{ "330000911_0": "裏切りの独奏曲", "330000911_1": "「短い時間だったけれど、やれるだけのことはやったわ。\\n メルの協力のおかげね……。早くアジトから離れましょう」", "330000911_2": "(保管されていた完全聖遺物、ヘルメスの剣もこうして\\n 奪うことができた……)", "330000911_3": "(ヘルメスの剣にはアルゴスを浄化する力があると\\n 言っていたわ。なんとかこれを起動させることができれば)", "330000911_4": "(眷属とされたアルゴスの眼とのペアリングを\\n 切ることができるんじゃないかしら)", "330000911_5": "「……ッ!」", "330000911_6": "(あの光は、ネメシスの……ッ!\\n まさか、もう気取られて……)", "330000911_7": "「あああ――ッ!?」", "330000911_8": "(くッ……避けきれなかったッ!\\n 身体はなんとか動く、でも……)", "330000911_9": "「考えが甘かったな」", "330000911_10": "「わたしの力が弱まった隙を突いたつもりだろうが、アルゴスの\\n 眼とネメシスから逃げられる場所などありはしないッ!」", "330000911_11": "「そうみたいね……。さすがに、こんなに早く対応されるとは\\n 思わなかったわ」", "330000911_12": "「お前なら、わたしの想いをわかってくれると思っていた。\\n 妹を喪ったお前なら……」", "330000911_13": "「しかし、お前はわたしを裏切ると言うんだな」", "330000911_14": "「あなたの気持ちはわかるわ。痛いくらいに……。\\n だけど、犠牲の上に築く理想は、さらなる悲しみを生むだけよ」", "330000911_15": "「かつて、わたしはそれを敵に教えられたわ。\\n 今では敵じゃなくて、仲間だけどね」", "330000911_16": "「なんだと……?」", "330000911_17": "「だから、はっきりと言えるッ!\\n あなたのやり方は間違っていると」", "330000911_18": "「メルもそんなことは望んでいないわ。メルは……」", "330000911_19": "「……ッ!」", "330000911_20": "「お前が妹を語るなッ! わたしのメルを……ッ!」", "330000911_21": "「お前ならと思ったが、もういい。\\n それなら、大切な仲間の死を目の前に」", "330000911_22": "「それを招いた自分の不甲斐なさを\\n 後悔するがいい……ッ!」", "330000911_23": "「その端末は……ッ!」", "330000911_24": "「放て、ネメシスッ!」", "330000911_25": "「……な、何故だ? ネメシスが起動しない?」", "330000911_26": "「……どうやら、間に合ったみたいね」", "330000911_27": "「この視界は……コンピュータールームから炎がッ!?\\n お前ッ、何をしたッ!」", "330000911_28": "「あなたがヘルメスの剣を奪う時に使ったのと同じ爆弾を\\n 見つけて、コンピュータールームに仕掛けさせてもらったわ」", "330000911_29": "「何――ッ!?」", "330000911_30": "「わたしの力が弱まっていたわずかな時間に、ヘルメスの剣を\\n 奪うだけでなくそれだけのことをッ!?」", "330000911_31": "「メルがわたしを導いてくれたのよ」", "330000911_32": "「戯言を……ッ! お前はここで死ね。\\n ギアを纏う暇も与えないッ!」", "330000911_33": "「それは、銃……ッ!?」" }