{ "367000321_0": "「いらっしゃーいッ!」", "367000321_1": "「ここが二課が便宜してくれた\\n 我々の仮住まいだ」", "367000321_2": "「わたしたちも、\\n 今初めて来たんだけどね」", "367000321_3": "「…………」", "367000321_4": "「フン、安っぽい部屋だな」", "367000321_5": "「別に普通だろうが」", "367000321_6": "「とりあえず、立っているのもなんだし\\n ソファにでも座ろっか」", "367000321_7": "「お前たちと同じところになど座れるかッ!」", "367000321_8": "「ったく、可愛げのない……」", "367000321_9": "「色々あって疲れちゃってない?\\n ジュースがあるから、一緒に飲もうよ」", "367000321_10": "「ジュース?\\n まさか、ジュースを飲んでいいのかッ!?」", "367000321_11": "「もちろんッ!", "367000321_12": " え……飲んじゃダメなの?」", "367000321_13": "「総統たるもの、そのような\\n 堕落的な飲食をするわけには……」", "367000321_14": "「じゃあお先に。\\n ……んん~、甘くておいしいッ!」", "367000321_15": "「…………」", "367000321_16": "「飲みたいって顔に書いてあるぞ」", "367000321_17": "「う……」", "367000321_18": "「走り回ってのども乾いているだろう」", "367000321_19": "「……おかしなものだったら承知しないぞ」", "367000321_20": "「……ッ!!」", "367000321_21": "「な、 なんだこれはッ!!\\n 甘くておいしいぞッ!」", "367000321_22": "「さっきそう言っただろ……」", "367000321_23": "「ぷはッ! おかわりを持ってこいッ!」", "367000321_24": "「まったく、とんだ暴君だな」", "367000321_25": "「――ッ!」", "367000321_26": "「おい、このモニターはなんだ?」", "367000321_27": "「テレビだよ?\\n 気になるなら、点けてみよっか?」", "367000321_28": "『――今年も\\n 海水浴シーズンがやってまいりました』", "367000321_29": "『早速、遊びに来ている方に\\n 話を聞いてみましょう』", "367000321_30": "「海水浴……ッ!?\\n ということは……海が映っているのかこれはッ!?」", "367000321_31": "「うん、もう暑いもんねー」", "367000321_32": "「な……ッ!?\\n 海とは下着で泳ぐものなのかッ!?」", "367000321_33": "「あれは水着だよ。\\n 泳ぐための服」", "367000321_34": "「そうかッ! ではオレに水着を持ってこいッ!\\n 今から海に行くッ!」", "367000321_35": "「それはできない」", "367000321_36": "「な……ッ!?」", "367000321_37": "「自分の立場は分かっているんだろ?\\n そんな状態で自由に外に行けると思ってるのか?」", "367000321_38": "「むう……」", "367000321_39": "「…………」", "367000321_40": "「…………」", "367000321_41": "「おい、なんか話題変えろ」", "367000321_42": "「え、わたしッ!?」", "367000321_43": "「じゃあ……レオくんってどうかな?」", "367000321_44": "「なんか言えとは言ったが、なんの話だッ!?」", "367000321_45": "「この子の呼び方。レオポルドくんじゃ長いでしょ?」", "367000321_46": "「別にいいが……、今言うことかッ!?」", "367000321_47": "「フッ、いいじゃないか」", "367000321_48": "「おい、何を勝手に省略してくれているッ!」", "367000321_49": "「ダメかな? レオくん」", "367000321_50": "「いいじゃないか、レオで」", "367000321_51": "「レオ、なかなかしっくり来ているぞ」", "367000321_52": "「クソ……ッ!」", "367000321_53": "「……ところで、お前らはどういう関係なんだ?」", "367000321_54": "「同じ階級にも見えないし、\\n かといって上官と部下にも思えない」", "367000321_55": "「なんというか……ふぬけた関係だ」", "367000321_56": "「一緒の組織で働いてるから、\\n 仕事仲間ではあるのかな?」", "367000321_57": "「だったら、\\n なぜ仕事以外の話をする必要があるッ!?」", "367000321_58": "「それは、友達でもあるからだよッ! ね?」", "367000321_59": "「顔を近づけるなッ!」", "367000321_60": "「友達だと?", "367000321_61": " ……くだらない」", "367000321_62": "「戦いの場にそのような生温い感情を持ち込むとは。\\n ブリル協会の勝利は確実だな」", "367000321_63": "「オレはもう眠る。\\n これ以上構うなよッ!」", "367000321_64": "「どうだ?」", "367000321_65": "「寝ちゃったみたいです」", "367000321_66": "「強がっているがまだ子供だ。\\n 疲れたのだろう」", "367000321_67": "「あいつ……二課の情報なんかは知ってるくせに、\\n 一般的な知識が全然なかったな……」", "367000321_68": "「自称、ブリル協会の総統だったか……」", "367000321_69": "「その話が本当だとして、立場に相応しい人間になるよう、\\n 世間から隔離されて育てられていたのだろうか」", "367000321_70": "「あれッ!?\\n 電気が……ッ!」", "367000321_71": "「敵襲かッ!?」", "367000321_72": "「まずい、あいつを……ッ!」", "367000321_73": "「あれ、ついた」", "367000321_74": "「扉が開いている……ッ!」", "367000321_75": "「まさか――」", "367000321_76": "「あいつがいねえええ――ッ!?」" }