{ "345001111_0": "始まりつつある異変", "345001111_1": "「……つまり、未知の技術が使われていたと?」", "345001111_2": "「ああ、彼女の研究所にその形跡が見られた。\\n 報告したアンドロイドもそうだ」", "345001111_3": "「その技術を与えた者は一体……」", "345001111_4": "「あちらの調たちから話を聞こうとしてみたけど、\\n 約束だからって教えてもらえなかったのよね」", "345001111_5": "「ああ、だが、彼女は、1つだけ教えてくれた。\\n 科学技術に通じる者なら名前は知っているだろう。とのことだ」", "345001111_6": "「なるほど、つまり相手は研究者ということか」", "345001111_7": "「確証はないがな」", "345001111_8": "「多くの知識を持った研究者……」", "345001111_9": "「司令……。\\n もしや、どこか別の並行世界の櫻井女史ということは?」", "345001111_10": "「その情報だけでは、なんとも言えないな。\\n 些細なことでもいい、他に情報はないのか?」", "345001111_11": "「ウェルも含めて口が堅かったからね……」", "345001111_12": "「マリア、月読たちの様子を見に行ったんじゃなかったのか」", "345001111_13": "「邪魔しちゃ悪いと思って戻ってきたの。\\n それにこちらの話が気になっていたから」", "345001111_14": "「技術提供者の正体が不明だとしてもだ――」", "345001111_15": "「残されていた記録を見ると、\\n 俺が追っている奴と同一組織の可能性が高い」", "345001111_16": "「話してはくれなかったのだろう?\\n その情報が偽りである可能性は無いのか?」", "345001111_17": "「話せないからこそ、向こうのウェルは、\\n この形で、情報をくれたのだと俺は思う」", "345001111_18": "「なるほどな……」", "345001111_19": "「並行世界を渡る技術はそう簡単に得られるものではない。\\n それもスクルドとは異なる技術」", "345001111_20": "「その技術の正体について、何か他にわからないのか?\\n なんらかの聖遺物によるものか、それとも錬金術なのか……」", "345001111_21": "「確証はないが、強いて言うなら、\\n 最も近いのは『科学技術』だ」", "345001111_22": "「なんだとッ!」", "345001111_23": "「人類の知識や技術が、\\n 異端の力を超える時が来たということでしょうか」", "345001111_24": "「相手は並行世界の存在を知り、\\n それを渡る方法をも知っているということになる」", "345001111_25": "「恐ろしいのは、それらの技術を先ほどの\\n 並行世界の者たちに教えたということだ」", "345001111_26": "「え、それはどういうことです?」", "345001111_27": "「教えたということは、当人は、\\n それほど重要な技術と思っていないということ」", "345001111_28": "「つまりそれは、俺達には想像もつかない\\n 力と技術を保持しているということになる」", "345001111_29": "「まさか、また世界蛇のような相手が現れると」", "345001111_30": "「そうとは言い切れん。だが……」", "345001111_31": "「今、間違いなく、\\n 並行世界で大きな何かが起き始めている」" }