{ "364000422_0": "「デヴァステイターのバックファイアは、\\n 大したこと無くてよかったね」", "364000422_1": "「そうですね。またいつ、ノーブルレッドとの\\n 戦闘になるか分かりませんから……」", "364000422_2": "「ねぇ、ノーブルレッドは事件の首謀者じゃないかも\\n しれないって、この前話したよね」", "364000422_3": "「だったら、何のためにあんなことしてるんだろう?」", "364000422_4": "「この前の交戦時――」", "364000422_5": "「確かに聞きましたわ。\\n 好きでこんなことをしているのではない、と」", "364000422_6": "「彼女たちには彼女たちの、\\n 何か事情があるのではないでしょうか」", "364000422_7": "「事情……? 人の命を奪うほどの……?」", "364000422_8": "「…………」", "364000422_9": "「……うん、やっぱりそんなものはない」", "364000422_10": "「板場さん……」", "364000422_11": "「だってそうでしょう?」", "364000422_12": "「あたしたちは、名前も知らない誰かに命を救われて、\\n みんなの明日を救うと決めた」", "364000422_13": "「命は、その人の明日なんだ。それを他の誰かが奪う権利なんて、\\n あっていいはずがないよ……」", "364000422_14": "「……うん、きっとそうだね。\\n わたしもそう思う」", "364000422_15": "「ノーブルレッドにどんな事情があったって、\\n あたしたちは、凶行を止めるだけだ」", "364000422_16": "「板場さんの言っていることは、正しいと思いますが……。\\n 本当に戦えば解決するのでしょうか……?」", "364000422_17": "「…………」", "364000422_18": "「…………」", "364000422_19": "「…………」", "364000422_20": "「――あいたッ!」", "364000422_21": "「奈々美ッ!?」", "364000422_22": "「ご、ごめんなさいッ!\\n 盗み聞きをするつもりはなかったんですけど……」", "364000422_23": "「ううん、こんなところで話していた\\n わたしたちが悪いんだし」", "364000422_24": "「ごめんなさい、暗い話を聞かせてしまって……」", "364000422_25": "「ゴ、ゴホン――ッ!」", "364000422_26": "「奈々美――?」", "364000422_27": "「――♪」", "364000422_28": "「そ、その歌って……」", "364000422_29": "「はい。あの時――」", "364000422_30": "「蛇に呑まれそうな絶望の中、先輩たちが唄ってくれた、\\n 希望の歌ですッ!」", "364000422_31": "「わたし、どんな状況でも胸を張って、信じる者のために\\n 先に進むというあの歌が大好きで」", "364000422_32": "「くじけそうになっても、\\n 前を向ける気がして……ッ!」", "364000422_33": "「だから、今回もまた、大きな絶望が迫っているのなら、\\n この歌のことを思い出してほしいです」", "364000422_34": "「――なんて、すみません。真面目なお話をしていたのに、\\n わたしなんかが何言ってるんだって感じですよね……」", "364000422_35": "「ううんッ! そんなことないッ!」", "364000422_36": "「大事なことを忘れかけていた気がする。\\n 奈々美の教えてくれた通りねッ!」", "364000422_37": "「うん。何があっても、信じよう。\\n わたしたちは自分たちの正義と信念を」", "364000422_38": "「ええ、胸を張って……ッ!」", "364000422_39": "「よかった……」", "364000422_40": "「あッ! そういえば、先生から書類を預かってきたんでした。\\n はい、こちらです」", "364000422_41": "「大儀であったッ!\\n 二階級特進ッ!」", "364000422_42": "「それはもういいから」", "364000422_43": "「ありがとうございます」", "364000422_44": "「それでは、ちょっと約束があるのでこれで失礼しますね。\\n さようならッ!」", "364000422_45": "「はあ……いい子ねぇ、奈々美」", "364000422_46": "「そうだねー。ちょっとおっとりしてるから心配だけど……」", "364000422_47": "「あら? あれは……」", "364000422_48": "「ナンパかッ!? あたしたちの奈々美をッ!\\n 許すまじ……ッ!」", "364000422_49": "「いや、たぶん……」", "364000422_50": "「ご兄弟がいると言っていましたから、\\n きっとお兄さんですよ」", "364000422_51": "「お兄ちゃん、検査お疲れ様」", "364000422_52": "「ああ。\\n いいって言ったのに、また待っててくれたのか?」", "364000422_53": "「たまたま帰る時間が重なったの。\\n それより、検査の結果はどうだったの?」", "364000422_54": "「いつも通りだよ」", "364000422_55": "「お兄ちゃん……?」", "364000422_56": "「悪かったッ! 悪かったよ。\\n ちゃんと言えばいいんだろ?」", "364000422_57": "「血液検査の結果は良好。各種数値は落ち着いてる。\\n このまま薬を飲んでいれば、もっとよくなるってさ」", "364000422_58": "「アプトン総合病院の先生が言うんだから、間違いないよ」", "364000422_59": "「それじゃ、また入院するようなこともないのね?」", "364000422_60": "「ああ。もう1人にしたりしないよ。\\n もともと、大した病気ではないんだ」", "364000422_61": "「そう、よかったぁ……」", "364000422_62": "「よーし、今日はお祝いに、\\n 腕によりをかけて病人食を作ってあげるッ!」", "364000422_63": "「そこはステーキとかじゃないのか……」", "364000422_64": "「それは完治するまでお預けですッ!」", "364000422_65": "「……ああ、楽しみにしてるよ」", "364000422_66": "「い、妹力53万だと……ッ!?」", "364000422_67": "「いもうとりょくって。なにさ、その数値。\\n ユミが言わんとしてることはものすごく分かるけど」", "364000422_68": "「ええ、とっても素敵なご兄妹なのですね」", "364000422_69": "「病気のお兄さんのことも気遣いながら、あたしたちの\\n 手伝いもしてくれてるなんて、うう……ッ!」", "364000422_70": "「しかも、大変そうな顔1つせずに……」", "364000422_71": "「わたしたちも、\\n もっともっと頑張らなくてはいけませんね」", "364000422_72": "「ええ、日本全国の妹のためにも……ッ!」", "364000422_73": "「――ッ!?」", "364000422_74": "「こちら竜姫ッ!」", "364000422_75": "「例によって例の怪物の発生だッ!」", "364000422_76": "「また……ッ!」", "364000422_77": "「しかも、3地点に同時発生ッ!\\n 確実に規模が大きくなってきているようだな……」", "364000422_78": "「そんな……」", "364000422_79": "「アプトン社の準備は万端だそうだ。\\n 君たちの任務は――」", "364000422_80": "「怪物から人々を護ること。\\n そして、ノーブルレッドから怪物を護ることッ!」", "364000422_81": "「うむ、いい答えだ。今回の作戦は個人行動、\\n 3人分かれて、それぞれのポイントの対処に当たってもらう」", "364000422_82": "「分かりましたわ。\\n 皆さん、急ぎましょう!」" }