{ "346000221_0": "「到着しました」", "346000221_1": "「ああ、よく来てくれたな。\\n まずは、検査中だったコンバーターユニットを返しておこう」", "346000221_2": "「はい」", "346000221_3": "「米国に出張中の了子くんにも数値は確認してもらったが、\\n 特に問題は見られないとのことだ」", "346000221_4": "「響くん自身としてはどうだ?\\n 使ってみて気になるところは無かったか?」", "346000221_5": "「……前に比べて、よりギアが馴染んだような、\\n そんな感じがしました」", "346000221_6": "「それは気のせいではない。こちらでモニタリング\\n させてもらっていたが、適合率の上昇が見られた」", "346000221_7": "「以前よりも、ガングニールの\\n 力を引き出せているはずだ」", "346000221_8": "「気のせいじゃなかったんですね……」", "346000221_9": "「心当たりはあるか?」", "346000221_10": "「融合症例だったときのほうが、\\n 結びつきは強かったはずなのに、どうして……」", "346000221_11": "「シンフォギアとはただの兵装ではない。\\n 歌を介して人の想いに応えてくれる物だ」", "346000221_12": "「ひょっとしたら、それが理由ではないかな」", "346000221_13": "「……以前のわたしは、ただ怒りをぶつけていただけでした。\\n でも、今は……」", "346000221_14": "(わたしの拳が、壊すためのものじゃなくなったから、\\n ガングニールはわたしに応えてくれた……?)", "346000221_15": "(この手は、誰かと繋ぐためにあるんだって――)", "346000221_16": "「君にもガングニールにも多くの可能性が秘められている」", "346000221_17": "「その力、俺たちに見届けさせてほしい。\\n そして、共に特異災害と戦ってほしい」", "346000221_18": "「……わかりました。\\n わたしの想いは、二課と同じですから」", "346000221_19": "「感謝する。これからも、よろしく頼む」", "346000221_20": "「遅くなりました。\\n 風鳴翼、入ります」", "346000221_21": "「来たか、翼」", "346000221_22": "「はい。今日は昨日の戦いについての話ですか?」", "346000221_23": "「ああ、2人とも揃ったことだし、始めよう。\\n まずは昨日出現したノイズの――」", "346000221_24": "「……以上だ。これからは翼、響くんの装者2名体制で\\n 活動してもらおうと思っている」", "346000221_25": "「改めて2人とも、頼んだぞ」", "346000221_26": "「はい、勿論です。\\n 立花と共に、この国を特異災害から護ってみせます」", "346000221_27": "「よろしくお願いします」", "346000221_28": "「フ……期待しているぞ」", "346000221_29": "「……それにしても、いつの間にフライボードなんて\\n 造っていたんですか?」", "346000221_30": "「とあるタイムスリップものの映画から、\\n インスピレーションを受けてな」", "346000221_31": "「少し前から製作を進めていたんだ」", "346000221_32": "「夜な夜なラボに籠っていたのはそのためですか……」", "346000221_33": "「まだ翼でなければ乗りこなせないじゃじゃ馬だが、\\n 改良を進めれば、やがて他の者でも使えるようになるだろう」", "346000221_34": "「それはいいですねッ!\\n 俺も是非、乗ってみたいなあ」", "346000221_35": "「そうか? しかし、安全の保障はできないぞ?\\n 高度も速度も、生身の人間に合わせてはいないからな」", "346000221_36": "「あー、それは……遠慮しておきます……」", "346000221_37": "「装者を何よりも早く現場に送るために造ったものだからな。\\n 普通の人間が乗れば、即振り落とされてしまうだろう」", "346000221_38": "「翼、使ってみてどうだった?\\n 次は響くんの物も用意しようと思うんだが……」", "346000221_39": "「機動性と速度については十分でした。作戦エリアまでの\\n 移動時間はかなり短縮できるでしょう。ただ――」", "346000221_40": "「ただ?」", "346000221_41": "「個人的な好みの問題なのですが、やはりハンドルも車輪も\\n 無いというところが、少々引っかかっています……」", "346000221_42": "「乗り物を操っているというより、\\n 乗せられている感が勝ってしまって……」", "346000221_43": "「……お前は本当にバイクが好きなんだな。\\n まあ、場合に応じて使い分けてくれ」", "346000221_44": "「フライボードにも慣れるよう努力してみます」", "346000221_45": "「さて、そうなると概ね問題は無いと思っていいようだな。\\n では響くん用も製作に入るとしよう。何か要望はあるかな?」", "346000221_46": "「いえ、特には。\\n 便利そうだな、とは思いましたけど」", "346000221_47": "「そうか。ならばこちらに任せてもらおう。\\n 試作品ができたら、テスト飛行に付き合ってくれ」", "346000221_48": "「わかりました」", "346000221_49": "「立花。少しいいだろうか?」", "346000221_50": "「はい……?」", "346000221_51": "「今から時間はあるだろうか。\\n 日課の鍛錬をするんだが、付き合わないか?」", "346000221_52": "「……邪魔になりませんか?」", "346000221_53": "「それなら、声をかけたりなどしない。\\n わたしたちは、まだ互いに連携して戦えているとは言い難い」", "346000221_54": "「普通のノイズだけが相手なら、それでも問題は無いが、\\n カルマノイズのような強敵が現れる可能性もある」", "346000221_55": "「……はい」", "346000221_56": "「わたしは、立花をもっと理解したい。\\n そして、わたしのことももっと理解してもらいたい」", "346000221_57": "「それで、一緒に鍛錬をすれば、\\n 互いへの理解をもっと深められると思ってな……」", "346000221_58": "「わかりました。\\n わたしも、翼さんのことを知りたいです」", "346000221_59": "「ありがとう。では、シミュレータルームに行こう」" }