{ "355000121_0": "「このあたりがガルモンの邸宅のはずですわ」", "355000121_1": "「『元』を付けたほうが正確ですけどね。\\n あらら、あちこち穴ぼこだらけじゃありませんか」", "355000121_2": "「思った以上に派手に破壊されているな」", "355000121_3": "「ああ……。\\n わかるな? お前たち」", "355000121_4": "「ええ、これはただの事故ではありません。\\n 第三者による明確な破壊行動のようです」", "355000121_5": "「しかも、この痕跡は……、\\n 間違いなく錬金術師の仕業ですわね」", "355000121_6": "「協会内部の人間か、それ以外か。\\n いずれにしても、相当の技量の持ち主のようだ」", "355000121_7": "「ったく、こんなときに不在だなんて。\\n なんのための統制局長なんだか」", "355000121_8": "「あの男が役に立たないのは\\n 今に始まったことではないだろう」", "355000121_9": "「だったら、ミカたちが犯人を捕まえるんだゾッ!」", "355000121_10": "「あれ? だけど、どこに逃げたかわからないんだゾ?」", "355000121_11": "「…………」", "355000121_12": "「マスター、どうなさいました?\\n 何か気がかりなことでも?」", "355000121_13": "「お前たち、この痕跡の残り方、\\n 何か不自然だと思わないか――」", "355000121_14": "「爆発ッ!? 近いですわ」", "355000121_15": "「犯人は逃げていないどころか――」", "355000121_16": "「まだ現場に留まっていたということか――ッ!」", "355000121_17": "「探す手間が省けたゾッ!」", "355000121_18": "「ああ。犯人は爆発の中心地にいる。\\n 取り囲めッ!」", "355000121_19": "「はッ!」", "355000121_20": "「包囲完了。\\n これで袋のネズミってわけですね」", "355000121_21": "「よーし、先制攻撃だゾッ!」", "355000121_22": "「迂闊に動くな。\\n まずは相手を見定めてからだ」", "355000121_23": "「あ、あれは……?」", "355000121_24": "「んん? ひょっとして……」", "355000121_25": "「アダムッ!?」", "355000121_26": "「こんなところで何をしているのだ」", "355000121_27": "「…………」", "355000121_28": "「もしや、犯人と一戦交えたものの\\n 逃げられてしまったのでは?」", "355000121_29": "「……そうなのか?」", "355000121_30": "「だったら、その犯人を教えてほしいゾ」", "355000121_31": "「……犯人」", "355000121_32": "「誰のことを指すのかな? それは」", "355000121_33": "「ガルモン邸を破壊した者に決まっているだろう」", "355000121_34": "「その答えならば……」", "355000121_35": "「僕だよ――」", "355000121_36": "「…………」", "355000121_37": "「しかし承服しかねるね、犯人扱いされるのは。\\n 僕は仕事をしているだけだ、勤勉にね」", "355000121_38": "「ちょっと、さっきから何を言ってるか\\n さっぱりわからないんだけど」", "355000121_39": "「何があったのか説明してくださらないかしら」", "355000121_40": "「実際に見せよう、説明するより。\\n こういうことだよ――ッ!」", "355000121_41": "「来るぞッ! お前たちッ!!」", "355000121_42": "「ぐッ!? なんと派手な一撃……ッ!」", "355000121_43": "「そんなの、当たったらどうするんだゾッ!?」", "355000121_44": "「狙ったんだけどね、当たるように。\\n さすが君たちだ。今のを躱すとは」", "355000121_45": "「――ッ!」", "355000121_46": "「血迷ったか、アダムッ!!」" }