{ "368000811_0": "一件落着って、なに?", "368000811_1": "「お前たちには、感謝している」", "368000811_2": "「これで、本当に終息するのでしょうか?」", "368000811_3": "「ああ、別の世界に人や物を転送する怪獣は倒した。\\n お前たちもすぐに元の世界へと戻されるはずだ」", "368000811_4": "「では、2代目やダイナゼノンの元の乗員たちも?」", "368000811_5": "「お前たちと入れ替わりで戻ってくるだろう。\\n 怪獣の能力による影響だからな」", "368000811_6": "「あれこれ飛ばされてたのはだいたい元通りに\\n なるだろうよ。ま、一件落着ってとこだな!」", "368000811_7": "「うう……。\\n もう、ダイナストライカーに乗れないんデスね……」", "368000811_8": "「せっかくダイナウイングの操縦にも慣れたのに……」", "368000811_9": "「わたしなんてまともに乗れたの、ほんの少しだよ……」", "368000811_10": "「残りの時間で別れの挨拶でもしてやってくれ」", "368000811_11": "「はい、ガウマ隊長ッ!」", "368000811_12": "「いつ戻ることになるか分からないから、\\n 急ぐデスッ!」", "368000811_13": "「約束した通り、わたしの知ることを話しましょう」", "368000811_14": "「ああ、頼む。時間もあまりないようだしな」", "368000811_15": "「これはわたしたちの世界の\\n 成り立ちに関わることなのですが――」", "368000811_16": "「先史文明期、それにその巫女、か……」", "368000811_17": "「そっちとは歴史がかなり違うみたいだな」", "368000811_18": "「それに俺が探してる人は、巫女じゃなくて姫だ」", "368000811_19": "「わたしの早とちりでしたか……」", "368000811_20": "「気にするな。元々姫のことは簡単に分かるとは思っちゃいねぇ。\\n 俺自身の手で、地道に探すさ」", "368000811_21": "「それに、お前が約束を思い出させてくれたから、\\n 俺は立ち直れたんだ」", "368000811_22": "「早くその人が見つかるよう、わたしも祈っています」", "368000811_23": "「ああ、ありがとな」", "368000811_24": "「さて、状況が元に戻るまでもう少しかかるようだな。\\n 月読たちの様子でも見てこよう」", "368000811_25": "「あ、わたしも一緒に行きます。\\n この世界もそろそろ見納めですもんね」", "368000811_26": "「お前にもデカい借りができちまったな」", "368000811_27": "「勘違いするな。お前たちの為ではない」", "368000811_28": "「けっ! そうかよ。", "368000811_29": " でもまぁ、ありがとな」", "368000811_30": "「……なあ。怪獣を倒したってのに、\\n 能力が消えるのがやけに遅くないか?」", "368000811_31": "「まさか――」", "368000811_32": "「やっと気づいた?」", "368000811_33": "「シズム!」", "368000811_34": "「勘違いしてるようだから、教えてあげるよ。\\n さっき倒した怪獣と、消えた人たちは関係ないよ」", "368000811_35": "「なんだと……?」", "368000811_36": "「お前……、何言ってやがる!」", "368000811_37": "「2体のうち1体の固有能力は複製能力、まあ分裂でも\\n 間違いじゃない。それでもう1体はなんだと思う?」", "368000811_38": "「転送とかそんな能力だろ。俺の仲間をどこかへ飛ばしたり、\\n あいつらをこっちに飛ばしたりしたんだからな」", "368000811_39": "「それが間違い。その能力はあの怪獣のものじゃない。\\n だって、転送の能力を持っている怪獣はここにいるから」", "368000811_40": "「見えるかな? この小さいのがそうだよ。\\n 俺が操ってるのは、この怪獣だけ」", "368000811_41": "「ふざけんな! 嘘を……、吐くな!」", "368000811_42": "「証拠を見せてあげるよ。", "368000811_43": " ……彼女たちを元の世界に送り帰すことでね」", "368000811_44": "「なっ!? 貴様――!」", "368000811_45": "「俺の言うことが本当なら、彼女たちは元の世界に帰る。\\n だけど、蓬くんたちは戻ってこない……」", "368000811_46": "「待て……、待てよ!\\n ふざけんな! そんなことになったら――!」", "368000811_47": "「ダイナゼノンは、また動かせなくなるね」", "368000811_48": "「シズム……。てめぇ!」", "368000811_49": "「また、自分の都合に他人を巻き込むつもり?」", "368000811_50": "「――!?」", "368000811_51": "「彼女たちと話したけど、自分の世界に帰りたがっていたよ」", "368000811_52": "「今の俺は、彼女たちを送り帰すための能力を使えるんだから……、\\n 帰してあげるべきだよ」", "368000811_53": "「……!」", "368000811_54": "「ガウマ……!\\n チッ、貴様が動かないならば、俺が――!」", "368000811_55": "「動かない方がいい。転送中に事故があると、蓬くんたちに\\n よくないことが起こるかも知れないから」", "368000811_56": "「貴様……殺す!」", "368000811_57": "「もう能力は発動させた。あと数分もしないうちに、\\n 転送は始まるよ」", "368000811_58": "「邪魔はしないから、お別れをしなよ。\\n 挨拶は大切だからね。それじゃ」", "368000811_59": "「身体が薄れ始めたデスッ!」", "368000811_60": "「これで帰れるんですね」", "368000811_61": "「ガウマさん、ナイトさん、ありがとうございました。\\n これ、お返ししますッ!」", "368000811_62": "「あ、ああ……」", "368000811_63": "「グリッドナイト、再びあなたと戦えてよかった」", "368000811_64": "「……そうか」", "368000811_65": "「それじゃまた逢う日までデスッ!」", "368000811_66": "「ありがとうございました」", "368000811_67": "「ガウマさんッ! ナイトさんッ! またいつかッ!」", "368000811_68": "「壮健でいてください」", "368000811_69": "「……くそ! 何も、言えなかった……!」", "368000811_70": "(だけどこれで……、良かったのかもしれない……。\\n じゃあな……)" }