{ "307001832_0": "「やはり、来たのね……」", "307001832_1": "「来るさ」", "307001832_2": "「私の邪魔はさせない」", "307001832_3": "「どうしてッ! わたしたち、分かり合えるはずです。だって了子\\n さん、ここを取り戻したいって言ってたじゃないですかッ!」", "307001832_4": "「またあたしを、あたしたちを裏切ったのか……フィーネッ!\\n ……違うと言ってくれッ!」", "307001832_5": "「…………」", "307001832_6": "「一時は、わたしもお前が櫻井女史のように感じたのだが……」", "307001832_7": "「なんとか言えよッ! フィーネッ!」", "307001832_8": "「だんまりを決め込むつもりなら、あたしは――ッ!」", "307001832_9": "「……クリスくん、俺に話させてくれないか」", "307001832_10": "「おっさん……。\\n わかったよ……」", "307001832_11": "「約束、覚えているだろう? まだ俺は死んでないぞ。\\n 目的を遂げるのは俺を殺してからじゃなかったのか?」", "307001832_12": "「そんな約束、もう意味が無い……この私に訪れた好機を\\n 不運に思うがいい」", "307001832_13": "「俺は今この瞬間でもまだ、君を二課の仲間だと思っている」", "307001832_14": "「愚かなこと。甘い男だ」", "307001832_15": "「ああ、俺は甘い。だが、我々がこの特異災害対策機動部二課で\\n 過ごした時間に嘘は無かったはずだ」", "307001832_16": "「最初に君を櫻井了子として歓迎した日、それからフィーネという\\n 素性を知ってから改めて飲み交わした日」", "307001832_17": "「それらの時間を、確かに君も覚えているはずだ。その後も\\n 俺たちは二課の仲間として過ごしてきたじゃないか」", "307001832_18": "「私に積み上げられた永い時の中の、\\n ほんの仮初めの断片に過ぎない」", "307001832_19": "「こんなことはやめて、帰ってくる気はないか。\\n 俺は君に3度目の歓迎をしたい」", "307001832_20": "「……くどい」", "307001832_21": "「もう、考え直せないのか?」", "307001832_22": "「もはや後戻りという選択肢は無い。\\n この時を、私は幾星霜待ち望んで来たのだから……」", "307001832_23": "「そうか。残念だ」", "307001832_24": "「だが俺は……ッ!」", "307001832_25": "「なんという気迫……ッ!」", "307001832_26": "「ちくしょう……」", "307001832_27": "「だが俺は、君を止めるぞ……了子くんッ!」", "307001832_28": "「…………」", "307001832_29": "「――むッ!? なんだ、体がッ……う、ぐ……ッ!?」", "307001832_30": "「師匠ッ!?」" }