{ "370000331_0": "「クーデターか……それはまた大変だったな」", "370000331_1": "「こちらの世界にわたしたちの問題を\\n 持ち込んでしまったこと、心からお詫びします」", "370000331_2": "「それは気にしなくていい。\\n 幸い人的被害は出ていないからな」", "370000331_3": "「ゲートは今――」", "370000331_4": "「我々S.O.N.G.によって周辺を封鎖している」", "370000331_5": "「今は翼さんが警戒に当たっているから、\\n その……ロカクキ? が追ってきても心配ないですよ」", "370000331_6": "「ありがとうございます。\\n それで……姉の救出に助力いただくことは……」", "370000331_7": "「そうデスッ!\\n リトル・マリアのピンチなのデス」", "370000331_8": "「リトル・マリアって……」", "370000331_9": "「まぁ待ってくれ。\\n 焦る気持ちは理解するが、もう少し聞きたいことがある」", "370000331_10": "「まず教えてほしいんだが、君が通ってきたゲートは\\n 生身の人間は通過できるのか?」", "370000331_11": "「司令が直接乗り込み、制圧するおつもりですか?」", "370000331_12": "「今回の場合、俺と緒川が動く方が早いと思うのでな……」", "370000331_13": "「残念ながら、模造デュプリケイターのゲートは\\n 生物の通過は不可能だと聞いています」", "370000331_14": "「わたしが通ってこれたのは、ギアを纏っていたお陰かと……」", "370000331_15": "「ふむ……では次に君たちの艦、エアーキャリアーの\\n 装備や配備について、明かせる範囲で教えてくれ」", "370000331_16": "「なるほど。現状では、装者たちを送り出す以外に手段は無いが、\\n 少し厳しい条件になる」", "370000331_17": "「…………」", "370000331_18": "「どうしてですか?\\n わたしは、先生の助けになりたいです」", "370000331_19": "「理由は大きく3つある」", "370000331_20": "「1つ目は、敵味方の区別が付き辛いことだ。\\n 万一発見された場合でも、即座に攻撃する訳にはいかん」", "370000331_21": "「次に潜入の難易度だ。ただでさえセキュリティの高い戦闘艦に\\n ナツミくんの罠が張り巡らされているのなら、なおさらだ」", "370000331_22": "「最後……とは言えこれが一番重要だが、\\n 目的が救出にあることだ」", "370000331_23": "「潜入したことが発覚したり、安易に戦闘を開始した場合、\\n 彼女の身に危険が及ぶ」", "370000331_24": "「確かに、囚われているマリアさんの身を案じると、\\n 少し時間を掛けてでも綿密な作戦が必要だと思います」", "370000331_25": "「…………」", "370000331_26": "「…………」", "370000331_27": "「どうしたのセレナ。\\n 何か言いたいことでもあるの?」", "370000331_28": "「あの……マリア姉さん。\\n わたしたちと響さんなら、発見されずに潜入する方法があるよ」", "370000331_29": "「……ッ!」", "370000331_30": "「そっか、怪盗型ギア……だったっけ?」", "370000331_31": "「あのぉ……」", "370000331_32": "「そういえばあったな。\\n でも、なんでそんな心象変化をしたんだっけか?」", "370000331_33": "「政治家の人に圧力を掛けられて、無理やりF.I.S.の聖遺物を\\n 売り払われて、マムがとても困っていたことがあって……」", "370000331_34": "「怪盗型ギアで、それらを取り戻したんですッ!」", "370000331_35": "「それが……」", "370000331_36": "「あのかっこいいギアデスねッ!」", "370000331_37": "「どんな性能なんだっけ?」", "370000331_38": "「実は……」", "370000331_39": "「ステルス、移動の消音、赤外線探知、天井に貼り付けたりと、\\n 確かに隠密行動にはぴったりだけど。でも――」", "370000331_40": "「恥ずかしがってる場合かよッ!\\n 並行世界の自分を助けに行くんだろッ!?」", "370000331_41": "「……その通りね」", "370000331_42": "「司令。\\n この任務、わたしたち3人に……」", "370000331_43": "「マリアさんッ!\\n ごめんなさいッ!」", "370000331_44": "「えッ? どうしたの?」", "370000331_45": "「わたし、怪盗型ギアに\\n 心象変化できなくなっちゃったんですッ!」", "370000331_46": "「ええッ!?\\n そんなことってあるの?」", "370000331_47": "「前に探偵ものアニメにハマって……。\\n ライバルがとっても嫌な奴で、それが……その……怪盗で……」", "370000331_48": "「このバカは単純だからな。アニメに影響されて、\\n 怪盗に対して憧憬を持てなくなったんだろ」", "370000331_49": "「…………」", "370000331_50": "「ご……ごめんなさい……」", "370000331_51": "「……司令。この任務、わたしとセレナに任せて」", "370000331_52": "「確かに適任ではあるが……、\\n そちらのセレナくんは……」", "370000331_53": "「大丈夫ですッ!\\n 一度戻ってマムの許可を得ます」", "370000331_54": "「分かった。ナスターシャ教授の許可が得られたらという\\n 条件付きとなるが、マリアくんたちに任せよう」", "370000331_55": "「やったッ!\\n マリア姉さん、ファントムシスターズ再結成だねッ!」", "370000331_56": "「……セレナ、今回は向こうのマリアを助けに行くんだから\\n 名乗りはなしよ」", "370000331_57": "「分かってるよ……ちょっと残念だけど……」", "370000331_58": "「セレナ先生ッ!\\n マリアが行くならリトル・マリアは安心デスッ!」", "370000331_59": "「大船に乗ったつもりで、待っていれば大丈夫です」", "370000331_60": "「……いえ、わたしも行きますッ!」", "370000331_61": "「おいおい、話聞いてたのか?」", "370000331_62": "「お前の姉ちゃんを無事に救出するためには、\\n 怪盗型ギアが必要で……」", "370000331_63": "「どうすれば怪盗型ギアを手に入れられるんですか?」", "370000331_64": "「あのねセレナさん、怪盗型ギアって言うのは\\n ギアが心象変化したもので……」", "370000331_65": "「気持ちは分かるけど、心象変化は心の奥底のイメージが\\n 発露したもので、なりたいとかほしいとかだけでは……」", "370000331_66": "「Seilien coffin airget-lamh tron――」", "370000331_67": "「ええぇぇぇぇッ!」", "370000331_68": "「お前、なんでそんな簡単にッ!」", "370000331_69": "「わたし、APPLEでは諜報や潜伏系の任務が多いんです」", "370000331_70": "「確かにリディアン音楽院に来た時は、\\n 完全に先生だと思ってました」", "370000331_71": "「それに昔、姉と観た怪盗映画の影響もあって\\n 心の底から憧れてたんですよね……怪盗に」", "370000331_72": "「だからほら、ご覧の通りッ!」", "370000331_73": "「先生……かっこいいデスッ!」" }