{ "102000311_0": "胸に力と偽りと", "102000311_1": "「我ら武装組織フィーネは、各国政府に対して要求する。\\n そうだな……さしあたっては国土の割譲を求めようかッ!」", "102000311_2": "「バカな……」", "102000311_3": "「もしも、24時間以内にこちらの要求が果たされない場合は、\\n 各国の首都機能がノイズによって不全となるだろう」", "102000311_4": "「……どこまでが本気なのか」", "102000311_5": "「わたしが王道を敷き、わたしたちが住まうための楽土だ。\\n 素晴らしいと思わないか?」", "102000311_6": "「へッ、しゃらくせぇな。\\n アイドル大統領とでも呼べばいいのかい?」", "102000311_7": "「斯波田事務次官ッ!」", "102000311_8": "「米国の聖遺物研究機関でもトラブルがあったらしい」", "102000311_9": "「……米国の聖遺物研究機関というと、F.I.S.ですか?」", "102000311_10": "「なんでも、今日まで解析してきたデータの殆どがお釈迦に\\n なったばかりか、保管していた聖遺物までも行方不明って話だ」", "102000311_11": "「こちらの状況と連動していると?」", "102000311_12": "「蕎麦に喩えるなら、オリってことはあるめぇ、\\n まあニハチでそういうこったろう」", "102000311_13": "「……急ぎ対応にあたります」", "102000311_14": "「おう、頼んだぜ」", "102000311_15": "「何を意図としての騙りか知らぬが――」", "102000311_16": "「わたしが騙りだと?」", "102000311_17": "「そうだッ! ガングニールのシンフォギアは貴様のような輩に\\n 纏えるものではないと覚えろッ!」", "102000311_18": "「Imyuteus ameno――」", "102000311_19": "「待ってください、翼さんッ! 今動けば、風鳴翼が\\n シンフォギア装者だと世界中に知られてしまいますッ!」", "102000311_20": "「でも、この状況で――」", "102000311_21": "「風鳴翼の歌は、戦いの歌ばかりではありませんッ!\\n 傷ついた人を癒し、勇気づけるための歌でもあるのです」", "102000311_22": "「確かめたらどう? わたしの言った事が騙りなのかどうか?」", "102000311_23": "「くッ――」", "102000311_24": "「……なら、会場のオーディエンス諸君を解放するッ!\\n ノイズに手出しはさせない。速やかにお引き取り願おうかッ!」", "102000311_25": "「何が狙いだ……?」", "102000311_26": "「何が狙いですか……こちらの優位を放棄するなど、筋書きには\\n なかったはずです。説明してもらえますか?」", "102000311_27": "「このステージの主役はわたし。\\n 人質なんて、わたしの趣味じゃないわ」", "102000311_28": "「血に汚れることを怖れないでッ!」", "102000311_29": "「……」", "102000311_30": "「……仕方ありません。調と切歌を向かわせています。\\n 作戦目的をはき違えない範囲でおやりなさい」", "102000311_31": "「……了解、マム。ありがとう」", "102000311_32": "「帰るところがあるというのは、羨ましいものだな……」", "102000311_33": "「マリア、貴様はいったい……」", "102000311_34": "「観客は皆退去した。もう被害者が出ることは無い。\\n それでもわたしと戦えないと言うのであれば――」", "102000311_35": "「それはあなたの保身のため。あなたはその程度の覚悟しか\\n できてないのかしら?」", "102000311_36": "「く――ッ!」", "102000311_37": "「――行くわよ。ふッ!」", "102000311_38": "「くっ……」", "102000311_39": "「反撃するつもりが無いなら、そのまま倒れてなさいッ!」", "102000311_40": "(ダメだ、このままでは……ッ。\\n 何とかカメラの目の外まで出なくては――)", "102000311_41": "「防戦一方ね。そのまま戦えるつもり?」", "102000311_42": "「ぐッ……はあッ!」", "102000311_43": "「……その程度? ふッ!」", "102000311_44": "「ぐうッ……」", "102000311_45": "(あと少し……もう少し下がれば――ッ!)", "102000311_46": "「よし、これで――ッ!」", "102000311_47": "「――何が、『よし』なのかしら」", "102000311_48": "「な……ッ!?」", "102000311_49": "「あなたはまだステージを降りることは許されない。それでも降り\\n たいのなら、わたしが降ろしてあげましょう。はあ――ッ!」", "102000311_50": "「がッ……ぐううううッ!」", "102000311_51": "「――ッ!?」", "102000311_52": "「なぜノイズがッ!? 勝手な事を――」", "102000311_53": "(このまま落ちればノイズにより炭化させられてしまう――)", "102000311_54": "(ギアを纏えば歌女としてのわたしは終わりだろう……\\n だからとてッ、このままやられるわけには行かないッ!)", "102000311_55": "(決別だ……歌女であったわたし……)", "102000311_56": "「――聴くがいいッ! 防人の歌をッ!」", "102000311_57": "「って、うええええッ!? どうしてここで中継が中断しちゃう\\n のッ!? 翼さんはどうなったのッ!? 翼さんッ!」", "102000311_58": "「現場からの中継が遮断された……?」", "102000311_59": "「ってことはつまり――」", "102000311_60": "「Imyuteus amenohabakiri tron」", "102000311_61": "「いざ――推して参るッ!」" }