{ "326000211_0": "黒い影", "326000211_1": "「響さんのメディカルチェックの結果ですが、\\n 特に異常は見られませんでした」", "326000211_2": "「よかった……」", "326000211_3": "「もー、心配し過ぎだよ。\\n 大丈夫だって」", "326000211_4": "「そうは言っても一度倒れたなんて聞けば、心配にもなるよ。\\n ……本当、気をつけてよね」", "326000211_5": "「それで、響さんが倒れた理由ですが、身体の方に異常は\\n なかったので、精神的なものかもしれません」", "326000211_6": "「その場合、疲労やストレスから来ることがほとんどなのですが、\\n 何か心当たりはありますか?」", "326000211_7": "「ストレス……うーん……?」", "326000211_8": "「思い当たることはない?」", "326000211_9": "「うん。これってものは思いつかないかなぁ」", "326000211_10": "「そうなると本人も意識していない類のものかも\\n 知れませんね……」", "326000211_11": "「起こらないに越したことはありませんが、もしまた少しでも\\n 体調が悪くなったらすぐに教えてください」", "326000211_12": "「うん、ありがとう」", "326000211_13": "「ご心配をおかけしました」", "326000211_14": "「もういいの? メディカルチェックの結果は?」", "326000211_15": "「身体の方に異常はありませんでした。\\n なので、精神的な負荷などが原因かと思います」", "326000211_16": "「心当たりはないんですけど……」", "326000211_17": "「……向こうで何かあったのか?\\n それこそ、立花の精神に影響を及ぼすようなことが」", "326000211_18": "「それこそカルマノイズと戦ったくらいね」", "326000211_19": "「でも、あの苦しみ方は、\\n とても精神的なものとは思えないわ……」", "326000211_20": "「……身体の方には本当に異常はなかったの?\\n その、可能性は低くても、何かの病気が疑われるとか――」", "326000211_21": "「はい。響さんに向こうで簡易的なメディカルチェックを行ったと\\n 聞いたので、こちらはなるべく詳細に行ったのですが――」", "326000211_22": "「どれも異常は見つからず、響さんは全くの健康体でした」", "326000211_23": "「そう、ならよかったわ……」", "326000211_24": "(思い過ごしならいいんだけれど……)", "326000211_25": "「もしかしたら、カルマノイズと接触したことによる\\n 一時的な負荷か何か、かも知れません」", "326000211_26": "「……そうね。確かにアレは精神に負荷をかける敵だし、\\n その可能性はあるかも知れないわ」", "326000211_27": "「ったく、あんまり人に心配かけるなよな」", "326000211_28": "「クリスちゃんも心配してくれたんだ?」", "326000211_29": "「あ、当たり前だッ!」", "326000211_30": "「とにかく、大事ないようで安心したぞ。\\n だが、経過は確認するべきだろう。当分無茶は禁止だ」", "326000211_31": "「う、わかりました……」", "326000211_32": "「未来くんは響くんが無茶をしないよう、見張りを頼む」", "326000211_33": "「はい、わかりました」", "326000211_34": "「さて、響くんの状況もわかったところで、先ほどの続きだ。\\n 他の世界との情報共有だが――」", "326000211_35": "「情報共有、ですか?」", "326000211_36": "「ああ。カルマノイズ対策について、有益な情報、作戦の\\n データの提供があってな。確認してもらえるか?」", "326000211_37": "「はい、わかりました」", "326000211_38": "「動き出すのはエルフナインくんの確認が完了した後になるが、\\n お前たちには、主要な並行世界にデータを届けてもらいたい」", "326000211_39": "「世界蛇と戦う上で、外せない戦友たちの世界にな」", "326000211_40": "「なるほど……了解しました」", "326000211_41": "「誰を先方へのメッセンジャーとするかは、追って知らせる。\\n ひとまず、お前たちはそれまで休んでいてくれ」", "326000211_42": "「はあ、疲れたーッ!\\n 任務よりメディカルチェックの方が大変だったよ……」", "326000211_43": "「響が向こうで体調崩したりするからだよ。\\n ……もう、本当に心配させないでよね?」", "326000211_44": "「アハハ、ごめんごめん。\\n でも、あの苦しいのはなんだったんだろう……?」", "326000211_45": "「どんな感じだったの?」", "326000211_46": "「なんか頭の中からハンマーで叩かれるような感じで、\\n 痛くて立っていられなくなっちゃって……」", "326000211_47": "「それに、とてつもなく嫌な感じがしたんだ」", "326000211_48": "「……やっぱり、もう一度メディカルチェックしてもらおうか?」", "326000211_49": "「も、もう大丈夫だからッ!\\n 心配しないでッ! 今はなんともないし」", "326000211_50": "「でも……」", "326000211_51": "「それにあれだけ細かくチェックしたんだから、\\n 何かあるなら見つかってるって」", "326000211_52": "「……うん、\\n でも、少しでも何か身体に違和感があったらすぐに言ってね?」", "326000211_53": "「うん、そうするねッ!」", "326000211_54": "「はー、お腹すいちゃった……\\n 早くご飯にしよう?」", "326000211_55": "「フフ、\\n それじゃ準備するからちょっと待ってて」" }