{
"329000511_0": "装者VSオートスコアラー",
"329000511_1": "「やっと終わりましたわね……」",
"329000511_2": "「マスター、相変わらずご機嫌斜めでしたねー」",
"329000511_3": "「ああ。最近、殊の外怒りっぽくなったな」",
"329000511_4": "「ひょっとしてカルシウムが足りていないのではないかしら?」",
"329000511_5": "「きっとストレス社会にやられたんだゾ」",
"329000511_6": "「ま、お説教を言いたくなるのもわかりますけどねえ」",
"329000511_7": "「どういう意味だ?」",
"329000511_8": "「だってえ、そもそもおふたりが\\n しっかり陽動してたら今回で終わってた話だしい?」",
"329000511_9": "「まさかこちらの意図を読んで\\n 戦力を温存してるとは思わなかったですわ……」",
"329000511_10": "「奴らが全員こっちに釣られていたら、\\n 今頃は派手に仕留められていたはずだ」",
"329000511_11": "「そりゃまあ、そうなんですけどねえ」",
"329000511_12": "「おかげでみんな揃って、\\n また役立たず扱いだったんだゾ……」",
"329000511_13": "「ああ。あれは地味にへこむな」",
"329000511_14": "「最終的に取り逃がしたのはあの黒い木偶の坊だってのにさ。\\n 役立たずはどいつだってのッ!」",
"329000511_15": "「言うな。マスターも焦っているんだろう」",
"329000511_16": "「そうね……」",
"329000511_17": "「でも、マスターって、前からあんな感じだったかしら?」",
"329000511_18": "「どういう意味だ?」",
"329000511_19": "「……いえ、気のせいですね。忘れてくださいな」",
"329000511_20": "「ま、ともかく。あたしたちの任務は、偽マスター――\\n 錬金術師キャロルの野郎を引っ捕らえることだし」",
"329000511_21": "「ああ。次こそは派手に成功させなければな」",
"329000511_22": "「ええ、そうね……」",
"329000511_23": "「なるほどね」",
"329000511_24": "「把握したよ、概ねの状況は」",
"329000511_25": "「厄介な展開だね、実に」",
"329000511_26": "「オートスコアラーの造反、黒騎士の出現と、\\n その背後にいると思しき謎の黒幕――」",
"329000511_27": "「およそ、キャロル自身の狂言とは思えぬ事態ばかりです」",
"329000511_28": "「同感だね、その見解は」",
"329000511_29": "「時に、黒騎士の核と思しき完全聖遺物ダインスレイフについて、\\n 局長は何か情報をお持ちではないですか?」",
"329000511_30": "「それによっては、\\n 黒幕の素性も明らかになるというワケダ」",
"329000511_31": "「あったね、確かに。そんな物が」",
"329000511_32": "「では、ダインスレイフは元々、我が協会に?」",
"329000511_33": "「そのはずだよ、僕の記憶が確かならね」",
"329000511_34": "「どこだったかな、しまっていたのは」",
"329000511_35": "「しまうって言ったって……」",
"329000511_36": "「あの局長のことだ、またぞろ\\n そこらの部屋の隅にでも転がしておいたワケダ」",
"329000511_37": "「そんなの、協会本部に出入りできる奴なら\\n 誰だって取り放題じゃないのッ!」",
"329000511_38": "「その度に、わたしたちが東奔西走させられるワケダね」",
"329000511_39": "「どうやら今回もそのパターン臭いわよね……」",
"329000511_40": "「何か言ったかな、2人とも?」",
"329000511_41": "「い、いえ。なんでもありませんッ!」",
"329000511_42": "「いいんだよ、言ってくれても。\\n あるならね、言いたいことが」",
"329000511_43": "「では、私から――」",
"329000511_44": "「我が協会の杜撰な聖遺物管理状況では、\\n 内部に通じた者という以上は絞り込みようがないかと」",
"329000511_45": "「ダイレクトに切り込んだワケダッ!」",
"329000511_46": "「耳が痛いね、真実というものは」",
"329000511_47": "「前も指摘されていたね、管理体制の問題を」",
"329000511_48": "「そうそう。あれから全然変わってないけどね」",
"329000511_49": "「検討するとしよう、いずれまた、近い内に」",
"329000511_50": "「あ、これ絶対永遠に変わらない奴だわ」",
"329000511_51": "「だが知る必要があるね、その黒幕の正体は。早急に」",
"329000511_52": "「局長のお力でおわかりになりませんか?」",
"329000511_53": "「そうそう。ダインスレイフやチフォージュ・シャトーの行方とか\\n ちゃちゃーって見つけたり?」",
"329000511_54": "「万能ではないよ、流石の僕もね」",
"329000511_55": "「秘匿しているようだね、何者かが。周到に」",
"329000511_56": "「内包する魔力の割りに存外役に立たないワケダ」",
"329000511_57": "「ほんとほんと。\\n 部下の仕事はいっつも覗き見してるのにね」",
"329000511_58": "「部下想いだからね、僕は。こう見えて」",
"329000511_59": "「心配なんだよ、君たちのこともね」",
"329000511_60": "「部下想いねえ……」",
"329000511_61": "「ああ、そうさ。\\n だから例外ではないよ、キャロルのことも」",
"329000511_62": "「キャロルを……?」",
"329000511_63": "「心配してるって、局長が?」",
"329000511_64": "「痛ましいね、実に。\\n 焼却するなんて、想い出を」",
"329000511_65": "「話してほしかったね、そこまで思い詰めているならば」",
"329000511_66": "「不徳の致すところだよ、組織の主としてはね」",
"329000511_67": "「珍しく殊勝な事をいうワケダ」",
"329000511_68": "「果たして何を願うのかね、彼女は」",
"329000511_69": "「チフォージュ・シャトー、\\n 並行世界で世界を滅ぼしかけたという、それに――」",
"329000511_70": "「局長。当初の目的であるキャロルの捕縛については、\\n 変更なしでよろしいのでしょうか?」",
"329000511_71": "「ああ。変更はないよ、任務自体にはね」",
"329000511_72": "「では引き続きキャロルの捕縛とチフォージュ・シャトーの回収を\\n 第一優先事項として進めます」",
"329000511_73": "「頼んだよ」",
"329000511_74": "「だが、注意してほしい、充分にね」",
"329000511_75": "「予想されるからね、妨害が」",
"329000511_76": "「妨害……ですか? 例の黒幕以外にも?」",
"329000511_77": "「そこまではわからないよ、僕にもね」",
"329000511_78": "「今後の任務について、どう進めるべきでしょう?」",
"329000511_79": "「上手くやってほしい、例の彼女らと協力してね」",
"329000511_80": "「承知しました。\\n 引き続き二課と、増援の装者たちと協力して事に当たります」",
"329000511_81": "「ああ。待ってるよ、次の報告を」",
"329000511_82": "「ふむ……」",
"329000511_83": "「容易ならないね、この事態は」",
"329000511_84": "「これは行くべきかもしれないね、僕も、日本へ」"
}