{ "330000721_0": "「皆、戦闘で疲労しているところすまないが、\\n エルフナインくんからの報告を聞いてほしい」", "330000721_1": "「どうしたんですか?」", "330000721_2": "「はい、あの怪物の特性や翼さんがギアに受けた影響から\\n データ照合し、敵の持つ能力の推定ができました」", "330000721_3": "「本当かよッ!」", "330000721_4": "「流石、エルフナインデスッ!」", "330000721_5": "「ありがとう」", "330000721_6": "「情報量が少なく確かなことは言えませんが、相手は完全聖遺物\\n 『アルゴスの眼』を使用している可能性が高いです」", "330000721_7": "「アルゴスの眼……、それはどういった聖遺物なんだ?」", "330000721_8": "「自律型の百眼の巨人、と文献にはあります。\\n 無数の眼により、全く死角のない無限の視界を持つのだとか」", "330000721_9": "「眼玉を切り離し端末として操ったり、他者を眷属化することも\\n 可能だったようですが、詳しいことはわかっていません」", "330000721_10": "「眼玉の端末……。それが、一つ眼の怪物デスねッ!」", "330000721_11": "「つまり、どこかに親玉がいるということ?」", "330000721_12": "「マリアさんや翼さんのギアが変化していたのが、\\n 眷属化ってことなのかな」", "330000721_13": "「わかったデスッ! マリアは眷属化させられて、\\n 操られてるんデスよッ!」", "330000721_14": "「眷属化っていうのがそこまでできるかわからないけど、\\n それだと、こっちも操られて敵になってないとおかしくないか?」", "330000721_15": "「あ……」", "330000721_16": "「眷属化の条件など、\\n とにかくアルゴスの眼には不明な箇所が多すぎます……」", "330000721_17": "「ですが、1つ気になることが」", "330000721_18": "「かつてアルゴスは、ヘルメスによって殺されたという伝説が\\n あります。アルゴスの眼は、その亡骸だと」", "330000721_19": "「なるほど……。\\n 敵がヘルメスの剣を狙ってたのも、その辺が関係してそうだな」", "330000721_20": "「ああ、だとしたら、それが奪われてしまったのは痛いな。\\n こちらは切り札を失ってしまった状態だ……」", "330000721_21": "「そうですね……」", "330000721_22": "「そういえば、ヘルメスの剣は最近発見された聖遺物だけど、\\n アルゴスの眼はどこにあったものなの?」", "330000721_23": "「ボクもそれが気になってアルゴスの眼の出所を調べてみました」", "330000721_24": "「所有国はもともと米国です」", "330000721_25": "「研究機関に保管されていたのですが、なんらかの事故で研究機関は\\n 壊滅、アルゴスの眼もその時に消失したと記録にはあります」", "330000721_26": "「だが、実際は今もああして存在していた……」", "330000721_27": "「その研究機関では、秘密裏に聖遺物と人との融合実験が\\n 行われていたようです」", "330000721_28": "「融合ってことは、ウェル博士とネフィリムみたいな感じかな?」", "330000721_29": "「詳しい実験内容は残されていないのでわかりません。\\n 残念ながら施設にいた人は事故で全員、亡くなっています……」", "330000721_30": "「黒幕はひょっとして、研究機関の生き残りだったりするんデスかね?」", "330000721_31": "「すべては推察になってしまいますが、\\n そういった可能性もあると思います」", "330000721_32": "「今まで見えていなかった敵の背中が見え始めた。\\n 少ない手がかりからよくそこまで調べてくれたな」", "330000721_33": "「いえ、そんな。ボクはボクにできることをしただけです」", "330000721_34": "「一つ眼の怪物、マリアくんだけでなく、第三の襲撃者か。\\n 眼帯の女性……俺が相手を出来ればよかったんだがな」", "330000721_35": "「気になってたんだけど、なんでおっさんは焦げ臭いんだ。\\n 身体は無傷のくせして」", "330000721_36": "「ああ。施設を爆発させられてしまっただろう。\\n その際職員を爆炎から避難させるのに、少し無茶をしてな」", "330000721_37": "「弦十郎さんのおかげで、施設のみなさんは無傷でした」", "330000721_38": "「あの爆発からみんなを護りきるとは、さすがデス」", "330000721_39": "「外も大変だったけど、中でも色々あったんだな。\\n 侵入を許して悪かった」", "330000721_40": "「……考えたんですけど、アルゴスの眼とかヘルメスの剣の\\n 話を聞いても、マリアさんが敵対する理由がわかりません……」", "330000721_41": "「そうだな。聖遺物を奪われちまった以上、こっちから\\n 取り返しに行くしかないけど、居場所がわからないか……」", "330000721_42": "「ボクは場所の特定に全力を尽くします。だからみなさんは、\\n 戦いの準備をお願いします」", "330000721_43": "「うん」", "330000721_44": "「もし、次もマリアさんと戦わなくてはいけない状況に\\n なったら、わたしも戦いますッ!」", "330000721_45": "「ああ、そうだな。\\n 戦ってでも、止めてやるッ!」", "330000721_46": "「そう……デスよね。もう、躊躇なんてしていられないデス」", "330000721_47": "「うん。そのために、もっと強くならないと。\\n マリアを止められるくらい」", "330000721_48": "「師匠、今は忙しい状況だと思いますが、\\n 手合わせをお願いしますッ!」", "330000721_49": "「マリアさんを止めるためにも、もっともっと\\n 強くならなくちゃいけないんですッ!」", "330000721_50": "「……ああ、わかった。そういうことなら付き合おう。\\n ただし、厳しくいくぞッ!」", "330000721_51": "「よろしくお願いします、師匠ッ!」", "330000721_52": "「アタシたちもお願いしていいデスか」", "330000721_53": "「ああ、構わないぞ」", "330000721_54": "「……わたしは少し考えたいことがあるので、\\n 遠慮させてもらいます」", "330000721_55": "「……そうか。わかった。\\n よし、残りの装者は全員、トレーニングルームに集合だ」", "330000721_56": "「遠慮はいらん、全員まとめてかかってこいッ!」" }