{ "102001311_0": "繋ぐ手と手…戸惑うわたしのため…", "102001311_1": "「マリア、お願いします」", "102001311_2": "「シャトルマーカー、射出。展開を確認――」", "102001311_3": "「ステルスカット、神獣鏡のエネルギーを収束――」", "102001311_4": "「聖遺物由来の力を中和する神獣鏡のエネルギーをもってして、\\n フロンティアに施された封印を解除します…」", "102001311_5": "「フロンティアの封印が解けるという事はその存在を露わにする\\n ということ。全ての準備が整ってからでも遅くないのでは?」", "102001311_6": "「心配は無用です」", "102001311_7": "「……」", "102001311_8": "「リムーバーレイ……ディスチャージャー」", "102001311_9": "「くくく……これで……フロンティアに施された封印が\\n 解ける……解けるううぅぅ――」", "102001311_10": "「……解け――ッ!」", "102001311_11": "「と、解け……ない……ッ!」", "102001311_12": "「…………」", "102001311_13": "「…………」", "102001311_14": "「……出力不足です」", "102001311_15": "「いかに神獣鏡の力といえど機械的に増幅した程度ではフロン\\n ティアに施された封印を解くまでには至らないということ」", "102001311_16": "「あなたは知っていたのかッ! 聖遺物の権威であるあなたが、\\n この地を調査に訪れて、何も知らないはずなど考えられない」", "102001311_17": "「この実験は、今の我々ではフロンティアの封印解放に程遠いと\\n いう事実を知らしめるために――違いますか?」", "102001311_18": "「これからの、大切な話をしましょう……」", "102001311_19": "「ぐ……ギリ、ギリギリギリ……んんん――\\n ギリギリギリギリ――ッ!」", "102001311_20": "「デタラメ……だと?」", "102001311_21": "「はい……、NASAが発表している月の公転軌道には、\\n わずかながら差異があることを確認しました……」", "102001311_22": "「誤差は、非常に小さなものですが、間違いありません。\\n そして、この数値のズレがもたらすものは――」", "102001311_23": "「ルナアタックの破損による月公転軌道のズレは問題ないとい\\n う、米国政府の見解を鵜呑みにはできないということか……」", "102001311_24": "「月の落下にて損なわれる、\\n 無辜の命を可能な限り救い出すことだッ!」", "102001311_25": "「いや、遠くない未来に落ちてくるからこそ、\\n F.I.S.は動いていたわけだな……」", "102001311_26": "「…………」", "102001311_27": "「このままでは死ぬんだぞッ! 立花ッ!」", "102001311_28": "(……死ぬ……。戦えば、死ぬ……)", "102001311_29": "(考えてみれば、当たり前のこと……。でも、いつか麻痺して\\n しまって、それはとても、遠いことだと錯覚していた……)", "102001311_30": "(戦えないわたしって、\\n 誰からも必要とされないわたしなのかな……?)", "102001311_31": "「ふええぇぇあああぁぁ……ッ!?」", "102001311_32": "「大きな声を出さないで」", "102001311_33": "「だだだ、だって、いきなり冷えたジュース\\n くっつけられたら、誰だって声が出ちゃうってッ!」", "102001311_34": "「響が悪いんだからね」", "102001311_35": "「――わたしッ!?」", "102001311_36": "「だって……せっかく2人で遊びに来たのに、\\n ずっとつまらなさそうにしてるから……」", "102001311_37": "「あ、あああぁ……ごめん……」", "102001311_38": "「心配しないで~。今日は久しぶりのデートだもの。\\n 楽しくないはずがないよッ!」", "102001311_39": "「……響」", "102001311_40": "「デートの続きだよッ!\\n せっかくのスカイタワー、まるごと楽しまなきゃッ!」", "102001311_41": "「ん……」", "102001311_42": "「私たちがしてきた事は、\\n テロリストの真似事に過ぎません」", "102001311_43": "「真になすべき事は、月がもたらす被害を\\n いかに抑えるか……。違いますか?」", "102001311_44": "「――つまり、今のわたしたちでは、世界を救えないと……」", "102001311_45": "「このたびの申し出、嬉しく思いますよ。\\n ナスターシャ教授」", "102001311_46": "「……マム、これは――ッ!?」", "102001311_47": "「米国政府のエージェントです。\\n 講和を持ちかけるため、私が召集しました」", "102001311_48": "「――講和を……結ぶつもりなの?」", "102001311_49": "「ドクター・ウェルには通達済みです。\\n さあ、これからの大切な話をしましょう……」", "102001311_50": "「マリア、このチップを」", "102001311_51": "「……はい」", "102001311_52": "「そちらが、約束の情報です」", "102001311_53": "「異端技術に関する情報――たしかに受け取りました」", "102001311_54": "「取り扱いに関しては、別途、私が教授いたします。\\n つきましては――」", "102001311_55": "「マムッ!」", "102001311_56": "「あなたの歌よりも、銃弾は遥かに速く、\\n 躊躇無く命を奪う」", "102001311_57": "「――くッ……」", "102001311_58": "「はじめから、取引に応じるつもりはなかったのですか」", "102001311_59": "「必要なものは手に入った。\\n あとは不必要なものを片付けるだけ――」", "102001311_60": "「ああ……ッ!」", "102001311_61": "「――ノイズ……ッ!?」", "102001311_62": "「うわあああッ!」", "102001311_63": "「Granzizel bilfen gungnir zizzl……」" }