{ "202001912_0": "「あら?」", "202001912_1": "「ん? 了子くんか。お疲れ様」", "202001912_2": "「はーい、お疲れ様~」", "202001912_3": "「なんだ、今日は機嫌がいいな」", "202001912_4": "「ふっふっふ~、わかっちゃった?\\n 実はね……はい、これ」", "202001912_5": "「……シミュレータの訓練結果か?」", "202001912_6": "「そ。今日、奏ちゃんが半日し続けた訓練結果のデータ。\\n さっきまとめてみたところ」", "202001912_7": "「…………これは」", "202001912_8": "「ふふ……弦十郎くんも気づいた?」", "202001912_9": "「彼女、体力も精神も消耗しているはずなのに、\\n 後半になるにつれて戦闘に掛かる時間が短くなっているの」", "202001912_10": "「集中力が途切れるどころか増しているのか……」", "202001912_11": "「お疲れ様です、司令、了子さん」", "202001912_12": "「お疲れ様です……どうかしたんですか?」", "202001912_13": "「ああ、奏の訓練データを見ていたんだ」", "202001912_14": "「あー……最近の彼女、以前にも増して気合入ってますよね」", "202001912_15": "「時間がある時は率先してシミュレーターを使いたがりますし」", "202001912_16": "「んふふ、頼もしい限りじゃない?\\n それもこれも……並行世界の誰かさんたちのおかげ、かしら?」", "202001912_17": "「……そうかもしれんな。\\n あれ以来、奏も随分と変わった……いい方向に」", "202001912_18": "「そうですね、まるで翼さんがいた頃みたいに、\\n 私たちに明るく話しかけてくれるようになりました」", "202001912_19": "「ええ。この前もオペレータ陣に陣中見舞いって言って\\n 手作りのお菓子を持ってきてくれましたし」", "202001912_20": "「なにッ!? そうなのか?」", "202001912_21": "「あら~、弦十郎くんは知らなかったのかしら?」", "202001912_22": "「司令はその時出張でしたもんね。\\n 形はバラバラだったけど、美味しかったですよ」", "202001912_23": "「くッ、残念だ……」", "202001912_24": "「いや本気で悔しがらないでくださいよ……」", "202001912_25": "「まあまあ、今度は司令の分も取っておきますから」", "202001912_26": "「……とにかく彼女たちが現れた時は本当に驚いたが、\\n 奏にとって良いきっかけになったなら何よりだ」", "202001912_27": "「あ~ん、これぞ青春ってやつよねぇ。羨ましい~」", "202001912_28": "「ただいまー、と……」", "202001912_29": "「あ~、今日もよく訓練した~。\\n ストレッチは念入りにしたけど、こりゃ明日筋肉痛かもな」", "202001912_30": "「……ッと、留守電が入ってる。やば……気づかなかった」", "202001912_31": "「お疲れ様です、奏さん。\\n 先日お話した、次回のライブについての件で連絡しました……」", "202001912_32": "「……ということです。詳しいことはまた連絡します」", "202001912_33": "「次のライブ……か。本当に楽しみだね……」", "202001912_34": "(あたしも翼のように――)", "202001912_35": "「ま、まずは地道に活動しないとッ!\\n それで、またいつか翼と同じステージに――」", "202001912_36": "(――今度は、夢を叶えたもの同士として)", "202001912_37": "「……ふぁ、ぁ。けど、今日はもう……眠い……。\\n 訓練きつかったぁ~」" }