{ "372000911_0": "熱誠のフルメタルアーム", "372000911_1": "「オレたちもまぁ、姐さんや仁さんの理念には\\n 賛同していたからな。ずっと協力してたって訳だ」", "372000911_2": "「まぁ、姐さんが素直になっていれば\\n もう少し話はスムーズだったと思いますけどね――」", "372000911_3": "(……わたしが今からレーベンガーとの戦いに赴けば、\\n 彼女の想いを裏切ることになる)", "372000911_4": "(答えは分かりきっている。\\n 振り切ってでも戦うべきなのだ)", "372000911_5": "(だが、それでは……\\n 彼女が救われない……)", "372000911_6": "(わたしは、どうすれば――)", "372000911_7": "「……思ったんですけど、\\n 翼さんと環さんって、ちょっと似てますよね」", "372000911_8": "「何かを護るのに一生懸命で……\\n ちょっぴり、不器用なところも……」", "372000911_9": "「…………」", "372000911_10": "「アタシが、似ている……?」", "372000911_11": "「はい。だから2人は\\n 背中を預け合うのにぴったりだと思います」", "372000911_12": "「…………」", "372000911_13": "「……そうか。そうかもしれないな」", "372000911_14": "「環さん、話を聞かせてくれて\\n ありがとうございました」", "372000911_15": "「あなたがそれほどまでに思ってくれていたこと、\\n 嬉しく思います」", "372000911_16": "「ですが……やはりわたしは、\\n 戦わなければいけません」", "372000911_17": "「……ッ! なんで、そうなる……」", "372000911_18": "「わたしは決して、大人たちに\\n 良いように利用されている訳でも……」", "372000911_19": "「ましてや、あの惨劇の罪滅ぼしのために\\n 戦っている訳でもありません」", "372000911_20": "「ただ、人々を護りたい……\\n それがわたしの戦う理由」", "372000911_21": "「いつだって、自分の意志で\\n 戦場に足を踏み入れていました」", "372000911_22": "「…………」", "372000911_23": "「今日まで、仁さんや環さんの気持ちを知らずにいましたが……\\n 『辞めたいと思った時に支える』と仰ったではありませんか」", "372000911_24": "「ならば、装者が戦場に立ちたいと思ったときは\\n 支えてはくれないのでしょうか?」", "372000911_25": "「翼さん……ずるい」", "372000911_26": "「確かにずるい物言いですが……ただ環さんの心に触れた今、\\n やはり海宝夫妻と、わたしは並び立ちたいのですッ!」", "372000911_27": "「お願いです、環さん。\\n 今一度、一緒に戦ってくれませんか」", "372000911_28": "「……けど、アタシはもう……」", "372000911_29": "「スーツを、わたしに使わせてください」", "372000911_30": "「熱暴走に生身が耐えられなくとも……\\n シンフォギアなら可能かもしれません」", "372000911_31": "「シンフォギアの上から、\\n グラウスヴァインスーツを……ッ!?」", "372000911_32": "「わたしも行きます……ッ!」", "372000911_33": "「今動けるのは、わたしたちだけ」", "372000911_34": "「お2人の作ったグラウスヴァインスーツの価値……\\n 必ずやわたしたちが証明してみせます」", "372000911_35": "「だからそれまで……この防人を\\n 信じていただけますか」", "372000911_36": "「――――」", "372000911_37": "「フ……フフ……あの翼が、\\n こうも立派になるなんてね……」", "372000911_38": "「だが問題は山積みだ。\\n 調整の時間が圧倒的に足りない」", "372000911_39": "「巨大レーベンガーは、もう市街地の目と鼻の先だ。\\n 到底間に合わないだろ……」", "372000911_40": "「――不撓の鬼と呼ばれた海宝女史とは思えん発言だなッ!」", "372000911_41": "「あんたは……ッ!」", "372000911_42": "「総員、スーツの再調整にあたれッ!\\n まだ絶望には程遠いぞッ!!」", "372000911_43": "「了解ッ!」", "372000911_44": "「職員の皆まで……ッ!\\n 心強い増援だ……ッ!」", "372000911_45": "「……クソ、何しに来た」", "372000911_46": "「……環さんにとっては、\\n 俺こそがもっとも憎い相手だろう」", "372000911_47": "「あぁ。よく分かってるじゃないか」", "372000911_48": "「――俺も己のしていることに、\\n 疑問を持たなかったことはない」", "372000911_49": "「だが、それでも俺は、\\n 彼女たちの想いを――」", "372000911_50": "「戦う意思を、尊重すべきだと考えている」", "372000911_51": "「そしてそれを全力で支援するのが、\\n 俺の有り方だ」", "372000911_52": "「勝手にしろ。アタシはもう、\\n あんたの部下でもなんでもないからね」", "372000911_53": "「それに……翼たちを生かすなら、\\n その方法しかないことくらい、アタシも分かる」 ", "372000911_54": "「……ありがとう。そうさせてもらう」", "372000911_55": "「――師匠、わたしたちも、\\n まだ戦えますッ!」", "372000911_56": "「響……ッ!\\n 大丈夫なの……ッ!?」", "372000911_57": "「へいき、へっちゃらッ!\\n 言ったでしょ、ちょっと休むだけだって」", "372000911_58": "「ま……万全とは言い難いが、\\n 時間稼ぎぐらいならできるだろ」", "372000911_59": "「換装までの数十分……。\\n わたしたちが繋いでみせるわ」", "372000911_60": "「もしかしたら、うっかり倒しちゃうかもデスけど」", "372000911_61": "「切ちゃん……マリア……\\n うん、分かった」", "372000911_62": "「必ずやグラウスヴァインをこの身に宿し、\\n あの巨躯を討ち取ってみせる」", "372000911_63": "「だから……生きて帰ってきて、響」", "372000911_64": "「うん、約束ッ!」", "372000911_65": "(これが名実ともに最終決戦……)", "372000911_66": "(今度こそ、決着をつけるッ!)" }