{ "345000822_0": "「なんとか電力を確保しないと。\\n でも、施設は壊されてしまった……」", "345000822_1": "「電力は持って、あと数時間。\\n とてもアスクレピオスの杖での回復は間に合わない」", "345000822_2": "「電力が無くなれば、生命維持装置が停止し、\\n 培養槽の切歌さんは――」", "345000822_3": "「そんなことはわかってるッ!\\n 今、それをなんとかするための方法を考えてるのッ!」", "345000822_4": "「お、落ち着くデスよ、調。\\n 焦っても、いい考えなんて思いつかないデス」", "345000822_5": "「うるさい、お前にわたしの何がわかるのッ!」", "345000822_6": "「ご、ごめんなさいデス……」", "345000822_7": "「ここを離れようにも維持装置ごと移動させる機械なんて無い。\\n アンドロイド兵が動けば、可能性はあったけど」", "345000822_8": "「くッ……、助ける方法……もっと頭を働かせて……。\\n 考えなきゃ、助ける方法を……ッ!」", "345000822_9": "「切ちゃんを助けなきゃ……。\\n わたしにしか、できないんだから……」", "345000822_10": "「調……あ、あの、アタシにできることないデスか。\\n なんでもいいから言ってほしいデスッ!」", "345000822_11": "「お前なんかにできることは何も無い。\\n いいから黙ってて」", "345000822_12": "「うぅ、でも、じっとなんてしてられないデスよ……」", "345000822_13": "「……お前なんかに、できることなんて――」", "345000822_14": "「はッ!?\\n そうだ、エネルギーコア……」", "345000822_15": "「え、なんデス?」", "345000822_16": "(アンドロイド切歌のエネルギーコアを使えば……)", "345000822_17": "「調、何か方法があるデスかッ!?」", "345000822_18": "「あ………」", "345000822_19": "「くッ……なんでもない……」", "345000822_20": "「…………」", "345000822_21": "「本当デス? 何か思いついたんじゃ――」", "345000822_22": "「なんでもないッ!」", "345000822_23": "「お前にできることなんて、何も無いッ!\\n わたしに話しかけるなッ!」", "345000822_24": "「――ッ!?」", "345000822_25": "「あ………」", "345000822_26": "「……アハハ、本当、アタシはダメダメな切歌デスね。\\n こんな時でも、調を怒らせちゃうなんて……」", "345000822_27": "「違――」", "345000822_28": "「ここにいても、調の邪魔になるだけデスし、\\n アタシも戦いに行ってくるデスよ」", "345000822_29": "「…………」", "345000822_30": "「大丈夫デスッ!\\n 誰もここには近づけさせないデスからッ!」", "345000822_31": "「行かせてよかったんですか?」", "345000822_32": "「うるさい……」", "345000822_33": "「行かせたということは、それでいいということですね?」", "345000822_34": "「どういうことだ?」", "345000822_35": "「彼女の選択の話ですよ」", "345000822_36": "「……選択?」", "345000822_37": "(わたしはただ切ちゃんを助けたい……。\\n ただそれだけのために研究を続けてきた……)", "345000822_38": "(切ちゃんのためなら、なんだってする。\\n 誰がどうなろうと、誰が犠牲になろうと……)", "345000822_39": "(その気持ちは変わってない。\\n 変わってないはずなのに、どうして、わたしは……ッ!)" }