{ "105001331_0": "「はい……はいッ、でも、わたしの謹慎は――?\\n わかりました。本部に向かいますッ!」", "105001331_1": "「行くのか?」", "105001331_2": "「うん……行かなきゃ」", "105001331_3": "「なあ、響……」", "105001331_4": "「うん?」", "105001331_5": "「へいき、へっちゃらだ」", "105001331_6": "「――へ?」", "105001331_7": "「何もしてやれないダメな父親が、\\n 娘にかけてやれる唯一の言葉だ……」", "105001331_8": "「同じ言葉でも、根性無しの俺には、\\n いつしか呪いと変わっていった……」", "105001331_9": "「だけどお前は――違うだろ?」", "105001331_10": "「お父さん……」", "105001331_11": "「物事を、呪いととるか祝福ととるかなんて、\\n 気の持ちよう1つだ」", "105001331_12": "「呪い――、\\n うん……そうだね」", "105001331_13": "「それにほら、なんだ……、\\n 呪いも祝福も、漢字で書くとよく似てるだろ?」", "105001331_14": "「裏と表で……お? \\n 俺の言ってることもあながち間違いじゃないかもな……」", "105001331_15": "「――ッ、何それ?」", "105001331_16": "「来年の今頃には、きっと名言だ」", "105001331_17": "「けだし名言だよッ!」", "105001331_18": "「行け、響ッ!\\n お母さんのことは任せろッ!」", "105001331_19": "「ありがとう、お父さんッ!\\n ラーメン、美味しかったッ!」", "105001331_20": "「なんなんだ……、\\n こいつは……」", "105001331_21": "「ハハ、ハハハ……首輪をつけて、\\n 神を飼い慣らそうとした報いがここに……」", "105001331_22": "「あんたが仕掛けたことではないのかッ!」", "105001331_23": "「どうやら、風鳴の祈り、\\n 護国の願いは、ここに潰えて果てたとみえる……」", "105001331_24": "「あれは――」", "105001331_25": "「不敬である。\\n 道具風情が我を使役しようとは……」", "105001331_26": "「道具?\\n 僕たちのことをッ!?」", "105001331_27": "「じれったいッ! 道具の用いる不完全な言語では、\\n 全てを伝えるのもままならぬッ!」", "105001331_28": "「どういうことだッ!?」", "105001331_29": "「もはやわかり合えぬということだ。\\n ああ――それこそが、忌々しきバラルの呪詛であったな」", "105001331_30": "「――ッ!」", "105001331_31": "「Seilien coffin airget-lamh tron――」" }