{ "402001222_0": "「これはもう、乗り越えた過去よッ!\\n 今のわたしたちの敵じゃないッ!」", "402001222_1": "「さて、次ね……これは?」", "402001222_2": "「箱がいっぱい積み上げられて、壁みたいになってる」", "402001222_3": "「ふぬぬぬ……ッ!\\n 今度は押しても動かないデス」", "402001222_4": "「また違ったものを試されるようだな」", "402001222_5": "「箱を消すのじゃなかったら、何をすれば?\\n あッ、こっち、箱と箱の隙間に入れそうな道がありますよ」", "402001222_6": "「中は?」", "402001222_7": "「……なるほど、そういうこと。\\n 今度はストレートに迷路ってわけね……」", "402001222_8": "「これこそ迷宮デスねッ!」", "402001222_9": "「そのまんまだね」", "402001222_10": "「とりあえず進んでみましょう」", "402001222_11": "「か……完全に迷ったデス。\\n どっちに行っても行き止まりとループデスよッ!」", "402001222_12": "「目印に置けるものももう無い」", "402001222_13": "「壁も床も攻撃しても傷がつかないし。\\n 目印がつけられない……」", "402001222_14": "「ああッ、また行き止まりです……。\\n あれ? 最初はどっち向きに入ったんでしたっけ……?」", "402001222_15": "「確か向こうのはずだが」", "402001222_16": "「こちらだった気が……、\\n 流石に方向感覚も自信もなくなってきますね」", "402001222_17": "「周りの景色がずっと箱箱箱でなんの変化もないから、\\n 何がなんだがわからないデスよ……」", "402001222_18": "「うん……分岐も多かったし、最初の入口に戻るのも\\n 厳しいかも……」", "402001222_19": "「また行き止まりですね……」", "402001222_20": "「この迷路、本当に出口はあるんでしょうねッ!?\\n 壊せるものなら、壁を壊して進みたいわ」", "402001222_21": "「マッピング機能が欲しい……」", "402001222_22": "「記録手段の1つでもあればよかったんだろうが、\\n あいにくとそういった持ち合わせはないな」", "402001222_23": "「こちらもです。\\n ……総当たりで調べるしかなさそうですね」", "402001222_24": "「――はッ!!」", "402001222_25": "「どうしたの、切ちゃん」", "402001222_26": "「総当たりで思い出したデスッ!\\n こうして、左手で壁に触って――」", "402001222_27": "「このままずっと左手を壁につけて歩けば、いつか必ず\\n ゴールにたどり着けるという法則があるんデスよッ!」", "402001222_28": "「この前ゲームをしていてアタシが見つけた、\\n 究極の必勝法デスッ!」", "402001222_29": "「ああ、左手法ね。割と有名な方法よ」", "402001222_30": "「なんデスとッ!?」", "402001222_31": "「非常に一般的な、広く知られた迷路攻略法だな」", "402001222_32": "「わたしも何かの本で読んだ気がします」", "402001222_33": "「そ、そんな……ッ!?\\n ア、アタシが発見した法則のはずだったデス……ッ!」", "402001222_34": "「切ちゃん、ドンマイ……」", "402001222_35": "「まあでも、取っ掛かりとしてわかりやすいし、\\n 試してみましょうか」", "402001222_36": "「アタシのヒラメキは、一体なんだったんデスか……ッ!」", "402001222_37": "「もうずいぶん歩いたけど……ゴールは……」", "402001222_38": "「信じるデス……これは究極の必勝法なんデス」", "402001222_39": "「あッ、あの場所――」", "402001222_40": "「きっとゴールデスッ!」", "402001222_41": "「出口……\\n じゃなくて、最初の地点まで戻ってきちゃいました……」", "402001222_42": "「つまり、ゴールは外周には無いってことね。\\n そうなると、調べるのはかなり面倒になりそうね……」", "402001222_43": "「ど、ど、どういうことデスかッ!?」", "402001222_44": "「左手法は外壁をたどってゴールを目指す方法だから、外周に\\n ゴールが無いと、たどり着けないんだよ」", "402001222_45": "「他にもフロアが複数に渡っている場合や、なんらかの転送装置、\\n 位置を変える仕掛けがあった場合も、その方法では無理だ」", "402001222_46": "「そんな……アタシの、究極の必勝法が……」", "402001222_47": "「ええっと、でも……、外周にゴールが無いことまでは\\n わかりましたから」", "402001222_48": "「そ、そうデスッ!\\n これでゴールに近づいたデスよッ!」", "402001222_49": "「切ちゃん、復活早い。\\n でも、セレナの言う通りだと思う」", "402001222_50": "「とにかく、ゴールは迷宮の内側なんだから、\\n 次はなるべく中心へ向かうよう、進路を取ってみましょう」", "402001222_51": "「…………長いわね」", "402001222_52": "「そうデスね……。\\n 足が鉄棒になりそうデス」", "402001222_53": "「本当は足が棒が正しいけど、\\n そっちの方がしっくりくるくらい歩いたよね……」", "402001222_54": "「――あ、あれッ!?」", "402001222_55": "「行き止まり……あ、でも地面に何か……?」", "402001222_56": "「印があるデスッ! もしかして――」", "402001222_57": "「きっとゴールよッ! お願い……そうであってッ!」", "402001222_58": "「ふむ、そのようだな」" }