{ "360000521_0": "――2日後――", "360000521_1": "「戻ったぞ、お前たち」", "360000521_2": "「マスター、おかえりだゾッ!」", "360000521_3": "「ゆっくりお休みになられましたか?」", "360000521_4": "「当然だ。オレくらいになれば、\\n リゾート地で休暇を過ごすことなど造作もない」", "360000521_5": "「朝食はビュッフェ方式でしたがバランス良く配膳できましたか?\\n チェックアウトの際に部屋のキーは返却しましたか?」", "360000521_6": "「当たり前だッ!\\n 飛行機だって1人で乗って帰ってきたぞッ!」", "360000521_7": "「帰ってきたようだね」", "360000521_8": "「おや、錬金術師協会局長が\\n わざわざお訪ねになられるとは」", "360000521_9": "「呼ばれたんだよ、キャロルにね。\\n あるのだろう、土産物が」", "360000521_10": "「もちろん、土産くらいは買ってある。\\n だが、その前に聞かせてもらおうか」", "360000521_11": "「オレが不在だった間のこいつらの仕事ぶりについて」", "360000521_12": "「ッ!」", "360000521_13": "「そ、それは……これから報告しようと……」", "360000521_14": "「もちろん上手くやったに決まってるじゃないですか。\\n ねぇ、ファラちゃん?」", "360000521_15": "「ガリィ、オレは大体のことは聞いてるんだぞ」", "360000521_16": "「……なるほど、そうですか。\\n マスターってば、本当に底意地が悪いですねー」", "360000521_17": "「お前に言われたくないッ!」", "360000521_18": "「ったく……それで、危うくこの協会本部を\\n 吹き飛ばしそうになったっていうのは本当なのか?」", "360000521_19": "「逆だよ、それについてはね。\\n 防いでくれたんだよ、むしろ爆発を」", "360000521_20": "「保管庫を荒らしまくったとも聞いたが」", "360000521_21": "「元から荒れていたんだよ、君も知っての通り」", "360000521_22": "「ああ、確かに。初めてあそこに入った時は\\n ごみの山かと思ったほどだ」", "360000521_23": "「手厳しいじゃないか、相変わらず。\\n だから必要だと思っていたのだよ、そろそろ掃除がね」", "360000521_24": "「つまり起こるべくして起きたのだよ、あの事件は」", "360000521_25": "「なるほど、半分はお前のせいだということか」", "360000521_26": "「言ってないけどね、そこまでは。\\n でも出なかったのは事実だよ、人的被害もね」", "360000521_27": "「あの侵入者2人組もちゃんと捕まえられましたしね~」", "360000521_28": "「それに手伝ってくれたんだ、反省して保管庫の掃除も」", "360000521_29": "「あれは大変だったゾ……」", "360000521_30": "「ええ……廊下一面、\\n 派手に散乱しておりましたから……」", "360000521_31": "「……今回は多かっただろう、学ぶべきことが。\\n 自動人形の諸君にとっても」", "360000521_32": "「マスター、全ては私の至らなさのせいですわ。\\n せっかく新たな力を与えていただいたのに……」", "360000521_33": "「そのことで慢心し、1人でなんでもできると思い、\\n ミカやガリィをないがしろにしてしまったのです……」", "360000521_34": "「そんなことないゾ? ファラはいつも通りだったゾッ!」", "360000521_35": "「このバカッ! 今はお前が喋る時じゃないんだよッ!」", "360000521_36": "「あたしも協力できなくて悪かったんだゾ」", "360000521_37": "「ミカは……私が遠ざけてしまったようなものですし」", "360000521_38": "「そうですねー。あたしは違うんでしょうけれど」", "360000521_39": "「こんな時でも、お前は地味に皮肉しか言えないのか?」", "360000521_40": "「ぐッ……ま、まあ悪かったとは思ってますよ。\\n 協力する意義も理解できましたし」", "360000521_41": "「ガリィが反省するとは驚きだな……。\\n 多少は変わったということか」", "360000521_42": "「イヤですよ、マスター。ガリィちゃんはいつまでも、\\n マスターの好きなガリィちゃんのままですからね」", "360000521_43": "「何も変わってないな……」", "360000521_44": "「冗談はさておき、私も地味に学べました。\\n ラピス・クォーターズの真価は1人では発揮できない……」", "360000521_45": "「私たち4人でこそ発揮できるものなのだと」", "360000521_46": "「そうだゾッ!」", "360000521_47": "「ガリィちゃんもそう思います~」", "360000521_48": "「ええ。これからはレイアも一緒に、\\n 4人で力を合わせて任務に当たりますわ」", "360000521_49": "「ちゃんと自戒しているのなら……まあ、良い。\\n 次からはもっと上手くやれよ」", "360000521_50": "「次から……? まあ、また私たちを\\n 頼っていただけるのですかッ!」", "360000521_51": "「汚名返上の機会は早い方がいいですからね」", "360000521_52": "「マスター、いつでも休むんだゾ。\\n このまますぐに休んでもいいんだゾッ!」", "360000521_53": "「お、おい、お前たち……。\\n そんなに休んでばかりもいられないだろう」", "360000521_54": "「これからは、ぜひ定期的に休暇をとってください」", "360000521_55": "「なんなら、招待しようかな、\\n プロビデンス・パークに、次回は」", "360000521_56": "「それは休暇ではなく、ただの仕事だッ!」" }