{ "306000611_0": "目覚めた日のこと", "306000611_1": "(あの日、わたしが目覚めた日……)", "306000611_2": "(ここはどこだろう?\\n 最初に思ったのはそんなことだった)", "306000611_3": "(――それから、知らない場所で、知らない人たちに囲まれて、\\n いろんな検査をしたり、すごく痛い注射を打たれたりした)", "306000611_4": "(次に思ったのは、マリア姉さんの事。会いたい……)", "306000611_5": "(いつでも一緒にいてくれた、姉さんの姿が見えない)", "306000611_6": "(その次はマムや月読さん、暁さん、\\n レセプターチルドレンのみんなの事)", "306000611_7": "(みんなは元気かなって気になったけれど、わたしの体にはいろ\\n んなチューブが繋がれていて、ベッドから起きられなかった)", "306000611_8": "(その中で、マムにはすぐに会えた。だけどなんだか様子が\\n おかしい。何となくだけど、少し年をとった気がする)", "306000611_9": "(その理由は、数日してわたしが起き上がれるようになった頃、\\n マム自身が教えてくれた)", "306000611_10": "「セレナ、おはようございます。\\n そろそろいいでしょう。……落ち着いて聞きなさい」", "306000611_11": "「改まって、どうしたんですか?」", "306000611_12": "「あなたは実験の際の事故で重傷を負い、7年間……\\n 眠りについていたのです」", "306000611_13": "(そういってマムが語ったのは、\\n わたしが知らない長い時間の事だった)", "306000611_14": "(コールドスリープによる延命と、未来の技術による蘇生治療。\\n ううん、未来じゃない、それはもう、今)", "306000611_15": "(あの事故の日から7年も眠っていたなんて……。\\n わたしは未だに、実感が湧いてない)", "306000611_16": "「……どうしました、セレナ。なにか不調でも感じますか?」", "306000611_17": "「いえ、なんでもありません」", "306000611_18": "「そうですか。体調に問題がないなら構いません」", "306000611_19": "「はい。次の訓練プログラムをお願いします」", "306000611_20": "「わかりました」" }