{ "337000311_0": "ものすごく排他的で、ありえないほど強い攻撃衝動", "337000311_1": "「――ねえ?」", "337000311_2": "「ん?」", "337000311_3": "「何だかとんでもなくご法度なような気がするんだけど……\\n どうしようもなく気になる事があるんだけどッ!」", "337000311_4": "「らしくないくらいにまわりくどい」", "337000311_5": "「わたしたちに答えられるものであれば構わないが……」", "337000311_6": "「そっちの機密とか、そういうのに全然関係の無い、\\n ホント、大したことじゃないんだけどね……」", "337000311_7": "「あの、訊いてみたいのはですね――\\n 皆さんの世界のわたしたちって、どんな感じなのでしょう?」", "337000311_8": "「ありゃま」", "337000311_9": "「たしかに、ギャラルホルンで並行世界を行き来して、\\n 同一別人格にはもう何人も逢ってきたが――」", "337000311_10": "「考えてみれば不思議なくらい、\\n この当たり前の問い掛けをされた事が無かったな」", "337000311_11": "「そっちの世界のあたしたちの事――\\n 知ってるような素振りしてたじゃない?」", "337000311_12": "「……うん。みんなの事、よく知ってるよ」", "337000311_13": "「お願いッ! 聞かせてッ!」", "337000311_14": "「……」", "337000311_15": "「板場さんは、やっぱりアニメが大好きで、\\n 先生たちに掛け合って、学院にアニソン同好会を作ったんだ」", "337000311_16": "「ナニソレッ!? やるじゃんなかなかやるじゃんッ!\\n やるじゃんあたしッ! そっちでも火花飛ばしてるわねッ!」", "337000311_17": "「寺島さんは、普段は一歩引いているんだけど、\\n それでいて、いざとなったら三歩踏み込めるタイプでね……」", "337000311_18": "「舞台に立つとスイッチが入る女優さんみたいですわね。\\n もしかしてこのわたしにも、そんな一面があるのでしょうか」", "337000311_19": "「安藤さんは、運動神経が良くてリズム感もあって……\\n シュっとしてるから、ダンスがすごくカッコ良くてね」", "337000311_20": "「ダンスッ!? わたしってばダンス?\\n たしかに好きだけど、人前で踊ってたりするの、恥ずいな……」", "337000311_21": "「あと、やっぱりみんなにあだ名を付けるのが好きで――\\n クリスちゃんの事を、キネクリ先輩って呼んでたりするんだ」", "337000311_22": "「――はあッ!?」", "337000311_23": "「マジカッ!?」", "337000311_24": "「センス、おんなじッ!」", "337000311_25": "「もうひとり、未来を合わせた5人で、\\n カラオケに行ったり、ふらわーでお好み焼き食べたりして――」", "337000311_26": "「ねえ」", "337000311_27": "「ん?」", "337000311_28": "「そっちのあたしたち――楽しくやっているんだよね?」", "337000311_29": "「……」", "337000311_30": "「…………」", "337000311_31": "「竜姫の使命を背負った事――後悔なんかしていないし、\\n むしろ竜姫でいられる事は、あたしたちの誇りだ」", "337000311_32": "「それでもね……、そっちの世界のあたしたちは、\\n できるだけ怖い目なんかに……、遭わずにいてほしいなあ」", "337000311_33": "「……板場さん……」", "337000311_34": "「こう見えて、意外に小心者なんだからさ。\\n ちゃんと護ってあげてよね、そっちのあたしを。あたしたちを」", "337000311_35": "「――約束する。\\n どこの世界のみんなだって、きっとわたしの友達だから……」", "337000311_36": "(…………)", "337000311_37": "(――友達……\\n 止めるためだったとはいえ、わたしはまた――)", "337000311_38": "(…………)", "337000311_39": "「――ここ、は……?」", "337000311_40": "「良かった……\\n ずっと眠ったままだったらどうしようかと――」", "337000311_41": "「待っててください。\\n すぐにお水をお持ちしますね」" }