{ "313001111_0": "逃れられない災厄", "313001111_1": "「こんなの絶対おかしいよッ!」", "313001111_2": "「同意するデスッ!」", "313001111_3": "「……」", "313001111_4": "「いいからさっさと手を動かせ」", "313001111_5": "「クリスちゃんッ! 事件だよこれはッ!\\n 確かに宿題は昨日終えたはずだったのに……」", "313001111_6": "「――終わってないことになってるッ!」", "313001111_7": "「そうデス。花火の時にマリアも終わったって言ってたデス。\\n つまりアタシも既に宿題は終えたはずデスッ!」", "313001111_8": "「そう言えば、そうだったかも。\\n わたしもそんな気がしてきた……」", "313001111_9": "「まさか時間がまた巻き戻ってるんじゃ――」", "313001111_10": "「巻き戻ってないよ。\\n 昨日宿題やってなかったでしょ?」", "313001111_11": "「そうだっけ……?」", "313001111_12": "「うん、やってない」", "313001111_13": "「つまりただの現実逃避ってことだな。\\n ダダこねてる暇があるなら、手を動かせ」", "313001111_14": "「うう、災厄だ……」", "313001111_15": "「災厄デース……」", "313001111_16": "「災厄だね……」", "313001111_17": "「ほら響、頑張って?」", "313001111_18": "「うう、数字が攻めてくる……。\\n 公式が、定理が……」", "313001111_19": "「アタシは古文を日本語とは認めないデス……」", "313001111_20": "「ほら、わからない所があったら教えてやるから」", "313001111_21": "「全部の宿題が家庭科ならいいのに……」", "313001111_22": "「も、もうダメ……。\\n これ以上やったら、頭がパンクしちゃう……」", "313001111_23": "「響、大丈夫?」", "313001111_24": "「アタシも……このままだと、\\n いとおかしくなるデース……」", "313001111_25": "「いとをかしはおかしいって意味じゃないからな?」", "313001111_26": "「…………」", "313001111_27": "「こっちも限界か……仕方ない、少しだけ休憩にするか」", "313001111_28": "「本当ッ!? クリスちゃん最高ッ!\\n 地獄に仏とはこのことだよッ!」", "313001111_29": "「おお、嬉しかりけりいまそかりデスッ!」", "313001111_30": "「助かった……」", "313001111_31": "「それじゃ5分だけな。\\n 5分経ったら再開だからな」", "313001111_32": "「……神は死んだ」", "313001111_33": "「もののあはれデース……」", "313001111_34": "「…………ガクッ」", "313001111_35": "「もののあはれの使い方も間違ってるからな」", "313001111_36": "「ああ……もう、こうなったら玉手箱をまた手に入れて……」", "313001111_37": "「それはナイスな案デース……。\\n 明日が来なければ、宿題しなくても……」", "313001111_38": "「確かに……」", "313001111_39": "「もう、そんなことばっかり言って……。\\n あ、そろそろ休憩終了だよ?」", "313001111_40": "「宿題なんて……なくなっちゃえばいいのにーーッ!」", "313001111_41": "「……結局今年も、響は宿題に勝つことは出来ませんでした」", "313001111_42": "「来年こそは頑張ろうね、響」" }