000231_30": "「ああ、そろそろ頃合いだな」",
"336000231_31": "(ごくり)",
"336000231_32": "「……信じていただけるかはわかりませんが、\\n 順を追ってお話ししましょう」",
"336000231_33": "「許可する。さっさと話したまえ」",
"336000231_34": "「……こいつ、いちいち気に障る話し方だな……」",
"336000231_35": "「発端はわたしたちの所属する組織に、\\n 予期せぬ襲撃者が現れたことでした――」",
"336000231_36": "「――そうして、その襲撃者を追って、わたしたちは\\n 並行世界を渡り、事故に近い形でこの場所に出現したのです」",
"336000231_37": "「そうなんですッ!\\n それでその襲撃者が、リディ――」",
"336000231_38": "「もがッ!?」",
"336000231_39": "「……それは流石に伏せとけ。\\n 襲撃者と、この世界の二課との関係もわからないからな」",
"336000231_40": "「う、うん……」",
"336000231_41": "「無数に存在する並行世界ッ!?\\n メックヴァラヌスに比肩するシンフォギアッ!?」",
"336000231_42": "「夢があるッ! だがリアリティは欠片も無いッ!\\n つくならもっとうまい嘘にするべきではないかねッ!?」",
"336000231_43": "「おおかた、どこかの国の特務機関所属で、\\n メックヴァラヌスの秘密を奪いに来たのだろうッ!?」",
"336000231_44": "「特異災害ノイズに対して唯一有効なメックヴァラヌス。\\n これこそ我が国の威光を世界に知らしめる秘密兵器なのだから」",
"336000231_45": "「だーかーらーッ!\\n 唯一じゃないんだよ、メックヴァラヌスはッ!」",
"336000231_46": "「1つはっきりしているのは、\\n わたしたち竜姫が、彼女たちに敗北したという事実です」",
"336000231_47": "「悔しいけれど、それくらい強力な力を持っているなら……、\\n メックヴァラヌスの技術を奪いには来ないんじゃないかな?」",
"336000231_48": "「君たちまで、僕の言うことが聞けないのか――」",
"336000231_49": "「代行、あたしは彼女たちを信じようと思う」",
"336000231_50": "「――なんともはやッ!?」",
"336000231_51": "「さっきのあんたたち――\\n アニメみたいで、ちょっとカッコ良かった」",
"336000231_52": "「戦闘の強さも、そのあとの優しさも。\\n ……だから、あたしは信じてみることにしたんだ」",
"336000231_53": "「殴り合ってわかり合うなんて、アニメかねッ!?」",
"336000231_54": "「アニメじゃないッ!\\n 本当のことだよ。――だよね?」",
"336000231_55": "「信じてくれたんだ……」",
"336000231_56": "「その話、儂も信じよう」",
"336000231_57": "「――ッ!?」",
"336000231_58": "「――あわわわッ!?\\n あ、あなたは……ッ!」",
"336000231_59": "「鬼よりも、蛇よりも――\\n 潜んでいやがったな……伏魔殿にはとんでもないのが……」",
"336000231_60": "「――訃堂様ッ!」",
"336000231_61": "「いかにも、儂である」"
}