{
"339000311_0": "3人目のウルトラマン",
"339000311_1": "「さて、この馬鹿げた状況をどう解決するかだが……」",
"339000311_2": "「…………」",
"339000311_3": "「あのトゲトゲしい態度のギラリ眼鏡は、\\n もしかしてさっきの――?」",
"339000311_4": "「ああ……諸星さんだ。\\n セブンスーツを着て戦ってたのはあの人だよ」",
"339000311_5": "「やっぱり……雰囲気が似てると思った……」",
"339000311_6": "「いかにも、血も涙もない冷血漢って感じデス」",
"339000311_7": "「何をこそこそしている、\\n 言いたいことがあれば、ハッキリ言え」",
"339000311_8": "「あッ……すみませんッ!」",
"339000311_9": "「と言っても正直、\\n 貴様らと話し合うことなど何もない」",
"339000311_10": "「いいえ、まだ事態は解決できていないわ」",
"339000311_11": "「貴様らがやっていることは、\\n いたずらに被害を拡大しているだけだ」",
"339000311_12": "「解決の助けにはならない」",
"339000311_13": "「お前たちがどこの世界から来たか知らないが、\\n これは僕らの問題だ」",
"339000311_14": "「だけど、わたしたちも、\\n このまま帰るわけにはいきません」",
"339000311_15": "「安心しろ。\\n あの異星人は確実に処分する」",
"339000311_16": "「それが早計だと――」",
"339000311_17": "「くどいッ! たとえどんな事情があろうと、\\n 被害を出しているのは事実だ」",
"339000311_18": "「それだけでなく、あいつは許可もなく擬態を解き、\\n 群衆の前に姿を晒して暴れまわった」",
"339000311_19": "「そんなクソ異星人の事情などに興味はないし、\\n 知ったところで処分することに変わりはない」",
"339000311_20": "「…………」",
"339000311_21": "「やい、ギラリ眼鏡、\\n どうしてそんなひどいことが言えるんデスかッ!」",
"339000311_22": "「僕は当然のことを言っただけだ。\\n もうこれ以上、意味のない議論に付き合う気はない」",
"339000311_23": "「いや、彼女たちの見解にも興味がある」",
"339000311_24": "「エド、本気か……?」",
"339000311_25": "「ああ、構わないだろ?」",
"339000311_26": "「……チッ、好きにすればいい」",
"339000311_27": "「君たちはイフロ星人の意思を感じ取れるのか?」",
"339000311_28": "「歌が聞こえて……」",
"339000311_29": "「歌というのは?」",
"339000311_30": "「イフロ星人が上げる悲鳴のような声が、\\n 唄っているように聞こえるんです」",
"339000311_31": "「それがなんだというのだ?\\n 僕には叫んでいるようにしか聞こえなかった」",
"339000311_32": "「そしてあの叫び声が破壊音波となり、\\n 周囲を破壊している」",
"339000311_33": "「歌だろうが悲鳴だろうが関係ない」",
"339000311_34": "「イフロ星人の存在は、明らかな脅威だ。\\n 諸星の主張はもっともだ」",
"339000311_35": "「だけど、あの子は言葉にもしてハッキリ伝えてきました。\\n 助けてほしいと」",
"339000311_36": "「ふむ、助けを求めている、か……。\\n 君は初めから、イフロ星人に同情的だったからな」",
"339000311_37": "「だったら……」",
"339000311_38": "「あなたはどう感じたの?」",
"339000311_39": "「えッ……オレ?」",
"339000311_40": "「イフロ星人が助けを求めているのがわかったでしょう?」",
"339000311_41": "「うーん……確かに見ようによっては、\\n 少し辛そうにしていた気が……」",
"339000311_42": "「まさか、こいつらの味方をする気か?」",
"339000311_43": "「いや、違いますよッ!\\n というか、マリアさんたちとは、敵も味方もないでしょッ!」",
"339000311_44": "「僕たちの使命を邪魔する者は、\\n 何者であっても敵だ……ッ!」",
"339000311_45": "「そんなことは言わずに……仲良くしましょうよ」",
"339000311_46": "「小僧、お前はもう黙っていろ……ッ!」",
"339000311_47": "「…………はい」",
"339000311_48": "「なぜですか? わたしは彼の意見を聞いているんです。\\n あなたにそれを遮る権利はないはずです」",
"339000311_49": "「こいつはまだ子供だ。\\n 必ずしも適切な判断を下せるわけじゃない」",
"339000311_50": "「判断とか、そういう話じゃありません。\\n わたしはただ、どう感じたかを尋ねているだけなんです」",
"339000311_51": "「だったら小僧、はっきりと言ってやれ」",
"339000311_52": "「そんなこと言われても……、\\n あの声だけじゃ判断できないというか……」",
"339000311_53": "「もし、本当にあの子……、\\n イフロ星人が助けを求めていたらどうするの?」",
"339000311_54": "「そりゃ、できるだけ助けてやりたいとは思うけど……」",
"339000311_55": "「凶悪な異星人の演技だったらどうする?」",
"339000311_56": "「それは……難しいかもしれませんが……」",
"339000311_57": "「…………ッ!」",
"339000311_58": "「では、結論は変わらないな」",
"339000311_59": "「ちょっと待って。あなたはそれでいいの?」",
"339000311_60": "「え……?」",
"339000311_61": "「今の意見は誘導されているようなものでしょ。\\n ちゃんと自分で考えて出した答えじゃないじゃない」",
"339000311_62": "「別にそんなことは……」",
"339000311_63": "「だったら、あなた自身が思っているってことなの?\\n イフロ星人を処分したいって」",
"339000311_64": "「そりゃ……殺さなくてすむならオレだってそうしたいけど」",
"339000311_65": "「なッ……」",
"339000311_66": "「さっきから意見が変わってばかりじゃないッ!\\n 助けたいのか、助けたくないのか、どっちなのよッ!?」",
"339000311_67": "「そんなこと言われても……仕方ないだろ。\\n こっちにはこっちの事情があるんだし……」",
"339000311_68": "「なんだよ、さっきから……、\\n なんでキミにそんなことを言われないといけないんだよ?」",
"339000311_69": "「別の世界から来たあんたたちに、\\n オレの何がわかるって言うんだッ!」",
"339000311_70": "「それは……」",
"339000311_71": "「そこまで言うなら、\\n あんたらだけで勝手にやればいいだろッ!」",
"339000311_72": "「…………ッ」",
"339000311_73": "「ええ、そうね……、\\n 最初からそうするべきだったのかもしれないわ」",
"339000311_74": "「もう、行くわ」",
"339000311_75": "「待ってマリアッ!」",
"339000311_76": "「何が正義の味方デスかッ!!」",
"339000311_77": "「あッ……本当に行っちゃった……」",
"339000311_78": "「フンッ……」",
"339000311_79": "「……ふむ」"
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